2016年で設立30周年を迎えたディストリビューター / レコード会社「ULTRA-VYBE(ウルトラ・ヴァイヴ)」が、同社の誇る“名盤”から、自社レーベル「SOLID RECORDS」作品を中心に厳選。全209タイトルをリイシューした「
ULTRA-VYBE presents 名盤1000円シリーズ」を7月4日(水)、18日(水)、25日(水)と3回に分けてリリースします。
7月4日に発売される第1弾「歌謡曲&ポップス編」(55作品)、「JAZZ / WORLD編」(50作品)をはじめ、7月18日発売・第2弾「SOUL / HIPHOP編」(50作品)、「ROCK / CLUB編」(44作品)、7月25日発売・第3弾「J-HIPHOP編」(10作品)と5ジャンル・全タイトルとも、2018年9月末日までの期間限定特別価格となる1,000円(税抜)にて販売。売り切れ次第終了となります。
ラインナップには、パンダ・ジャケットが目を引く
大上留利子『
ええ歌ばっか。』(1979年)、
加賀まりこによるポエトリー・アルバム『
愛のレッスン』(1971年)、はたまた、
ダースレイダー主宰レーベル「DA.ME.RECORDS」の軌跡をまとめたベスト『
Da.Me.Records 〜Since 2004〜』(2008年)、クリエイティヴ・チーム“
BCDMG”によるデビュー作『
ORDINARY LIFE』(2013年)、新曲も収録される客演集『
DOPE FILE』を8月にリリースするラッパー“
鬼”によるユニット“鬼一家”名義作の再発盤『
赤落+3』(2011年)など、多彩な作品が揃っています。
大上留利子『ええ歌ばっか。』
リリースに伴う記念キャンペーン「5枚買ったら必ずもらえる!1枚でも抽選で当たる!」も決定。キャンペーン参加店舗で対象商品1枚を購入すると配布されるスペシャル応募ハガキに、帯に付いているバーコード5枚を貼って送ると、A賞“名盤スペシャルCD”(ウルトラ・ヴァイヴが贈る非売品スペシャルCD)、B賞“名盤卓上カレンダー”(2019年仕様)のいずれかがもれなく進呈されます。応募締め切りは2018年10月3日(水)まで(当日消印有効)。詳細については
特設サイトにてご確認ください。
ディスク・レビュー
『仁義なき戦い』からARIWA音源まで、8作品をピックアップ
文 / 二木 信
歌謡曲&ポップス編
深作欣二監督の大名作『仁義なき戦い』のオリジナル・シリーズ5作品(1973年〜1974年)のテーマ曲の34ヴァージョンを収録。誰もが一度は耳にしたことのある主題曲だけでなく、様々なシーンに合わせて異なるアレンジが施された劇伴がずらりと並ぶ。つまりこの盤の企画主旨は、これらを手掛けた、パリ音楽院でクラシック音楽を専攻した経験もある作曲家 / 編曲家・
津島利章のアレンジの妙技に焦点を当てること。34曲目のラテン・ファンク・ロック風のアレンジの迫力たるや凄まじい。
コメディアンの話芸と音頭のノリの良いリズム――1976年からテレビ朝日系列で放送されたバラエティー番組「みごろ!たべごろ!笑いごろ!!」に登場するキャラクター、デンセンマンから生まれた「デンセンマンの電線音頭」というメイン曲の最大の聴き所である。
伊東四朗と
小松政夫の軽妙かつナンセンスな話芸、
キャンディーズの3人との掛け合い、そしていまであれば“エキゾ・ファンク”として解釈されそうな音頭のリズムと演奏のどれも痛快。ナンセンスの偉大さを思い知る。音楽監修は
宮川 泰が担当、
友川かずきや
なぎらけんいちらの参加曲も収録。
JAZZ / WORLD編
オリジナル盤のリリースは1977年。当時15歳、16歳、17歳だった3人の女の子から成るコーラス・グループのラヴァーズ・ロック作品にボーナス・トラック3曲を追加したのが本作。10代の少女たちのラヴァーズ・ロックと聞くと、ただただキュートな感じを想像してしまうかもしれない。でもちょっと違う。ふてぶてしさと繊細さが入り混じった3人の独特のヴォーカルは、スライ&ロビーらがこしらえた土台の上で、時おりバランスを崩しながら力強く波打つ。迫り来るカッコ良さ。エンジニアはあの
デニス・ボーヴェルが務めている。
DJ HIKARUによる
マッド・プロフェッサー率いるUKのレーベル、アリワのオフィシャル・ミックス。ダブ / レゲエを大きな根っこの一つに持つDJ HIKARUとアリワの相性は抜群である、というのは私がいまさら言うまでもないでしょう。強烈なダブ、洒落たラヴァーズ・ロック、攻撃的なラガやドラムンベース、あるいは
ミッドナイト・スター「キュリアス」や
トト「アフリカ」などのカヴァー曲を自由奔放に行き来するプレイは、心地良く踊りながら良い曲を発見するという至福の体験を与えてくれる。いまからの季節は特に最高。
SOUL / HIPHOP編
特に日本ではいわゆる“ブラコン”という呼称で十把一絡げにされてしまっていた1980年代のブラック・ミュージックを再評価しようという動きはある時期から散発的に起こる。ブギー・ファンクやシティ・ポップなどの流行も無縁ではないだろう。フリー・ソウルが、タブーというアーバン・ブラック・ミュージックのレーベルに焦点を当てた本コンピもその一つと言えるかもしれない。選曲は1980年前後の楽曲が中心で、これらが1970年代から地続きに存在するソウル・ミュージックであることを教えてくれる。
シカゴ・ソウルの名門レーベル、ブランズウィックの楽曲群から
須永辰緒が選曲したコンピレーション。ストリングやホーンの豪奢なオーケストレーション、コーラス・グループの美しいハーモニー、シャイ・ライツの天にも昇るようなファルセット、
ジャッキー・ウィルソンの猛々しいヴォーカル、また初CD化の曲もあり、このレーベルのソウルの素晴らしさをこれでもかと堪能できる。個人的には、陽気さや伸びやかさの中に胸を締め付けるような切なさが絶妙に散りばめられているところにとても魅力を感じる。
ROCK / CLUB編
タイトルの副題に「オリジナルを探せ」とある通り、
エルヴィス・プレスリー、または
ビートルズ、はたまた
ボブ・ディランや
ニール・ヤングや
ライ・クーダーらにカヴァーされた主に1950年代のロックンロールあるいはロカビリーを収録。が、一口にロックンロールと言っても、カントリー寄りの曲やリズム&ブルース色の濃厚な曲、あるいはジャンプ・ブルースっぽさを残す曲などもあり、収録曲は種々雑多。そんな中でも「アイ・フォゴット・トゥー・リメンバー」という曲の音響と“緩さ”は独特で、どこかで
坂本慎太郎に通じている気さえしてくる。
ザ・スプートニクス『
イン・トーキョー』
UVPR-10169 1,000円 + 税 スウェーデンのいわゆるエレキ・インスト・バンド、
ザ・スプートニクスが1966年に来日した際、当時の日本の流行歌をカヴァーした楽曲などを含む日本オリジナル・アルバムの復刻。すなわち日本でグループ・サウンズが流行する前夜に元々は発表されている。のちにザ・キング・トーンズ、そして
藤 圭子らに歌われる「暗い港のブルース」や
坂本 九の代表曲「見上げてごらん夜の星を」などをカヴァーしている。これら当時の流行歌の中にある日本的とも言える哀しみやブルースが彼らの演奏によって別の形で強調されているのが興味深い。