2010年は、ベスト・アルバム
『19972007』(1月発売)やオリジナル・アルバム
『TO THE LOVELESS』(5月発売)のリリース、さらには『TO THE LOVELESS』を引っ提げたライヴ・ハウス・ツアー<JAPAN TOUR 1stSTAGE>(6月16日〜7月16日/全17公演)と、精力的な活動を続けている
BOOM BOOM SATELLITES。その後もさまざまな夏フェスに出演し、ハイクオリティなパフォーマンスを披露していた彼らのネクスト・ステージがまさに始まろうとしている。<JAPAN TOUR 2ndSTAGE>として、9月17日の福岡DRUM LOGOSでの公演を皮切りに10月2日の幕張メッセイベントホールまで、2010年最後の国内ワンマン・ライヴが敢行される(その後は全米ツアーへ)。そこで、<JAPAN TOUR 2ndSTAGE>の直前の彼らに話を訊いた。
BOOM BOOM SATELLITES
<JAPAN TOUR 2nd STAGE>●9月17日(金)福岡DRUM LOGOS
●9月20日(火)仙台ZEPP SENDAI
●9月24日(金)名古屋ZEPP NAGOYA
●9月25日(土)大阪ZEPP OSAKA
●10月2日(土)東京 幕張イベントホール
※オフィシャルサイト
http://www.bbs-net.com/tour/ <Premium Extreme GIG>@Club asia
Photo By Masanori Naruse
――BOOM BOOM SATELLITESの2010年の活動を振り返ってみると、ベスト盤やオリジナル・アルバムのリリースから、ライヴ・ハウス・ツアー<JAPAN TOUR 1stSTAGE>まで、さまざまなことがありました。まずは、ベスト盤やオリジナル・アルバムのリリースに関して、いま改めて考えて印象に残っていることはありますか?
中野雅之 「振り返る余裕があまりないのが正直なところですが、ベスト盤に関しては過去の曲たちを振り返ることで、改めて自信につながった部分もあるし、オリジナル・アルバムも完成度の高いものが出来上がって、やりきった感があります。ライヴ・ハウスのツアーは初めての経験だったけど、ダイレクトにお客さんと接することができて、すごく充実した時間を過ごすことができたので、忙しかったけど、いいことばかりだったように思います」
<Premium Extreme GIG>@Club asia
Photo By Masanori Naruse
――ベスト・アルバムからオリジナル・アルバムという流れには、何か意図がありましたか?
中野 「意図はなくて、ベスト・アルバムは一生出すことがないと思っていたから、必要に迫られてベスト・アルバムの制作に手をつけたけど。思ってた以上に作品性の高い音楽的なベスト・アルバムが出来上がったので、結果として過去の音源を振り返りつつ、新しい音楽的ビジョンを見せることができるいい流れができたなと思いました」
<JAPAN TOUR 1stSTAGE>@新潟LOTS
Photo By Pas magazine
――ライヴ・ハウス・ツアー<JAPAN TOUR 2010 1stSTAGE>では、場所をライヴ・ハウスに限定した理由はありますか?
川島道行 「今ままで行ってみたことのない街で、今まで僕たちのライヴを観れなかったたくさんの人たちに、直にショウを観てもらおうと思ってのツアーだったので、結果としてライヴ・ハウスという場所になったけど、普段とまったく違う価値観でライヴをやることができて、とても有意義でした」
――<〜1stSTAGE>が終わり、振り返ってみてご感想はありますか?
川島 「今までにないほど狭い会場でやったので、お客さんの熱気で酸欠になるという経験をする場所も何ヵ所かありました。そのくらい、熱狂して楽しんでもらえているのをステージ上が酸欠になることで実感しました」
<FUJI ROCK FESTIVAL'10>
Photo By Tsukasa Miyoshi
――5月〜8月には、さまざまな夏フェスに出演されました。とくに印象に残ったフェスはありますか?
中野 「フェスティバルはそれぞれカラーがあるので、ステージごとにいろいろな思いがありますが、デビュー当時から、今年で6回目の出演となるフジロックはとくに印象に残るステージでした。初めてのレッドマーキーの出演から、今年は初のグリーンステージでのパフォーマンスだったので、とても緊張しましたが、海外アーティストのアクトに囲まれながらもよいパフォーマンスができたんじゃないかと思います」
――最後に、9月17日〜10月2日のアリーナ・ツアー<JAPAN TOUR 2010 2ndSTAGE>はどんなツアーになりそうですか?
中野 「今回、『TO THE LOVELESS』というニュー・アルバムを持って、バンド史上一番長いツアーを組むことができて。これまで体験したことのないライヴ・ハウスでのツアーや夏フェスでの経験も経たし、バンドのスケール感が感じられるアリーナ・ツアーになると思います。このバンドの音楽は、パッケージとは違ったライヴでしか体感できない楽しみ方があるので、是非、実際に足を運んでもらいたいと思っています。このアリーナ・ツアーのあとはアメリカ・ツアーがあって、その後は制作期間に入ったり、2010年の日本国内でのライヴはおそらく最後になるのと思うのでお見逃しなく」
取材・文/清水 隆(2010年9月)
【Column】
BOOM BOOM SATELLITESのライヴの魅力
<FUJI ROCK FESTIVAL'10>
Photo By Tsukasa Miyoshi
今年の夏、フジロックとライジング・サンで観たBOOM BOOM SATELLITESのライヴ(どちらもいちばん大きい、メイン・ステージ)は、本当に強烈だった。これまでのキャリアを網羅しながら最新作『TO THE LOVELESS』の世界観に至るパフォーマンスは、彼らが辿ってきた軌跡をリアルに描きつつ、90年代の後半から現在にいたるロック〜ダンス・ミュージックの変遷――ビッグ・ビート、ドラムンベース、エレクトロ、サイケデリア――を一気に駆け抜けるような快感があったのだ。もうひとつ個人的な感想を言わせてもらえれば、ロック・バンドとしてのダイナミズムがさらに向上していたこと、そして、川島道行が放つリリックが切実なメッセージとして突き刺さってきたことも強く印象に残った。どこまでも高揚していくロック・サウンドに体を揺らしながら、ときどき飛び込んでくる言葉に思わずハッとさせられる。そこからもたらされる圧倒的なリアリティは、BOOM BOOM SATELLITESが“現在”と強く繋がっていることをハッキリと証明していた。
ライヴ・ハウス・ツアー、夏フェス・シーズンを終えた彼らは、9月17日〜10月2日にかけてアリーナ・ツアー<JAPAN TOUR 2010 2ndSTAGE>を敢行する。先鋭的なサウンドを志向しながらも、社会のムードを鋭く反映させることで、常に“時代の音”を鳴らしてきたBOOM BOOM SATELLITES。今回のアリーナツアーで彼らは、自らの最新モードを凄まじいスペクタルとともに体現することになるだろう。世界に誇るダンス・ロック・サウンドをぜひ、いっしょに体感したいと思う。
文/森 朋之