【The xx interview】ミニマルでビターなビートと、美しく儚い男女ツイン・ヴォーカル――デビュー作が快進撃を続けるThe xxに直撃!

ザ・エックス・エックス   2010/06/10掲載
はてなブックマークに追加
【The xx interview】ミニマルでビターなビートと、美しく儚い男女ツイン・ヴォーカル――デビュー作が快進撃を続けるThe xxに直撃!
 2009年、世界的にもっとも高い評価を受けた新人アーティストが、ロンドンの3人組、The xxだった。ミニマルでビターなビートを軸にしたエレポップ・サウンドに、美しく儚い男女ツイン・ヴォーカルを乗せたデビュー・アルバム『XX』は、欧米を中心に大きな話題をさらい、数々のメディアで年間ベストの一枚に挙げられた。その勢いは冷めることなく、去る5月に行なわれた初の日本公演は即時にソールドアウト、夏にはフジロックフェスティバルでの再来日も決定している。そんな彼らのサウンドメイクを手がけるジェイミーと女性ヴォーカリストのロミーに話を聞いた。
――欧米はもちろん、初の日本公演もソールドアウトになり、まさに世界規模の人気ですね。デビューしていきなりの熱狂ぶりを、どう受け止めていますか?
ロミー 「自分たちでも本当にびっくりして、かなり圧倒されてるわ。アルバムを作っている時は、誰かが聴いてくれるなんて意識していなくて、自分たちのためだけに書いたようなものだったから。でもそれだけ多くの人に聴いてもらえることは本当にありがたいと思っているの。ライヴだって、最初はお客さんが3人だけってこともあったけど、いまではたくさんの人が足を運んでくれるしね」
――アルバム収録曲のほとんどは、かなりストレートなラブ・ソングですよね。普遍的な詞の内容も多くの人の共感を呼んだと思います。
ロニー 「そうね。恋愛にまつわるさまざまな感情を表現している歌が、私自身すごく好きなの。私は歌詞を重視して音楽を聴くんだけど、詞の中でもっとも強い感情を表現できるのがやっぱりラブ・ソングなのよ」

ジェイミー 「僕はインストやダンス・トラックを中心に聴いてるけど、そういうジャンルでも、たくさんの感情が顕にされている音楽が好きなんだ。僕らのサウンドにもそういった面はあると思うよ」
――作詞について、常に心がけていることはあるんですか?
ロニー 「あまり考え込まずに、自然に頭に浮かんでくる言葉をそのまま綴ろうとしているわね。自分を知的に見せたいがために難しい言葉を使うってことは絶対したくなくて、シンプルな表現にこだわっているわ。誰もが分かる言葉を使うことで多くの人の心に訴えかけられると思うし、私自身そういう作品が好きだから」
――歌詞について、一番好きな曲は?
ロニー 「エラスティカ〈マイ・セックス〉。オルガンの音をバックに、恋愛に求める物事を、ほとんどポエムのように羅列して読み上げていて、とても素敵な曲なの」
――歌詞同様、サウンドについてもシンプルで伝わりやすい作りですよね。レコーディング中に、もっと多くのサウンドを付け足したいという欲求には駆られなかった?
ジェイミー 「たくさんの音を足せば、よりよい作品ができるというわけではないからね。物事を最小限に抑えることで、より創造力が掻き立てられるわけだし。それに、純粋に曲のよさを引きだすためには、音と音との空間が必要不可欠だと思っているんだ」
――最初は、ディプロM.I.A.サンティゴールドら)ともスタジオに入ったそうですが、最終的にセルフ・プロデュースを選んだ理由は?
ジェイミー 「ディプロを含めて何人かのプロデューサーとやってみたんだけど、単純に自分たちでやったほうがいい音ができると思ったんだ。なぜって、最初から僕らのサウンドは、すごくシンプルであるべきだと思っていたんだけど、他のプロデューサーと組むと、どうしても彼らの音が持ち込まれてしまう。だから、自分たちの最良の音を作るためには、セルフでやる他ないと思ったんだ」
――では、今後組んでみたいと思うプロデューサーはいますか?
ジェイミー 「The xxとして外部のプロデューサーと組むことはないね。でもたとえば、サイド・プロジェクトなんかをやったとしたら、フローレンス+ザ・マシーンを手がけたポール・エプワースと何か一緒にやってみたいな」

ロニー 「私は、ナイジェル・ゴドリッチがプロデュースした、レディオヘッド『イン・レインボウズ』のプロダクションが大好きなの。曲の本質を的確に引き出している感じがして、すばらしいと思うわ」
――PVの世界観には、ダークなムードの中で“静”を強調した色合いが底通していますが、アイディアはバンド自身によるものなのですか?
ジェイミー 「そうだね。自分たちのほうからアイディアを出して、それをもとにディレクターと相談して作ってるんだ」
――好きな映像作品は?
ジェイミー 「映画『未来世紀ブラジル』だね。テリー・ギリアムが大好きなんだよ」
取材・文/房賀辰男(2010年5月)
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 人気ピアノYouTuberふたりによる ピアノ女子対談! 朝香智子×kiki ピアノ[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く
[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん
[インタビュー] ろう者の両親と、コーダの一人息子— 呉美保監督×吉沢亮のタッグによる “普遍的な家族の物語”[インタビュー] 田中彩子  デビュー10周年を迎え「これまでの私のベスト」な選曲のリサイタルを開催
[インタビュー] 宮本笑里  “ヴァイオリンで愛を奏でる”11年ぶりのベスト・アルバムを発表[インタビュー] YOYOKA    世界が注目する14歳のドラマーが語る、アメリカでの音楽活動と「Layfic Tone®」のヘッドフォン
[インタビュー] 松尾清憲 ソロ・デビュー40周年 めくるめくポップ・ワールド全開の新作[インタビュー] AATA  過去と現在の自分を全肯定してあげたい 10年間の集大成となる自信の一枚が完成
[インタビュー] ソウル&ファンク・ユニットMen Spyder 初のEPを発表[インタビュー] KMC 全曲O.N.Oによるビート THA BLUE HERBプロデュースの新作
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015