11月6日&7日の2DAYS、
Perfumeの日本武道館公演 “BUDOUKaaaaaaaaaaN!!!!!”が行なわれた。そこで、本サイト“CDJournal.com”の
Perfume特集(4月15日掲載)で、
近田春夫さんとともにPerfumeのサウンドの魅力を語ってもらった
マーティ・フリードマンにこの武道館ライヴを観てもらった。元
メガデスのスーパー・ギタリストでもありつつ、マニアックなJ-POP通としても有名なマーティが、Perfumeの“BUDOUKaaaaaaaaaaN!!!!!”を観てどう感じたのか!
――マーティさんはPerfumeのライヴを観るのは、今回の武道館公演が初めてですか?
マーティ 「いままでPerfumeのライヴはたくさんあったけど、なかなか行けなくて。今回はすごい楽しみだった。行く前からわくわくしてたよ。会場に入ったら、すっごいファンの人たちが興奮してたような空気があったじゃん! 他のライヴに行ってもそういう空気感って最近ないでしょ? みんなPerfumeに期待してるというか。ビッグなアーティストのようだったよね。だからエキサイティングなライヴに行けて嬉しかったよ」
――今回はどういうところに期待してました?
マーティ 「ミュージシャンとしての視点で“オケの編集”とか、“曲のヴァージョン”とかを観ようと思ってたんだけど……、実際に観てみるとそういう気持ちはなくなっちゃって、ライヴの世界観に引き込まれたよ! これは未来の大きなロック・コンサートのかたちなのかな? いままでは、ギター、ドラム、ベース、ヴォーカルといったかたちが主流で、ずっとこれがライヴのスタイルだと思ってたのに、ぜんぜん楽器がなかったでしょう。でも、ぜんぜんそんなのは関係なかったね。雰囲気は、
AC/DCと似てるじゃない? 4つ打ちって感じで。あともう一つ思ったのは、
フィル・スペクターっているでしょう?
ロネッツのプロデューサーの。Perfumeは現代のロネッツかもと思ったんですね。なんでかっていうと、プロデューサーは天才で、独特の音を出すじゃん。音を聴けばそのプロデューサーの顔が浮かぶし、音にこだわる。それは
中田ヤスタカさんも同じ。見た目は女の子3人で、かわいいし、独特の声。あと可愛いフォーメーションや振り付けもある。偶然すぎるよね。60年代の頭くらいにロネッツと
フィル・スペクターはすごい現象になって、音楽のシーンはその頃に変わったよね」
――マーティさんの視点では、“Perfumeのライヴのよさ”ってどういうところでした?
マーティ 「まず見た目ね。本人たちのイメージは違うけど、ライヴのイメージでいうとKISSみたいにどんな角度から見てもかっこよくみえる。振り付けとか服装とかすごいいいセンスで。今回の武道館公演でも、色とか面白くなかった? バックの映像も曲によって違って、豪華で綺麗で、視覚的にも楽しかった。しかも3人も可愛くて、ファンになっちゃうし、オタクになっちゃうよね(笑)」
――ちなみに、メンバーの誰が好きですか?
マーティ 「僕は、かしゆかかな」
――気が利く感じの女の子ですよね。
マーティ 「えっ、会ったの!? 取材で。いいねぇ羨ましい(笑)。でも、3人とも違ったテンションを持ってるでしょう。それもロネッツに近い。話しやすそうなんだけど、曲が始まると完全に別の次元にいるような感じでしょう? あと、すごい大事なポイントは、僕の好みかもしれないけど、あの3人ってさりげなく超セクシーじゃん! 洋楽でいうと
クリスティーナ・アギレラとか、
ブリちゃんとか頑張ってわざとらしいセクシーな衣装とか着てるでしょう。そういう濃い味のセクシーは超逆効果なんだけど、Perfumeってさりげなくセクシーなのがいいんだよね」
――さりげなく超セクシーですか……。マニアックに分析してますねー。じゃあ、今回のライヴの細かいところを振り返っていきましょうか? 近代的なセットのなかで、どこから登場してくるかわからなくて、わくわくするようなオープニングで、3人が登場してからはテンポの速い3曲で畳み掛けてきましたね。
マーティ 「みんなも喜んでたけど、オープニングでPerfumeが登場したとき、純粋に嬉しかったね(笑)。そのあといろいろ演出が豪華になっていったよね。とくに中盤で〈GAME〉が始まったら、映像とレーザーの立体感がすごくて、ディズニーランドの乗り物のような未来の世界というか。予算、高そうなライヴだったよね」
――Perfumeのパフォーマンスはどうでした?
マーティ 「踊りのフォーメーションとか、振り付けは巧かったですね。終わっても余裕、疲れたそぶりがあまりないし、汗かいてなさそうだし。前半の曲でいうと〈エレクトロ・ワールド〉は初めてPerfumeを知った曲で、その曲だけギターのサンプルが入った、僕の好きな
ラモーンズっぽいフレーズが入ってたから好きな曲。ライヴの頭にあったのはよかった。2曲目の〈edge〉は〈love the world〉のカップリングじゃない。けっこうシンプルで“タンタン、タタタン、タタタン、タタタン”ってメロディが頭から離れないじゃん。MCもよかったけど、お客さんと会話するのは日本だけだよね。海外だと、ステージの上に立っている人たちって、大きい会場のときはお客さんとの壁を作っちゃう。でも、Perfumeは歌ってないときは一般の人って感じなのもチャーム・ポイントだよね。僕はクールな感じでもいいんだけどね、Perfumeは曲がすごくいいから」
――今回のライヴはアルバム
『GAME』に収録された曲が中心でしたけど、そのなかで好きな曲はどの曲でした。
マーティ 「一番好きな、ツボに入ったのは〈ポリリズム〉。間奏というか、変拍子のところがポイントだね。ポップスの中にはあまりない。だから、そこをうまく使ってるからリスペクトしてる。プログレっぽいんだけど、ポップ。あと、ライヴの1曲目だった〈コンピューターシティ〉の最後の方にも変拍子があったよね。あと、〈ジェニーはご機嫌ななめ〉はテンポが速くて、未来のパンク・ロックって感じでよかったね。だけど、全体的にPerfumeの曲は、タイトルがかっこいいよね。〈チョコレイト・ディスコ〉とか買いたくなるタイトルじゃん。僕の好みは、全体的にハッピーなポップスがストライク・ゾーンのど真ん中なんだよね」
――ライヴが終わった後の帰り際でも、“売れる前から好きだった”と言ってましたが、そもそも、最初にPerfumeを知ったのはどんなきっかけだったんですか?
マーティ 「最初に聴いたのは、昔、
しょこたんの番組で“アイドルのよさを語る”っていうコーナーがあって。全然Perfumeが一般には知られてない時期でしたね。2、3年前くらいかな。たぶん〈エレクトロ・ワールド〉を番組で取り上げて、しょこたんに“なぜこの曲がすごいのか”を解説してあげたと思う。その頃は、業界内では盛り上がるかもしれないと思ったけど、こんなに売れるとは思ってもなかったですね。さすが“日本のリスナーは耳がいい”って思ったし、僕も新しいものを追求している立場だからPerfumeが売れたのは嬉しかったよ。今回の武道館公演は、それが実感できるライヴだったね」
取材・文/清水 隆(2008年11月)
【Perfume Information】
Perfume New Single
「Dream Fighter」(TKCA-73395/11月19日発売)
1. Dream Fighter
2. 願い
3. Dream Fighter -Original Instrumental-
4. 願い -Original Instrumental-
【代々木第一体育館でのライブ2DAYS決定!!】
Column
マーティ・フリードマンがJ-POPの有名楽曲を
独自のアレンジで弾きまくり!
――マーティさんがPerfume以外で最近好きなアーティストは誰ですか?
――幅広いですね(笑)。そんなレンジの広いマーティさんですが、最近の活動では、ポケメロJOYSOUNDで面白い企画をやっているらしいですね。
マーティ 「『日経エンタテインメント』の連載「J-POPメタル斬り」で紹介したJ-POPの名曲を自分なりにギターで解釈するという、ダウンロード・キャンペーンをやります。普通は僕が弾かないと思われるような、
嵐とか、
ドリカムとか、
ミスチルとかの曲を。面白そうでしょう? Perfumeの〈ポリリズム〉もいつかやりたいな。“信じられないよー”と思うような解釈でやるつもりなので、聴いたら絶対ビックリすると思うよ」
――マーティ流に料理される“J-POP”、それは楽しみです! たくさん、ビックリさせてください。
【マーティ・フリードマン Information】