彼らとともに青春時代を過ごしたアラフォーから、彼らの現役時代を知らない(ヘタしたら生まれていない!?)ティーンエイジャーまで、さまざまな層の音楽ファンを巻き込んで大いに盛り上がっている
ユニコーン再結成! 先頃リリースされたアルバム
『シャンブル』も絶好調! 待望の全国ツアーを控えた彼らに、復活に至るまでの流れから、ツアーにかける意気込みまで、たっぷりと語ってもらいました。
祝・再結成! ユニコーンSPECIALインタビュー
「違和感はまったくなかったですね。去年もレコーディングしてたね、みたいな感じ」(川西)
──16年ぶりの再結成ということで、完全に寝耳に水の復活劇なんですが、まずは再結成のいきさつからお聞かせください。
川西 「まず阿部が話を切り出したんですけど、再結成しようというより、また5人で集まって曲作ったりしたら楽しそうじゃないって感じだったんです。阿部曰く“今の音楽業界はつまらん! 最悪だ!!”ってことで(笑)、僕も阿部ほどじゃないけどそう思うから……」
阿部 「あのさあ、これ文字になるんだからね。本気だと思われたらどうすんのよ(笑)」
川西 「ああそうか、忘れてた(笑)。それで2008年の1月にみんなで集まって、曲を作ってみようという話になったんです」
──もう一度集まるにはいいタイミングだったってことでしょうか。
奥田 「やろうと思えばできたってことなのかもね、ずっと。偶然のものだからわかんないけど、誰かが言わないと始まらないからね」
阿部 「でもね、なかなか言い出せないもんですよ、正直。
レピッシュが再結成して
MAGUMIと呑んだときに“頼むからユニコーンだけはやってくれ!”ってずーっと絡まれてて(笑)。“そうは言ってもオマエ、再結成しようって自分から言えるか?”って言ったらMAGUMIは“オレは言えない”って(笑)、そんな話をしてたぐらいですからねえ。でも再結成すると決めたら真っ向勝負でいきましたよ。やるなら真っ向、マッコウクジラです!」
奥田 「やるならマッコウクジラって、わけわかんないよ(笑)」
川西 「で、その3か月後くらいにデモ・テープを持ち寄って、酒を呑みながら聴いて。“じゃあレコーディングしようか”ってスタジオに入ったけど、その時点でもまだリリースする話はなかった。まあスタッフ・サイドではあったんでしょうけど、僕らは“とりあえず楽しもう”みたいな感じで」
──スタジオに入って音を合わせたときの感触はいかがでした?
手島 「ああ、なかなかね、たいしたもんですよ。誰ひとり音楽をやめずに、みんな現役でパッと集まってやるわけですから。ものすごい手応えがありましたね」
川西 「ほんと、違和感はまったくなかったですね。去年もレコーディングしてたね、みたいな感じ」
奥田 「そこまでじゃないけどね」
川西 「じゃあ、一昨年(笑)」
EBI 「あの感覚は不思議でしたね。(織田裕二のマネをする山本高広のマネで)キターーー!! って感じ……(一同沈黙で)あれっ?」
奥田 「なーにモノマネしてるんだよ(笑)。ちなみにEBIはまだベースで曲書いてんの?」
EBI 「今回はぜんぶギターで作った」
奥田 「なのになぜかベースで作ったような曲ばっかりだよね」
阿部 「ギターでもベースのコードしか鳴らさないんじゃない?」
手島 「その可能性はでかいよ(笑)」
EBI 「一応ギター・コードも鳴らすよ! 曲はね、気付いたら書いてる感じ」
川西 「EBIは無意識でETC突破する男だからねえ。まあ、自然体ってことだよね」
奥田 「ぜんぜん自然じゃないよ、それ(笑)! オレ、昔からEBIは変わってんなーと思ってたんだよ。解散後に自分がEBIと同じB型だって知ったとき、すごいショック受けたもん」
EBI 「まあ、変わってるんでしょうねえ〜(他人事のように)」
──私は今回のアルバムの中でもとくにEBIさんの曲を聴いて“ユニコーン聴いてる!”って実感が沸きました。この曲は一体どこから生まれたんだろうって、モヤッとする感じが、まさにユニコーンだと(笑)。
EBI 「オレの曲聴いてモヤッとするの!? モヤかあ〜〜〜(大いにヘコむ)。まだまだだあ〜!」
阿部 「どう聴かれたら納得するんだよ(笑)」
川西 「たぶんEBIの曲は、カテゴリーに当てはまらないからじゃないかな。これはパンクっぽいとか理解しやすいイメージがあれば安心できるけど、どう解釈したらいいのかわからないから聴く人もモヤッとするんじゃない?」
奥田 「それは、たしかに言えるなあ。EBIの曲やってると当時の感覚を思い出すもんね。ここだったのか、オレたちのポイント」
「オレたちが死ぬまで音楽を続ける上で、ユニコーンという活動方法もあるということです」(奥田)
──ちなみにアレンジはどのように構築していくんでしょうか。
手島 「それぞれのデモテープが基本なので、その雰囲気を大切にしながら発展させていく感じですよ」
奥田 「川西のデモなんて、まるで民族音楽だからね(笑)。“トントン!カンカン!”っていう工事現場みたいなすっごい音が入ってるし、この雰囲気を出すには一体どうすりゃいいんだって話し合うことになる。そうやって、ああでもない、こうでもないって盛り上がる現場がないと楽しくないんじゃないかな。そのムダな回り道に、ちょっとだけ何かいいことがあるんですよ」
川西 「いまだに昔と同じやり方ができてるっていうのがおもしろいよね。今はなかなかレコーディングでここまで時間を取ってもらえないし、そこはやっぱり、ユニコーンっていうバンド名を笠に着てね(笑)」
──そこですぐ昔のままの空気に戻れるっていうのがいいですね。
阿部 「そりゃそうだよお。楽器が変わっても弾く人が一緒なら音は同じだもん」
奥田 「でもまあ、こういう状況を他の生活に当てはめるのは難しいかもね。もう1回同じメンツで集まって仕事するとかさ、聞いたことないもん」
川西 「たしかにこのメンバーだからっていうのはあるよね。こういうふうにすればユニコーンになるっていう法則はないし。いまだにユニコーンのフォロワーがいないのは、この5人だから、こうなってしまうっていうことなんだと思う」
──でも今、多くのバンドマンが「ユニコーンみたいになりたかった」って言うんです。メンバー全員が曲を書いて、ヴォーカルを取って、一人ひとりのキャラが立ったバンドになりたかったと。でも結局、誰もユニコーンのスタイルを踏襲できなかったのは……。
奥田 「いや、誰もできないんじゃないよ。無理やりやらないからなんですよ。だって当時はもう、オレがメンバーに口を酸っぱくして言って、なかば無理やり曲を書かせてたんだから」
EBI 「僕もそれまで曲なんて書いてなかったしね」
──みんな“オレがオレが”って感じで作ってるんだと思ってました……。
奥田 「いや、むしろ“君が君が”(笑)。当時はバンドも多かったし、目立たなきゃいけないから、いろいろ考えたんでしょうね」
阿部 「テクニックがあればあるところに収まるけど、無理やりやるしかないから、いろいろ工夫するわけです。だから独特になっていったというか、独特にするしかなかった」
──そう思うと、バンドは誰とやるかが大事ですねえ。
奥田 「でもバンドって意外とメンバーを決められないんだよね。最初に作るバンドなんて単純に友達同士だったりするし、たまたまこのメンバーになっちゃったことに途中で気付くんです。そこで、この5人なんだからこうするしかない、しょうがねえ、ということになる」
──なるほど。
奥田 「で、今となっては、オレたちが死ぬまで音楽を続ける上で、ユニコーンという活動方法もあるということです。それぞれ色んな場所を作ってきた今だから、余裕もあるし、やりやすい。良くも悪くも、こういう場所はひとつしか作れないものだから」
──今回のニュー・アルバムが非常にユニコーンらしい作品になった理由がわかったような気がします。そして3月からは全国ツアーが始まりますが、意気込みをお願いします。
手島 「ライヴやりながら痩せていきたいです」
奥田 「ライヴの前に痩せるんじゃないの?」
手島 「まあ、リハで立ってギター弾けば痩せると思うんだよね。もしくは本番で座ってるかもしれない(笑)。とにかく途中でこと切れたらいかんですから、最後の沖縄にぶじ到達できるよう、自分の体に聞きながらやりますよ」
奥田 「テッシーが衣装のことをやたら気にするんだよ」
川西 「リハーサルもこれからなのに(笑)」
手島 「そこはほら、機能性を考えたり、洗濯したり、何枚も作んなきゃいけなかったりするわけだから……」
──そういうことはスタッフが考えてくれるんじゃないでしょうか(笑)。
EBI 「で、衣装はどうやらおそ松君のコスプレに落ち着きそうだっていう噂(笑)」
──レコーディング同様、ツアーで蘇る感覚もたくさんあると思うので、楽しみにしています。あと、昔の曲も期待してます。
奥田 「もちろんやりますよ。3曲はやります!」
川西 「少なっ!」
取材・文/廿楽玲子(2009年1月)