確かに納得、どこか疑問。その時代を映し出す、愛すべき「邦題」の数々。今回は、胸から気恥ずかしさが込み上げる“80's 楽曲タイトル”に的を絞ってご紹介致します!
時は1986年。
RUN D.M.C.によってカヴァーされ、再びバンドに灯りをともすこととなった、
エアロスミスの代表曲「Walk This Way」。ここ最近では、ソフトバンクCMでもお馴染みのこの1曲。「この道を歩いてください。」という直訳同様、荷物片手に街を闊歩する
キャメロン・ディアスの姿に見惚れるその前に! 古きファンの皆様ならご存知でしょう「お説教」なる邦題。「Walk This Way」=「お説教」名付けられた理由は全くわからずとも、フ〜ンと納得させられてしまう説得力があったもの。そんなノスタルジーに浸る貴方を集中攻撃すべく、“80's 邦題”特集を開催! 原題/サウンドの雰囲気はもちろん、リリースされた時代まで如実に表現してしまう“邦題”の数々を、80's楽曲タイトルに的を絞ってご紹介致します。
かつての“金妻”ブームを意識したのかどうなのか、日本での人気も絶大だった
ボン・ジョヴィは、
「禁じられた愛」(「You Give Love A Bad Name」 直訳:お前は愛に汚名を着せた)、
「恋の切り札」(「In And Out Of Love」 直訳:愛を出たり入ったり)といった具合に、わりとナヨナヨっとした恋愛模様を冠に。それにひきかえ、
ホワイトスネイク「愛の錠」(「Guilty Of Love」 直訳:愛の罪)、
スコーピオンズ「官能の夜」(「No One Like You」 直訳:お前の代わりはいない)、
チープ・トリック「永遠の愛の炎」( 「The Flame」 直訳:その炎)などなど、大御所の皆さんは大胆不敵にそのラヴ・ゲームを楽しんでいたご様子。珍しく直訳であるにもかかわらず、今やすっかり廃れた?
「愛の自警団」(
ニュー・オーダー「Love Vigilantes」)なんかは足元にも及ばない、恋愛テクニシャンぶりが露わになっていますね。
80'sを振り返れば必ず遭遇するであろう、独特の“気恥ずかしさ”。蛍光色が光り輝き、世にも不思議なDCファッション(or 肩パット)が隆盛を極めた、あの空気感を味わいたくば、
キッド・クレオール&ザ・ココナッツがオススメ。元
オリジナル・サヴァンナ・バンドのオーガスト・ダーネルこと、キッド・クレオールがド派手な衣装に身を包み「ゴキゲン」なパーティ・チューンを連打するそのアゲの姿勢に感服!
米米CLUBにも絶大な影響を与えた(1991年にはジャパン・ツアーで共演)彼らの代表作といえば、
『トロピカル・ギャングスターズ』(USでは『WISE GUY』)。「ネ!」「なんたって」「トロピカル・ボーイ」、キーワードを抜き出せば、いつの間にやら忍び寄る居心地の悪さ。楽曲がイイだけにその反動も二倍二倍。
「ごめんネ!アニー」→「Annie, I'm Not Your Daddy」
「なんたって一番」→「I'm a Wonderful Thing, Baby」
「偽物はいらないよ!」→「Imitation」
「暗いトロピカル・ボーイ」→「I'm Corrupt」
「男と女のつぶやき…」→「Loving You Made a Fool Out of Me」
「裏切り者かな?」→「Stool Pigeon」
「海と砂のロマンス」→「Love We Have」
「お魚はないよ」→「No Fish Today」
全く持って意味不明といえば、元
ボンゾ・ドッグ・バンドの
ニール・イネスのソロ・アルバム
『オフ・ザ・レコード』収録曲、「伸縮自在半ズボンの王者」(「Knicker Elastic King」直訳:ゴムひも半ズボンの王様)。ザ・ワールド、
グリムズ、
ラトルズ、“一人
ビートルズ”とも例えられる、ユーモア抜群・業師の仕事っぷりを見れば、このシュールなタイトルも意外と納得。
そして、今もあるのか“ファンカ・ラティーナ”の旗手、
ヘアカット100のデビュー作
『ペリカン・ウェスト』。かつてのアイドル的人気が偲ばれる「好き好きシャーツ」(「Boy Meets Girl」直訳:少年は少女に会う)、日本語にされるとどうにもキツい「レモン消防隊」(「Lemon firebrigade」直訳:レモン消防隊)といったところも捨て難し。ダメさ加減に心をホッコリさせて頂いたもの。
2大ギタリスト夢の対決!
布袋寅泰とのコラボレート・シングル
「BACK STREETS OF TOKYO」を8月に発表した
ブライアン・セッツァーも同様。彼を語るに外せない
ストレイ・キャッツの名盤
『涙のラナウェイ・ボーイ』には、「悩殺ストッキング」(「Fishnet Stockings」直訳:漁網ストッキング)、「ロック・タウンは恋の街」(「Rock This Town」直訳:この町を振動させます)、「気取りやキャット」(「Stray Cat Strut」直訳:野良猫ストラット)……。ロカビリー・マナーに基づいた、嬉しい恥ずかしい大好き! な珠玉のタイトルが揃っております。
一体どうやって付けられたのやら、疑問/反論/オブジェクションが渦巻く邦題の数々。曲の雰囲気/その場のノリ、あくまで気分は「なんとなく」としか言い表せない愛らしき名タイトルを胸に、今後も「邦題」の動向をやんわりとチェック致しましょう。