独創的なプレイ・スタイルとキャッチーなメロディ・センスで注目を集めるピアノ・マン、末光篤のプロジェクト、SUEMITSU & THE SUEMITHがメジャー2ndアルバム『Shock On The Piano』を発表! ここ最近のライヴでバックを務めてきた鈴木俊介(g)、ミト(b)、柏倉隆史(ds)といった腕利きのミュージシャンとともに多くの楽曲を練りあげた末に生まれた今作は、まるで音符の連なりが五線譜の上で楽しげにモッシュを繰り広げているかのような、ダイナミックかつライヴ感あふれる作品に仕上がった。 そのセンセーショナルなデビュー以来、アグレッシヴなピアノ・ロック・スタイルと抜群のソングライティングのセンスによりシーンに独自の存在感を示してきたSUEMITSU & THE SUEMITHの次なる衝撃。ショック療法ならぬ『Shock On The Piano』は2枚目のフル・アルバムとなる。
「これまでは完全に僕がプロデューサーの立場に立ってというのが強かったんですけれど、ライヴの機会が増えて、バンドでプレイしている感覚を意識するようになりました。それで今作はもっとライヴ感を色濃く出したいなと思ったんです。レコーディングもよりバンドっぽい感じになって、みんなでセッションしてアイディアを出し合いながらアレンジが生まれてくることが多くなったと思いますね」
クラムボンのミトによるベース、木村カエラなど多くのアーティストをサポートするtoeの柏倉隆史のドラム、そしてアレンジャーとしても幅広い活動を続けるギタリスト鈴木俊介という、ひと癖もふた癖もあるメンバーについて、「強烈に個性が強くて一発聴いたら誰がプレイしているかすぐにわかるくらいプレイヤー気質が強いから、いい意味でこちらのイメージ通りにはならない。だから僕のピアノもその隙間を縫って入っていく。そこが魅力的ですね」
と語るが、そんな猛者が集結した現在のSUEMITSU & THE SUEMITHのバンドとしての充実ぶりが確かに感じられる内容となっている。 豪快な疾走感と、端正なソングクラフトの振幅のなかで際だつのが、シングルとしてリリースされた
「Boyz, Boy Don't Cry」にも顕著な、瑞々しい世界を描き出す少年性だ。若さゆえの葛藤、広い世界を臨む冒険心といったものは、前作に続き参加した、いしわたり淳治が手掛けるリリックや、青春映画を思わせるストーリーを持つ「Spellbound」にも色濃く現れている。
「映画『フットルース』とかそういう世界が好きなんですよ。それで〈Boyz, Boy Don't Cry〉でも、プロム・パーティーみたいなビデオを作ったんです。(自らの楽曲にある少年性について)時々言われたりしますけれど、そんなに考えたことはないですね(笑)。自分の歌詞についてはピアノのフレーズから考えてみたりすることもあるのですが、でも歌詞の節々にそうした要素が自然と入ってくるので、もともと、そういった世界に対する憧れのようなものは、僕のなかにあるんだと思いますね」
出自となるクラシカルなスキルはもちろん、ソフト・ロック、モータウン、モッズ……芳醇な音楽的知識をもとにキラキラとしたジュブナイルのような楽曲を生み出していく。
『京平ディスコナイト〜筒美京平リミックス〜』に参加するなど、彼はダイナミックなプレイヤーであると同時に、
筒美京平、そして
小西康陽から連なる、ジャパニーズ・ポップの作家性の復権に値する、というのは言い過ぎだろうか。
「みなさんいろんな音楽を聴かれて、それでいいと思った箇所があるとそこから膨らませていって、たくさんの要素をひとつの楽曲のなかに凝縮させていく。そういった感じは僕のなかにもあって、そういう意味では似ているのかなと思ったりします」
取材・文/駒井憲嗣(2008年3月)
【SUEMITSU & THE SUEMITHツアー情報】
公演日:2008/4/12
会場:大阪 なんばHatch
開場:17:00 開演:18:00
税込4,800円(ドリンク別)
※3歳以上有料
問い合わせ先:キョードー大阪 / 06-7732-8888
公演日:2008/4/13
会場:愛知 名古屋ダイアモンドホール
開場:16:00 開演:17:00
税込4,800円(ドリンク別)
※3歳以上有料
問い合わせ先:サンデーフォークプロモーション / 052-320-9100
公演日:2008/4/21
会場:東京 赤坂BLIZ
開場:18:30 開演:19:30
税込4,800円(ドリンク別)
※3歳以上有料
問い合わせ先:ホットスタッフ / 03-5720-9999