今をときめく世界的若手ピアニストのベスト・コンピレーション・アルバム。世界コンクール優勝、独特のプログラミング、カリスマ性……さまざまなバックグラウンドを持つ7人の気鋭ピアニストによるデビューのきっかけになった曲や代表作をコンパイル。

家庭交響曲はフルトヴェングラー唯一の録音で、名演として知られる。入念な性格描写と、家族への愛情あふれる包み込むような音楽づくり。一方、十八番の「ドン・ファン」は、ロマンティックで官能的。

リヒャルト・シュトラウス以外は、フルトヴェングラーとって珍しいレパートリーを収録。濃厚なドイツ的色合いのシベリウス、重厚なラヴェル、一転水を得た魚さながらのR．シュトラウスと、興味深い一枚だ。

かなりマニアックな選曲がされている2枚組。第2、3番は、かつてフルトヴェングラー指揮とされていたが、現在は指揮者不明となったいわくつきのもの。残りは何回も復刻された超有名録音。本作ではサンパチ2トラでの復刻だ。

フルトヴェングラーの面目躍如たる、自由闊達で雄渾な演奏が繰り広げられている。それは序曲といえども同じで、きれいにまとめるという意識は微塵もなく、深遠にして雄大な世界が展開されている。

洗練された、ザッハリヒな録音を残しているギーゼキングも、フルトヴェングラーとの共演では別人のように熱気あふれる録音を残した。チェロ協奏曲は、うって変わってオーソドックスな演奏。

フランクは大戦中最後の演奏会の記録。フルトヴェングラーはこのあとスイスに亡命しており、当時の心情を映した壮絶な演奏が繰り広げられている。ラヴェルは1951年の録音で、珍しいレパートリーだ。

フルトヴェングラー没後70年記念盤。UHQCD仕様での再発売。フィッシャーはドイツ・ピアニズムの正統な後継者。何度も共演している間柄で、2人の息は絶妙だ。併録のモーツァルトの第39番も、もちろん素晴らしい。

フルトヴェングラー没後70年記念盤。UHQCD仕様での再発売。戦時中のライヴだが、比較的聴きやすいということでファンの間では好評の録音だ。もっともフルヴェン・ファンはすべてが好評だが。コロムビア盤と同音源。

若いハンゼンがフルトヴェングラーと堂々と渡り合って、スケールが大きくロマンティックな演奏を聴かせている。第7番は、素晴らしい推進力に満ち、気力が充実した名演として有名なライヴ。

BPOのコンサートマスターだったレーンをソリストに立てた、戦時下のライヴ。巨大な交響曲のような構築を施す指揮のもと、緊張感をたたえながら、ヴァイオリンが艶やかで格調高いソロを弾く。

同年6月の第4番とはテイクが異なる、聴衆のざわめきがない方の録音。フルトヴェングラーらしい、悠揚迫らざる素晴らしいスケール感と深さをもつ演奏だ。「コリオラン」も同じく豪壮。

第4番は、フルトヴェングラーの数ある録音の中でも特に名演として有名なもの。第5番も、極度の緊張感に貫かれた演奏。いずれもフルトヴェングラー絶頂期の記念碑的な記録として名高い。

ピリオド・アプローチなど存在しなかった時代の、ロマンティシズムあふれるヘンデルが聴きもの。いまや誰も為し得ない解釈だ。モーツァルトも粘着力が強く、大きなスケールを持たせ堂々としたもの。

フルトヴェングラー没後70年記念盤。ここにはフルトヴェングラー43歳から51歳までのドイツ・ポリドールに録音されたものを網羅している。大戦前のフルトヴェングラーの音楽がここにある。フルヴェン・ファン必携だ。

2024年4月に92歳で急逝したピアニスト、フジコ・ヘミングの晩年4年間の旅路を演奏と共に描いたドキュメンタリー映画のオリジナル・サントラ。彼女の人生とともにあった名曲たちの魂の演奏を収録。MVや「ため息」のライヴ映像を収録したDVD付き。

前作『モーツァルト：複数台ピアノのための協奏曲全集』に続く、マルチピアノEns.の本邦第2作。全曲がこのヴァージョンでの世界初録音で、彼らの絶妙なアンサンブルが、各曲を引き立てている。

ピアニスト、ダニール・トリフォノフの音楽的自伝ともいえる、100年にわたるアメリカ音楽のピアノ・レパートリーにフォーカスしたアルバム。現代音楽の作曲家メイソン・ベイツがトリフォノフのために委嘱したピアノ協奏曲の世界初演録音も収録。

キーシン3度目の来日時、17歳の誕生日直前のコンサートの模様。久しぶりの再登場だ。17歳とは思えない完成された演奏は、多くの日本人ファンを驚かせた。中でもシューマンとスクリャービンは聴きものだ。

1986年のキーシン15歳時のライヴ。当時のキーシンに対する形容は、「この歳とは思えない」「天才少年」などが必ず付いていたが、今聴いてもその驚きが蘇る。当時を知らない人でもその完成された演奏には聴き惚れるだろう。

91年に発売されたアルバムの久しぶりの再発売。86年の来日から2年後、モスクワでスタジオ録音された日本の思い出歌集みたいなもの。キーシンの持つ並外れた抒情性が遺憾なく発揮されている。やはり稀有な才能だ。

ヴァイオリニストの佐藤俊介が、妻であるピアニストのスーアン・チャイとベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタを全曲録音。二人が出会った時に演奏したという特別なレパートリー「クロイツェル」ほか、この崇高なソナタが持つ可能性の限界に挑戦している。

韓国のトップ・ハーモニシストであるパク・ジョンソンが、韓国歌謡界レジェンドとして知られるキム・ヒョンソクの名曲を取り上げたアルバム。両者の共演も実現した「愛という理由で」、映画『猟奇的な彼女』の主題歌「I Believe」などが楽しめる。

「19歳のシューベルト」と銘打って、「いましも殻を破ろうとしていた」時期の3つのヴァイオリン・ソナタを取り上げた注目すべきアルバム。ジョヴァニネッティと青柳は『ミンストレル』以来久しぶりの2枚目となる。

テノール歌手の辻裕久となかにしあかねのピアノ／編曲による、イギリス伝統歌集の童謡編に続く愛唱歌編。「蛍の光」「スカボロー・フェア」など時代とともに姿を変えながら人々の間に伝わってきた歌を、愛と敬意にみちた新しいアレンジで贈る一枚。