神戸にてプロとしてのキャリアをスタートし、ボストン/バークリー音楽大学進学後はゴスペルチームのメンバーとして活動。
Chaka Khan、
Diana Ross、
LL Cool Jなどのツアーやレコーディングに参加し、2006年に帰国した後も、コーラス・アレンジ、バッキング・ヴォーカルなど数多くのアーティストを支え“彼女なしではライヴが出来ない”とまで言わしめる実力派シンガー、
YURI。親交の深い久保田利伸は“アジアで最高の女性シンガー”と惜しみない絶賛を贈る彼女、ついにひとりのアーティストとしてメジャー・デビューを遂げ、英語詞によるカヴァー・アルバム
『LoveRespectHarmony』を1月11日にリリース。本作へと至る軌跡、そして想いを語って頂きました。
【Introduction 〜YURI『LoveRespectHarmony』〜】
──メジャー・デビューおめでとうございます。 YURI 「とにかくドキドキ!!! 最初は不安ばっかりでしたが、アルバムの曲を1曲づつ完成させていくにつれて楽しみに変わっていった感じです。今は本当にデビューすることが嬉しくて、自分の歌をたくさんの人に聴いて欲しいな〜って思いでいっぱいです!」
──YURIさんにとって音楽的なルーツは?
──ゴスペルとはいつ頃出会ったのでしょう。
「ゴスペルは大学生の時に学内のゴスペル隊のオーディションに合格し、それがきっかけで聴いたり歌うようになりました。あの当時は
Kirk Franklinが爆発的に売れていて、しかもいわゆる“traditional Gospel”ではなく、もっとR&Bやポップスよりのサウンドでゴスペル音楽をお茶の間へ送り込んだ形でデビューしたので色んな批判もいっぱい浴びてましたが。。。そのKirk Franklinのアルバム『God's Property』から<Up Above My Head>という曲があるんですが、私自身、ゴスペル隊で初のソロを歌った曲なので良く覚えています! 後は“この人は人間!?”って思うような歌を歌うKaren Clark-Sheardの
『The Heavens Are Telling』が衝撃的!!! その中でもKarenの娘のKiki Clarkがゲスト参加している<You Loved Me>は凄いです。
Jill Scottの曲をリミックスした曲ですが、親子で強烈です!!」
──アメリカではどのような活動をされていたんですか?
「学生生活中も積極的にバンドを組んで色んなイベントに歌いに行ったり、後はボストンのFoxboroughスタジアムで試合の前にアメリカ国歌を歌わせてもらったりしてました。ひょんなきっかけでDiana RossやLL CoolJのサポートをしたりと結構幅広く活動してました。とにかくあの当時は色んな経験をしたいと思って色んなオーディションを受けましたね。アメリカのentertainment世界はいたとえ大御所でもオーディションをするのが基本的スタンスなので大学卒業後、何年か経ってNYへ移ってからも色んなオーディションしました。向こうのお客さんは、特に東海岸の人たちは凄く正直なので平気でブーイングしたりもしますし、そういう意味では自分のコンディションがどうであれ常にベストを尽くす!って思いで色んなクラブで歌ったりしていました」
──久保田利伸さんとの出会いは? 「もともと洋楽を主に聴いてた少女時代でしたが、ある日
『KUBOJAH』というアルバムを見つけてCD屋さんで視聴したら“なんだこれ!!!!”って衝撃を受けて、日本にもこんな歌を歌う人がいたんだ、と思って、そこからずっと憧れてたシンガーです。大学を卒業してからはバイトしながら夜はバンドで歌ったりして毎日を送っていました。そんな時に知り合いから“久保田利伸さんがシンガーのオーディションをNYでしている”と聞きつけて、オーディションに応募し、テープ審査を合格した後NYで生オーディションしに来てほしいと言われて、その当時持ってた少ないお金でボストンからニュ−ヨークまでバスで行って、ご本人の前でオーディションさせてもらいました。そのオーディションに合格したのがきっかけでこの世界へ入りました! 今回のデビュー・アルバムを出すまで、帰国してからは自分のワンマン・ライヴをやったり、曲を書いたりしつつライヴ・ツアーやレコーディングという形で色んなアーティストさんのサポート・ヴォーカルなどのお仕事をしてました。自分にしか歌えない歌や曲、伝えていきたいこと、残したいこと(歌)をCDにしていきたいな〜と思っていたら、今回のCDを出すチャンスが来てデビューが実現しました!」
──アルバム『LoveRespectHarmony』の選曲はどのように行ないましたか?
「今まで私が一緒に歌った方たちの曲からまずスタートして、周りの人からのリクエスト、意見などを参考にしながら基本、私がその中でも特に好きな曲たちを選んでみました」
──“英語詞”で歌った、そのこだわりは?
「色んなカヴァー・アルバムが出ていますが、ちょっと違ったカヴァー・アルバムを目指したくて、特に海外生活も長かったことや自分が実際ライヴでサポートした曲だからこそ英詞にしてみたらYURIの世界が出来るんじゃないかなと思って今回は英語詞にしました!」
──参加されたアーティストの方々との共演はいかがでしたか?
「とにかく皆さん快く受けて下さって本当に感謝しています! レコーディングの時に初めて冷や汗をかいたのを今思い出しますね。。。オリジナルを書いた人の前で自分がそれを歌って、その上、今度はその人たちにコーラス歌わせながら“こういう風に歌って下さい。。。”ってブースから指示を出すんだからある意味斬新〜!って思いつつ(笑)!!」
──完成後、ご自身ではアルバムについてどんな印象をお持ちですか?
「あの曲のあのパートをもうちょっとああすれば良かったな〜って、所々聴きながら思いつつ、デビュー・アルバムなのにこんな豪華なゲストの皆さんに参加して頂いたことが凄く嬉しかったり、やっぱり何が何でも私はシンガーなので生歌、生声にこだわって、歌を大事にレコーディング出来てよかったな〜と思います。後はやはり生の楽器のサウンドに勝てるものはないと思うんで、そこも改めて聴き直した時にそうして良かった!と思いました」
──アルバムに唯一収められているオリジナル曲「IF」について教えてください。
「人は皆様々出会いや別れがある中、恋人だったり、別れてしまった人だったり“もう一度会えたら、再会出来たらどんなにいいだろう?”って考えることが誰にでもあると思います。私が日本へ帰国してから色んな思い出を振り返ってみて、大好きだった人との別れだったり、大好きな仲間を病で失った時のこと、色々思い出していたら自然と歌詞とメロディが書けました」
──読者の皆さんへメッセージをお願い致します。
「音楽、歌を愛する心は誰にも負けないと思っています!色んな方にYURIの歌を知ってほしいと思っているのでこれからも宜しくお願いします!!」
【Interview 〜YURI『LoveRespectHarmony』〜】
ニューヨークで久保田利伸のツアーメンバーのオーディションで発掘され、その後バックコーラスとしてツアーに長年帯同。近年では
トータス松本、
JUJU、
AI、
DREAMS COME TRUE、チャカ・カーンらのライヴや作品に関わり、数多くの有名ミュージシャンたちに絶大な信頼を置かれているスーパーシンガー“YURI”。そんな彼女が満を持してキャリア初となるアルバム『LoveRespectHarmony』をリリースした。
高校時代から歌うことの素晴らしさに目覚め、神戸でジャズ・カルテットに参加。卒業後渡米しバークリー音楽大学で声楽を専攻し、在学中には100人を超えるゴスペル隊への参加〜ダイアナ・ロスやLLクールJといった大物アーティストのライヴへ学生メンバーとして抜擢されるなど様々な経験を経て来た。
「最初の数年は人種の壁を感じながら歌い続けていました、アジア人シンガーということで“どうせ歌えないだろう”という固定されたイメージもあって──」と当時を回想する通り、卒業後のキャリアの駆け出しの時期はボストンでバー、結婚式の二次会など様々なところで歌い続けるタフな日々が続いたという。
そんな彼女に転機が訪れたのはニューヨークを拠点に活動している久保田利伸のツアーメンバーのオーディション。手持ちの片道の旅費60ドルを持ってNYへ向かい、久保田の目の前で歌うチャンスを掴み見事合格。その後はツアーメンバーの一員として、久保田の国内ツアーに“逆輸入シンガー”という形で参加しつつ、ニューヨークでファンクバンドを結成しソロ・アーティストとしても活動の幅を広げた、その後2006年には日本に活動の拠点を移し現在に至る。
彼女が「自らシンガーとして自分だけにしか歌えない歌を歌おう」という信念のもと臨んだという初のアルバム『LoveRespectHarmony』は、彼女の過去10年の音楽キャリアで関わったミュージシャンたちに敬意をこめ、それぞれの代表曲をYURIがカヴァーし、オリジナルを歌う本人たちにコーラスとして参加して貰う――という一つのコンセプトから始まった。
英詞カヴァーとなった名だたるJ-POPナンバーはYURI自らが歌詞/アレンジを手掛け、本人ゆかりの実力派ミュージシャン立ちあいのもと生音を重視したサウンドで録音。ゲスト・ヴォーカルも彼女の呼びかけにオリジナルを歌うトータス松本、AI、JUJU、久保田利伸など錚々たる面々が参加を快諾した。
アルバムのオープニング「クリア!」では「仕事で関わる前からウルフルズの曲、そしてトータスさんの歌声が大好きだった」と明かすトータス松本をフィーチャー。本来のコンセプトだった“英語の歌詞でカヴァー”というコンセプトはこの楽曲に限っては敢えて除外し日本語の持つグルーヴ感を保つためにトータス本人に歌って貰った。結果、英語と日本語詞が混ざりあうことでよりライヴ感溢れる共演が演出され、YURIの英語とトータスの日本語のかけあいもリハーサルで偶然アドリブから出来あがったアイディアを採用した。
プライベートでも友人であり「共に“歌バカ”という位に歌うことが好き」と称するAIとの共演曲は「My Friend」。YURIが参加したAIのツアーでオーディエンスが合唱するほどの人気曲で身を持って体感した感動から選んだ。「食事やカラオケにも行く仲」だという 二人、レコーディングでは「シンガー同士お互いを理解から自然にハーモニーに生まれた」という。
プロとして音楽活動を始めて約10年来の付き合いであり「長年の憧れであり、常に音楽を追及しているスペシャルな存在」と語る久保田利伸の楽曲は「好きな曲がいっぱあり1曲じゃとまらない」ということから久保田がゲストコーラスで参加した「GODDESS 〜新しい女神〜」と「the Sound of Carnival」の2曲を敢えて選んだ。
数年前にビルボードライヴで共演した想い出のアーティストで「ドラムも歌も上手で昔も今もシンガーだけでなくマルチなミュージシャンとしての素晴らしさを教えてくれる人」と称えるチャカ・カーン。YURIのルーツの一人という彼女の楽曲からは、NY時代からライヴ・レパートリーに加えられている「YOU GOT THE LOVE」。その他にも「最近のワンダーランドツアーへ参加し
吉田美和さんの歌の素晴らしさを体感し、一方で誰でも知っているヒット曲を歌う難しさも改めて感じた」と明かすDREAMS COME TRUE「LOVE LOVE LOVE -ENGLISH VERSION-」は、敢えて声とギター一本という限りなくシンプルなスタイルで録音した。
アルバム最後には長年原曲のアイディアがあり書き留めていたという本作唯一のオリジナル曲「IF 〜english version〜」。「ニューヨークを去る時に、長年親交を深めていた友人たちへ向け「またこの愛しい人たちに会えたら素晴らしいね」と、想いを綴った曲。「今後はさらにオリジナル曲をレコーディングすることもやって行きたい。10代から作曲をしていて今もどんどん創り続けている」と語る通り今後の彼女のキャリアのプレビュー=予告編とも言える作品だ。
カヴァー作と銘打ちながらYURIのアルバム『LoveRespectHarmony』は、オリジナル楽曲を歌うアーティストたちとの関わりの深さ、そして名曲の数々が生み出した現場の空気などを感じ続けて来た彼女だからこそ実現できたアイデンティティの結晶のような一枚だ。「長年サポートとして歌い続けてきて、今後シンガーとしての自身の活動の幅をどんどん広げて行きたいし、このアルバムを通して私を知ってる人も知らない人も 「歌に何か感じるものがあるね」と思ってくれると嬉しい。歌の力で人を動かすことが出来るのが夢」と語る彼女の活動に期待したい。 (提供:日本クラウン)