[プリメインアンプ] 315,000円■出力: 50W + 50W(8Ω) / 75W + 75W(4Ω) ■オーディオ入力: ライン3系統 / フォノ1系統(MM / MC切替) / 録音入出力1系統 / セパレート入出力1系統 ■外形寸法: 400W x 169H x 330Dmm ■重量: 15kg※お問い合わせ: ラックスマン(株)
www.luxman.co.jp レトロなデザインと線が太く、味の濃いサウンドが魅力
Lで始まるレギュラーシリーズの型番がついているけれど、実はちょっと風変わりなプリメインアンプ。それが本機、
「L-305」である。ラックスマン・ファンだったら、あれ? と思うにちがいないレトロなパネルフェイス。れっきとしたトランジスタアンプなのだが、むしろ真空管増幅の「38u」シリーズに近いデザインテイストが第一の特徴で、ずばりいうなら1970年代の人気作がそっくりそのままよみがえったような感じがする。
とはいえ特定のモデルの復刻版ではない。パワーアンプ部の回路設計に80年代の技術(ODβ回路)を組み入れたり、ターンオーバー周波数の切り替えができるトーンコントロール回路を復活させたりする一方で、リモコン対応の電動マスターボリュームを装備し、PHONOイコライザーには近代的なMM / MC選択機能を付加するなど、自由な発想によって独自の存在感を打ち出そうとしているのだ。こういうアンプは、ほんとうに珍しい。
伝統的なロ(ろ)の字型木箱ケースを採用。
アナログレコード再生が楽しめるMM / MC対応の
フォノアンプを内蔵する
とにかく外観の雰囲気がまるごと1970年代なので、PCオーディオ&ハイレゾ音源などの今様デジタル入力にまったく目を向けていないことはもちろんだ。カタログにはこう記されている──周波数レンジやダイナミックレンジを欲張ることなく、音楽の主たる帯域にエネルギーを集中させた音創りにより、往年の名スピーカーとの組み合わせやアナログ全盛時代の名演奏・名録音を当時の雰囲気で堪能していただけます──。
これを読むと古色蒼然のクラシカルサウンドが聴こえてくるように思われるかもしれないが、けっしてそうではない。実際に聴いてみれば、高性能な現代のスピーカーだってきちんと鳴るし、SA-CDの高速サウンドにも不足なく反応してくれる。そういう意味では、まぎれもない21世紀のアンプである。ただ、Lシリーズの現行モデルが、どちらかといえば細身傾向のくっきり鮮やかなサウンドを聴かせるのに比べて線の太い、あるいは当たりの柔らかい音。たしかにさほどワイドレンジではないのだが、そのかわりゆったり安定して味が濃い、と聴けるところが本機の値打ち、存在理由である。わけても1950年代のコンボ・ジャズなど鳴らすと、音のひとつひとつに聴き慣れたCDとは思えない重厚な質量感がついてゾクゾクしてしまう。
このアンプは、できたら自分の耳で聴いて、納得して選びたい現代の異色作だ。好みに合えば最良の伴侶にもなり得る逸品。
[スピーカー] オープン価格 58,800円前後 / ペア■形式: 2ウェイバスレフ型 ■ユニット: 5.25インチウーファー / 1インチコンプレッションドライバー + ホーン ■再生周波数: 50Hz〜24kHz ■インピーダンス: 8Ω ■出力音圧レベル: 92dB ■外形寸法: 165W x 289H x 272Dmm ■重量: 9.5kg※お問い合わせ: (株)イーフロンティア
www.e-frontier.co.jp 包み込むような低域と
スピード感のある中高域が音楽をリアルに描き出す
背面には壁掛け使用のための
金具も装備されている
創業は1946年というから、世界中見渡しても、かなりの老舗ブランドといってよいだろう。ここに紹介する
「RB-51II」は、そんな同社の新シリーズ“Reference”のブックシェルフ型。“Reference”は、フロアスタンディング型の
「RF-7II」やセンタースピーカーの
「RC-64II」、さらにはダイポール型の
「RS-62II」などを擁し、マルチチャンネルにも対応している。各モデルともトゥイーターの振動板にはチタンを用い、さらに独自に開発したTractrixホーンと組み合わせている。また、ブロンズに輝くウーファーの振動板は、強さと軽さが融合したセラメタリック素材だ。
ペンギン・カフェでは、チェロの深い音色が印象的だ。小型ブックシェルフでありながら、リスナーを大きく包み込むような低域は、同価格帯の他社スピーカーと比較してもトップクラスだろう。また、高域成分、たとえばパーカッションがくっきりとした輪郭を伴って鳴っているのがわかる。ゴンザレスでも同様のイメージだ。ピアノの低域が太く、深い。自然なリヴァーブも加わっており、メロディやハーモニーと相まってどこか官能的な匂いがする。低域が大きく息をしているように感じることすらある。また、高域の解像度は十分にあるが、刺々しくならないところにも好感が持てた。一方で、山中千尋ではドラムスの音像がやや大きくなるようだ。手数が多い分、それが顕著になる。ピアノがドラムスの影に隠れてしまうように聴こえることもあった。ただし、中高域はスピード感があり、シンバルレガートのニュアンスも味わえる。小音量でもバランスが破綻しないし、このサイズだから、小型のDACやアンプと組み合わせてデスクトップPCオーディオシステムを構築してみてはいかがだろう。