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MONSTER DNA
オープン価格 / 19,800円前後■形式: 密閉型 ■ドライバ: ダイナミック型 ■ケーブル長: 1.3m ■重量: 172g ■カラー: ブラック / ホワイト / コバルトブルー / ホワイトティール ■付属品: Mini-Miniケーブル / CTケーブル / キャリングケース / 抗菌クリーニングクロス※お問い合わせ: 完実電気(株)
www.kanjitsu.com 斬新なピラミッド型ハウジングからほとばしる力強い重低音
このところ
デヴィッド・ボウイの新譜
『ザ・ネクスト・デイ』ばかり聴いている。レコーディングは極秘で進められ、突如として発表されたアルバムだ。そのため情報が乏しく、各音楽雑誌も記事作成に苦心した跡が伺える。しかし、それがかえって、僕には面白かった。とくに
「CDジャーナル」4月号の渡辺 亨、岡村詩野両氏による対談は出色。新作の情報だけに頼らず、ボウイのバックボーンやサウンドの変遷など、彼にしか到達しえなかった世界を浮かび上がらせたからだ。そんな良質な考察を眺めつつ、音楽に浸ることができるのは幸せだ。そして、音が良ければなおさらである。
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今回紹介するのは、米国モンスターのヘッドフォン「DNA」である。本機はバイアコム社とのコラボレーションで誕生した。バイアコム社とは、米国に本拠を構える巨大メディアグループで、CBSやMTV、パラマウント・ピクチャーズ、ドリームワークスなどをその傘下に収めている。同社との協業で、エンターテインメント業界で培ったノウハウやセンスの吸い上げや、メディアを通じての販路や認知度の拡大などを狙ったのだろうか。特徴はピラミッド型のハウジングを採用したことだ。また、カラーはブラック、ホワイト、コバルトブルー、ホワイトティールの4色が用意されている。ケーブルは片出しで、入力は左右に用意されており、どちらも使うことができる。また、通常のケーブルのほかに、iOS対応のControl Talkケーブルも付属。
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では、これで『ザ・ネクスト・デイズ』を聴いてみよう。しかも、早々にHD tracksから96kHz / 24bitのハイレゾ版もアップされた(サイトの表記では48kHzだが、実際にダウンロードしてみると96kHzだった)ので、それを使用する。ヘヴィなギターと、ラウドなドラムスを従えてボウイが歌う、3曲目「The Stars(Are Out Tonight)」。このヘッドフォンの持ち味は、重心の低さだ。ハウジングは、小ぶりで耳乗せタイプだが、太い低域があふれ出してくる。まるで、大型のヘッドフォンを付けているかのようだ。また、この部分がわざとらしくないのもよい。力強いベースラインも十分に堪能できる。そんなふうに低域はよく鳴るのだが、強調感が少ないのも特徴的だ。バックに配置されたストリングスもなめらかに聴こえる。ただし、ギターのキレやスピード感はいまひとつだった。
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ボウイ66歳の誕生日にシングルカットされた「Where Are We Now?」でも低域の豊かさが味わえる。また、大きく、立体感のあるサウンドが、楽曲の寂寞とした雰囲気とほどよくマッチしている。ヴォーカルにもう少しきめの細かさがあれば全体のバランスはもっとよくなるはずだ。ただ、イヤーパッドは、柔らかすぎず、硬すぎずで、長時間使用していても耳が痛くなることはないだろう。66歳にしてなお、オリジナリティあふれるロック道を驀進するボウイ。その勢いや佇まいを耳から感じてほしい。