本格的な夏の到来に先がけて、TUBEから通算30枚目となるニュー・アルバム『Paradiso』が到着! 今回、彼らが作品の舞台に選んだのは“南ヨーロッパ”。ガット・ギターを全面的にフィーチャーするなど、ラテン・ミュージックからの影響が色濃く反映された今作が2008年の夏を熱くエネルギッシュに彩ってくれるはず! 1985年のデビュー以来、“夏”“リゾート”のイメージをきちんと守りながら、常にメインストリームの真ん中で活動を続けてきたTUBE。通算30枚目(!)のオリジナル・アルバム『Paradiso』は、スペイン〜イタリアなどのラテン・ミュージックの雰囲気を濃密に反映させた作品となった。
「うん、実際に旅行してきからね、去年(笑)。スペインは初めてだったんだけど、街のいたるところに音楽があって、その印象がとにかく強烈で」
(前田亘輝/vo) 「僕は後から合流したんですけど、(前田が)“こっちの音楽、すごいよ。来年、こういう音楽やろうぜ”って。僕自身もすごくインスパイアされて、すぐに曲作りをはじめたんですよ。(シングルとなった)〈Paradis o〉や〈Te quiero〉は、そのときに、すでに、できてたし」
(春畑道哉/g) アレンジ、リズムの面においても、ラテンの影響はかなり強い。しかし、それはけっしてマニアックな方角へ向うことなく、あくまでもTUBEサウンドへと取り込まれていく。そのバランス感覚こそが、このバンドの特性なのだろう。
「いつものアルバムと違うのは、ほとんどの曲でガット・ギターを入れてるところかな。〈蛍〉みたいなバラードでも、“とりあえず入れてみようか”って。これが意外ときれいにハマるんですよ」(春畑)
「新しいガット(・ギター)を買ってましたからね(笑)。カホンの使い方もそうなんだけど、思いついたことはとりあえず試してみるバンドなんですよ、もともと。刺激を求めるというか、おもしろがることは必要だと思いますね」(角野秀行/b)
「そこまで突き詰めて考えてないんですけどね。今回の“ラテン”にしても、パーカッションの人なんかと“こんな感じかな”って想像しながらやってるので。新しいものを取り入れることも、すごく大事ですけどね」(松本玲二/ds)
“終われない青春”をテーマにした「Alegria」をはじめ、“まだまだイケるはずだ”という熱いメッセージを感じさせるリリックも、このアルバムの雰囲気をしっかりと盛り上げる。
「〈Paradiso〉の歌詞もそうですよね、まだまだ終わりじゃないぜ、っていう。自分たちもね、つい“どっこいしょ”って座りたくなっちゃうことがあるんですよ。でも、それじゃあダメだろうって奮い立たせるところもあったり。何かに抵抗してるんでしょうね」(前田)
また、彼らの代表曲のひとつである「プロポーズ」(04年)の続編をイメージしながら制作されたという楽曲「Anniversary〜旅立ちの唄」からも、“この先へと続いていく”という意思がはっきり感じられる。
「〈プロポーズ〉で一緒になった2人が、その後、どうなっていくか? というところから書いた曲ですね。昔の曲を引っ張り出して、そこから今の自分たちに繋がっていくというか……何かね、ずっとひとつの映画が続いていく感じがあるんですよ。そういうことを感じられたときは、長くやってきた良かったなって思いますね」(前田)
8月、9月には、毎年恒例となっているスタジアム・ライブを控えている4人。2年後に控えたデビュー25周年に向けて、TUBEの夏はますます暑くなっていきそうだ。
取材・文/森朋之(2008年6月)
【TUBE LIVE AROUND SPECIAL 2008】
●横浜スタジアム
●8月23日(土)
●開場16:00/開演18:00
●料金:税込7,700円
●問い合わせ:フリップサイド TEL:03-3470-9999
●阪神甲子園球場
●9月6日(土)
●開場16:00/開演18:00
●料金:税込7,700円
●問い合わせ:サウンドクリエーター TEL:06-6357-4400