【ウォッシュト・アウト】“微かな感情のシグナルも表現できるポップ・レコードを”―チルウェイヴ/グローファイの旗手、待望の1stアルバムを発表

ウォッシュト・アウト   2011/07/08掲載
はてなブックマークに追加
【ウォッシュト・アウト】“微かな感情のシグナルも表現できるポップ・レコードを”―チルウェイヴ/グローファイの旗手、待望の1stアルバムを発表
 たった一枚のEP『Life of Leisure』で、チルウェイヴ、あるいはグローファイと称される音楽を一挙に世に広めた男、ウォッシュト・アウトがついに1stアルバムをリリースする。幾重にも重なるシンセの作り出す深いアンビエンス、シンプルなビート・メイキング、それから気だるいヴォーカルが、白昼夢を見ているかのようなサイケデリアを描き出す。米ジョージア州出身の28歳、ウォッシュト・アウトことアーネスト・グリーン。彼はどのように『ウィズイン・アンド・ウィズアウト』を生み出したのだろうか。


(C)Will Govus
――ライヴはバンド編成ですが、制作ではプログラミング・ベースの音楽を選んだ理由は何でしょう?
 アーネスト・グリーン(以下同)「ヒップホップが好きで、反復の多い曲が好きだったんだ。だからプログラミングのほうがずっと簡単だった。たしかにライヴではバンドで演奏している。一人でライヴをしていた時もあるんだけど、“もっと動きたいな”と思うようになってメンバーを入れることにしたんだ。そのほうが人を楽しませることができるからね。アルバムにはバンドを想定したアイディアも取り入れてみたよ」
――『ウィズイン・アンド・ウィズアウト』はダンス・ミュージックのフォーマットを使用していますが、結果的にはポップスに仕上がっていると思います。『Life Of Leisure』よりもポップ・ソング寄りのものにしようという意志があったのでしょうか?
 「このアルバムに関しては、間違いなくダンス・ミュージックの影響が混ざったポップ・レコードを作ることを想定していた。クラブ中心の音楽ではよくあることだけど、ビートをメインするとトラック中のほかのサウンドを押し潰してしまう。そうなると自分が表現したい微かな感情のシグナルが消されてしまうんだよね。僕は自分が受けたすべての影響をこのアルバムにバランスよく取り入れたかった。いわゆるダンス・レコードやヒップホップ・レコードといった偏ったものは作りたくなかったんだ」
――アメリカでは<SubPop>、イギリスでは<Domino>からのリリースとなります。<Mexican Summer>からリリースした時と制作へ臨む思いに違いはありましたか?
 「僕はずっと両方のレーベルのファンで、そのどちらもが2010年の2月か3月頃、同時に僕の音楽に興味を示してくれたんだ。でも契約を結ぶより先にアルバムを完成させたいと考えていた。アルバムが完成するまでどちらも我慢強く待ってくれたんだ。2009年にEPをリリースしてからはかなり忙しかった。ツアーも多かったし、アルバムのためのアイディアやいろいろなサウンドを試すのにも沢山の時間を費やしたしね。あの頃を振り返ると、EPの成功で何かを克服できたプラスの気持ちと、次作への不安といったマイナスの気持ちが混在したような状況だった。だからEPのときとは違って、アルバムを作ることへのプレッシャーは少なかったとはいえ確実に感じていた。でも最終的にはそのプレッシャーがベストな作品を作るのに役立ったと思っているよ」


(C)Will Govus
――プロデューサー、ベン・アレン(アニマル・コレクティヴM.I.A.他)との仕事はいかがでしたか? また、彼を出会った経緯も教えて下さい。
 「作業は想像していたよりずっとスムーズに進んだよ。ベンは僕の音楽のファンで、“一緒に作らないか”と彼からアプローチしてきてくれたんだ。だから彼は、僕が何を求めているかを本当によく理解していた。僕が今どんなタイプのサウンドにハマっているかについて沢山話もしたよ。自分がこのレコードを作るのに影響をうけたYouTubeのビデオの長いリストまで送ったりしたんだ」
――仕上がったアルバムをご自身で聴いてみて、どんな感想を持ちましたか?
 「ホッとしたね。フルレングスのレコードを作ったことがなかったから、最初の時点では本当に手強い課題だった。曲を書くのが本当に大変だったんだよ。今回の作業で沢山のことを学んだから、次の作品を作るのが楽しみなんだ」
――制作時に聴いていた音楽、最近お気に入りの音楽を教えて下さい。
 「DJシャドウBoards of Canadaをよく聴いていた。最近のお気に入りは、Blondesっていうバンド。かなりいいよ。生のサウンドと緩やかさが好きなんだ」
取材・文/南波一海(2011年6月)
<FUJI ROCK FESTIVAL'11>出演決定!
7月29日(金)〜31日(日)
会場:新潟県・苗場スキー場

Washed Outは29日(金)に登場!
詳細:FUJI ROCK FESTIVAL'11[URL] www.fujirockfestival.com/
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 人気ピアノYouTuberふたりによる ピアノ女子対談! 朝香智子×kiki ピアノ[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く
[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん
[インタビュー] ろう者の両親と、コーダの一人息子— 呉美保監督×吉沢亮のタッグによる “普遍的な家族の物語”[インタビュー] 田中彩子  デビュー10周年を迎え「これまでの私のベスト」な選曲のリサイタルを開催
[インタビュー] 宮本笑里  “ヴァイオリンで愛を奏でる”11年ぶりのベスト・アルバムを発表[インタビュー] YOYOKA    世界が注目する14歳のドラマーが語る、アメリカでの音楽活動と「Layfic Tone®」のヘッドフォン
[インタビュー] 松尾清憲 ソロ・デビュー40周年 めくるめくポップ・ワールド全開の新作[インタビュー] AATA  過去と現在の自分を全肯定してあげたい 10年間の集大成となる自信の一枚が完成
[インタビュー] ソウル&ファンク・ユニットMen Spyder 初のEPを発表[インタビュー] KMC 全曲O.N.Oによるビート THA BLUE HERBプロデュースの新作
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015