タワーレコードのアイドル専門レーベル「T-Palette Records」にレンタル移籍を果たしたアイドル2人組、
バニラビーンズが、ワン・コイン・シングル
「天国への階段」に続き、オリジナル・アルバムとしては2年5ヵ月ぶり(!)となる2ndフル・アルバム
『バニラビーンズII』をリリース! 初期
Perfumeに歌詞を提供していた作詞家・木の子や、
CORNELIUS GROUPの一員でもあるドラマー、
あらきゆうこが参加するなど、アイドル・ファンのみならず洋楽好きにも訴えかけそうな楽曲を全15曲にわたって収録したハイクオリティな一枚。今回はCDジャーナルweb編集部・望月が聞き手を務めさせていただいた<“北欧への階段”〜NEW ALBUM「バニラビーンズII」発売前試聴会&公開取材〜>(@阿佐ヶ谷ロフトA / 7月10日)での公開取材の模様をお届けします。
(全曲視聴を終えて)
――まずはアルバム1枚通して聴いた印象を教えていただけますか。
レナ 「今まで、どこかしら不安な部分がありながらリリースをしてたんですよ。ファンの方に受け入れられるんだろうか、この歌はみなさんに届くんだろうか、とか。でも今回はちょっと違って全部自信があるんです。“この曲、凄くいいんだよ!”って、みんなに言えるぐらい自信たっぷりなアルバムになっています。その自信満々な1枚をぜひとも評価していただきたいなって気持ちがあるんです」
――もちろん、音楽的にすごく高く評価していますよ。
リサ 「お気に入りの曲とかありますか?」
――「C葉さんのうた」です(笑)。
ストーン・ローゼズの「ELEPHANT STONE」や
フリッパーズ・ギターの「LOVE TRAIN」を彷彿とさせるような90年代初頭のUKインディ感あふれるサウンドに乗せて、マネージャー千葉さんのことが歌われてるっていう衝撃的な楽曲で(笑)。今回のアルバムは、そんな感じで1曲1曲にそれぞれ音楽的な深みがあるアルバムだと思っています。
リサ&レナ 「ありがとうございます!」
――リサさんは今回のアルバム1枚通して聴いてみて、いかがでしたか。
リサ 「今までもいっぱいCDを出させてもらってたんですけど、どこか“出してもらった”みたいな感じがあって。他の人の手によって出された私たちのCDみたいな。ちょっと離れたところに自分たちは居る、みたいな気持ちが少しあって。でも、今回は自分たちが意見を言うことでソロ曲が実現したりだとか、私たちが出したアルバムなんだって、胸を張って言える一枚になったと思います」
――今回のアルバムは、オリジナル作品としては久々の作品だったわけじゃないですか。
リサ 「オリジナルでいえば、ミニ・アルバムの
『Def&Def』から1年以上過ぎてますね(笑)」
――その間、お二人の中で不安はなかったんですか?
レナ 「不安はなかったです。支持してくれる方もいたので。よく“アイドルは3年”って言われるじゃないですか? でも、バニラビーンズはもう少し続くんじゃないかなって、思っていました。こんな時代なので、CDをリリースすること自体大変なんですけど、今回リリースさせていただけるのはタワーレコードさんのおかげかなと思います。タワレコさんが立ち上げたアイドル専門レーベルの第1弾アーティストに選んでいただいて、もっと私たちアイドルとして突き進んでいかないとなって思うんです」
――いざ久々にアルバムを作ろうということになって、そのときはどんなことを思いましたか?
レナ 「“やりたいことをやっていいよ”って言われたので、“こういう曲をやりたい”とか自分たちの意見を言ったり。リサコもカヴァーをやりたいとか言って、いろんな曲の候補を出したりして。自分たちも制作に携わってアルバムを作れるっていうのは、やっぱり楽しかったです。アルバムを作ってるっていう実感がありました」
――レコーディングはいつぐらいからスタートしたんですか?
リサ 「4月の中旬から5月の初めぐらいですね。だいたい1月弱ぐらいです」
――レコーディングは楽しかったですか?
レナ 「今回はフル・アルバムで全部いちから作ったから大変だったけど……」
リサ 「途中で、
氣志團の
綾小路翔さんの聖誕祭ライヴにコーラスで参加することになったり」
レナ 「あとは千葉テレビの番組『ONGAX』の収録も入ったり。体調が悪い日もあったんですけど、プロデューサーの近藤さんには“コンディションが悪くても全力で伝えようという気持ちがあったら、ちゃんとお客さんに伝わるから”って言われて。その言葉は救いでしたね」
――レコーディング中に印象に残ったエピソードは何かありましたか?
リサ 「印象に残ったエピソードといえば、木の子さんですよ(笑)」
――木の子さんは初期Perfumeの歌詞を手がけられている作詞家で、今回のアルバムでは「?」という楽曲で歌詞を提供していますね。
リサ 「木の子さんなくして、このレコーディングの話はできないです。チョコとパズルを持ってスタジオにほのぼのとやってきて。“(このスタジオ)家のお部屋みたいだね”って(笑)。木の子さんに歌詞を書いてもらえたことだけでも、すごく嬉しいんですけど、さらに、私たちのレコーディングに来てくれたっていうことにすごく感動しました。“えっ、来るの? 会えちゃうの?”って思って。でも、すごく気さくな方で」
――木の子さんに作詞をお願いするというのは、お二人のアイディアだったんですよね。
レナ 「そうなんですよ。Twitterでもよくツブやいたりしてて。言えば実現するんだって、自分でもびっくりしています」
――今回、バラエティ豊かな楽曲が揃っていますが、歌入れするにあたって心がけたポイントとかありましたか?
レナ 「<C葉さんのうた>は、プロデューサーの近藤さんから、“ちょっと小馬鹿にした感じで”って言われて(笑)」
(場内爆笑)
――すごいディレクションですね(笑)。
レナ 「愛のある小馬鹿にした感じです(笑)。
レッド・ツェッペリンの<天国への階段>のカヴァーは歌入れに5時間かかったんですけど、<C葉さんのうた>は30分で終わりました」
リサ 「さらっと終わりましたね」
――でも、歌に込めた愛情はきっと千葉さんにも伝わってると思うんですよ。
マネージャー千葉 「……(微妙な笑顔でうなずく)」
――伝わってるっぽいです(笑)。あと、今回のアルバムでそれぞれ、お気に入りの曲とかありますか?
レナ 「私は<Summer Vacation>です。北欧っていうより、ちょっとJ-POP寄りの曲だと思うんですけど、自分の中でも歌いやすくて。この曲はレコーディングをすごく楽しみにしていたんです」
リサ 「一番のお気に入りを決めるのは難しいんですけど、あえて選ぶなら<エルスカディ>です。2ndシングルの<ニコラ>はライヴでも必ずやる曲だし、ファンの人からも“バニビといえば<ニコラ>”と言ってもらえているし。その続編として3年後に、<エルスカディ>という曲を作っていただけたのは、バニラビーンズの歴史を辿れるようなような気がするなと思って。さらにこの曲には続編があるかもしれないし、歌詞の中で再会した主人公の女の子とニコラが今後どうなっていくかもすごく楽しみです」
レナ 「
The虎舞龍の<ロード>的に続いていくかもしれないです(笑)」
――ちなみに今回のアルバムはどんなシチュエーションで聞いたらハマると思いますか?
レナ 「前半ワーッて盛り上がる曲が多くて、最後はしっとり終わるアルバムなんで、昼間に前半を聴いていただいて、夜寝る前に11曲目<タカミタイム>以降の後半を聴いてもらえれば、14曲目の<おやすみ>で気持ちよく眠りに就けるんじゃないかと」
(場内拍手)
――美しい(笑)。そしてラストに入ってる<天国への階段>で天国に向かうと(笑)。
レナ 「そうですね(笑)」
――リサさんは?
リサ 「私は、このアルバムはバニラビーンズに会いたくなったときに聴いてほしいなと思います。この作品を聴いたらバニラビーンズを感じてもらえると思うんで。(場内のファンに向かって)毎日、聴いてね」
レナ 「私たち週末ヒロインじゃないんで、いつでも会えますから(笑)」
リサ 「平日でも大丈夫だよ〜。平日午前とかでも大丈夫(笑)!」
(場内爆笑)
――アルバム発売後には久々にワンマン・ライヴも予定されていますが、そこに向けた意気込みを聞かせてください。
レナ 「9月25日に代官山UNITで<バニラビーンズ ワンマンライブ 北欧の風vol.3>が開催されます!」
リサ 「いつもは年末にやらせてもらってるんですけど、今年はちょっと早くて9月です」
レナ 「ニュー・アルバムが出たということで、アルバムからの曲をたくさんやりたいなと思っています。このアルバムは北欧路線に原点回帰した作品なので、ライヴも北欧路線に原点回帰した内容にしたいと思っています。みなさまよろしくお願いします!」
――最後にファンの皆さんに向けて、おふたりからメッセージをお願いします。
レナ 「今回は本当に、自信たっぷりなアルバムになっていますので、ぜひともよろしくお願いします。残念ながらジャケットはバニラビーンズ落選してしまいましたが」
(場内爆笑)
レナ 「ジャケットにはヒロ杉山さんの作品を使わせてもらっています。裏面に私たち、ちょっと写ってますんで」
リサ 「バニラビーンズの総選挙1位は千葉さんらしいよ。私たちは2位と3位(笑)」
レナ 「だから千葉さんのテーマが入ってるんだ(笑)」
リサ 「なるほどねー。そうかそうか(笑)」
レナ 「ちょっと話は逸れましたが、バニビを愛してくれるみなさんに聴いていただきたい一枚になっています。これを機にバニラビーンズ、北欧路線に原点回帰しますので、これからの展開にも乞うご期待です」
――では、リサさんお願いします。
リサ 「私たちはもちろん、周りのスタッフも愛情をいっぱい注ぎ込んで作ったアルバムなので、みなさんにいっぱい愛される一枚になればいいなと願っています。ぜひともよろしくお願いします」
――ちなみに親交があるというレッド・ツェッペリンさんは、すでに今回のアルバムを聴かれているんですか?
レナ 「はい。“スゴク良カッタヨ!”って言ってました」
リサ 「“サスガ オ前ラ!”って言ってました」
レナ 「“俺ラガ カヴァー 認メタダケアルYO-YO!”ってね(笑)」
リサ 「(ぽつりと)やばい。怒られそ〜」
取材・文/望月 哲(2011年7月)