ギターがパワフルに鳴っているからって、安易に原点回帰と思うなかれ。80年代のUKロックの延長上でつねに新しい音を追求しているオーストラリアの4人組、
ザ・テンパー・トラップ 。4年ぶりにリリースする新作
『シック・アズ・シーヴズ』 を作るにあたって、彼らはファンが自分たちに求めるものが何か今一度考え、それに応えようとしたという。その結果、バンドは新たな局面を迎えたようだ。8月には7年ぶりとなる来日公演が決定。新作のリリースに先駆け、日本を訪れたダギー・マンダギ(vo, g)とジョセフ・グリーア(key, g)が新作について語ってくれた。
――『シック・アズ・シーヴズ』は4年ぶりのリリースとなりましたね。
ジョセフ 「本当はもう少し早くリリースしたかったんだ。もちろん、その4年間はずっと曲作りをしていたんだけどね」
ダギー 「本当にいい作品を作るには時間がかかるものさ。複数のプロデューサーと作ったからスケジュールを合わせるのが大変だった。こっちが忙しかったり、向こうが忙しかったりして。そんなことをやっているうちに、どんどん時間が経ってしまったんだよ」
――いい作品を作りたいと考える一方で、早く新しい新作を出さなきゃ忘れられてしまうとか、ファンを待たせたら申し訳ないとか思う気持ちもあったんじゃないですか?
ジョセフ 「もちろん、それはね。でも、自分たちが100%満足できないものをリリースするほうがバンドにとってダメージは大きいと考えたんだ。ファンを待たせたとしても、いいものを提供すれば、みんな喜んでくれるんじゃないかなって、今は願ってるよ(笑)」
――今回、複数のプロデューサーを起用したいちばんの理由は、どんなことだったんですか?
ジョセフ 「僕らが求めているものの一つに新鮮さがある。だから、これまでも若いプロデューサーと組んできた。新しいアイディアを持ってきてくれるからね。僕らはつねに新しいことやおもしろいことをやりたいんだ。それが実現できるチャンスがあるなら、できるかぎりいろいろな人と組んでみるべきだろ」
――今回、いちばん新鮮なやり方を提案してくれたプロデューサーは誰でしたか?
ダギー 「個人的にはマレイかな。彼は〈Summer's Almost Gone〉しかやってないんだけど、今までやってきたこととは違う、聴いたことがないようなおもしろいサウンドをもたらしてくれた。最終的にはダミアン・テイラー(
ビョーク など)がプロデュースしてるんだけど、マレイはその曲のソングライティングとサウンド・プロデュースを手伝ってくれた」
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ジョセフ 「彼はヒップホップ畑のプロデューサーで、その曲のヒップホップ・セクションを手がけているんだ。そのほかだったらリッチ・クーパーとやった〈Lost〉と〈Fall Together〉のアプローチはすごく新鮮に感じたな。ほとんどの曲をプロデュースしているダミアン・テイラーももちろん素晴らしかったけど、いろいろなことを試して、どんどんサウンドを広げていくダミアンのやり方に対して、リッチは逆にすごくシンプルなんだ。それが新鮮だった」
――今回は前作よりもシンセ・サウンドの比重が減って、ギター・ロック色濃いものになったせいか、原点回帰と言われているけど、おふたりの話からすると、たんに原点回帰しただけではないようですね。バンドとして新たな局面を迎えた実感もあるのでは?
ジョセフ 「そう言ってもらえると、うれしいよ。そんなふうに思ってほしいと思いながら作ったアルバムだからね」
――ただ、その一方ではドラムのトビー(・ダンダス)がバンドを始めた頃の気持ちに戻ることが必要だったと、とあるインタビューで語っていましたけど、それも今回のテーマの一つだったんでしょうか?
ダギー 「ライヴを観てもらうとわかるんだけど、僕たちは本当にエネルギッシュなバンドなんだ。ただ、そのエネルギーはレコードに反映させるのが難しい。
1枚目 はそれができたんだ。今回は、その1枚目と
2枚目 のベストな部分を抜き取ったうえで、そこからまた自分たちのサウンドを広げていきたかったんだ」
――その試みがいちばん表われた曲と言うと?
ダギー 「〈Ordinary World〉だね。ギター・サウンドがメインになっているけど、それを取り囲んでいる音が新しい。それともう1曲。6曲目の〈Alive〉は、1枚目の〈サイエンス・オブ・フィアー〉が持っているダークさや勢いが感じられると同時に、新しさも加わっている。本当は全曲だって言いたいけど、とくに挙げるとしたらその2曲だな」
――最後にアルバム・タイトルに込めた思いを教えてください。
ダギー 「いやぁ、ただ言葉の響きが良かったからってだけさ(笑)。その言葉が持っている忠誠心、兄弟愛という意味は後づけ。ギターのロレンゾ(・シリット)が抜けて、4人の絆がより強くなったことを考えると、偶然だけど、これしかないと言えるぐらいふさわしいタイトルになったとは思うけどね」
THE TEMPER TRAP JAPAN TOUR 2016
・2016年8月8日(月) 大阪 梅田 CLUB QUATTRO
開場 18:00 / 開演 19:00
前売 6,500円 (税込 / 別途ドリンク代) ※お問い合わせ: クリエイティブマン 03-3499-6669 ・2016年8月9日(火) 東京 恵比寿 LIQUIDROOM
開場 18:00 / 開演 19:00
前売 6,500円 (税込 / 別途ドリンク代) ※お問い合わせ: クリエイティブマン 03-3499-6669 協力: Hostess Entertainment 制作・招聘:クリエイティブマン