【アヌーナ ANÚNA】 現在来日公演中! 結成20周年を迎えた彼らが初期のアルバムをあらためてリリースした真意を問う

アヌーナ   2014/12/02掲載
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 アイルランドの音楽、その歴史的な遺産を現在に蘇らせるべく結成されたアヌーナ。最近では毎年日本を訪れ、その美しく神秘的なハーモニーを聴かせてくれている。その創設者にして芸術監督であるマイケル・マクグリンは作曲家としても注目を集めており、今回あらためてリリースされた『ビハインド・ザ・クローズド・アイ』には、マクグリンの作曲家としての想いが詰まっている。そのアルバムを中心に話を伺った。
――アヌーナは結成20周年を迎えましたね。
 「正確に言うと、いま21年目のシーズンです。振り返ってみると、もう100年ぐらいたったような気がします(笑)。あっという間、とは言えなかったです」
――アルバム『ビハインド・ザ・クローズド・アイ』はアイルランドの詩人フランシス・レドウィッジ(1887〜1917年)の詩にインスパイアされたものだと伺いました。
 「レドウィッジの詩はとても日本的だと思います。シンプルだけど、深いものを持っています。このアルバムには3人の人間の想いが詰まっていると言えます。まず、私自身、そしてレドウィッジ、さらにアメリカの歌手で、とても才能を期待されながら若くして亡くなったジェフ・バックリィ(1966〜1997年)の3人です」
――バックリィの声は“天使の歌声”とも称されていましたね。
 「1995年に彼と一緒に仕事をしました。あるコンサートで、私も歌手、彼も歌手として仕事をし、その後コンタクトを取っていましたが、97年に亡くなってしまった。まるで夜空を飾る流星のように、パッと輝いて消えてしまったような感じでした。このアルバムは彼のために作られたと言ってもよいものです。というのも、詩の内容がほとんど“死”をテーマにしています。じつはレドウィッジもバックリィとほぼ同じ年齢で亡くなっているのです。とても不思議なコネクション(関係性)がそこにあると思います。 もうひとつのコネクションはベルファストです。このアルバムはベルファストのオーケストラであるアルスター管弦楽団(北アイルランドの主要なオーケストラ)との共演です。そしてアルスター管弦楽団の本拠地のコンサートホールで録音されました。しかし、そのホールの窓ガラスは、ほとんどが爆撃で破壊された状態でした。最初の録音を行った1997年は、まさに長く続いた北アイルランド紛争が終わろうとしている時期でしたが、まだイギリスのヘリコプターがコンサート・ホールの上を飛び回り、時には録音を中止せざるを得ないこともありました。それもこのアルバムに深い影響を与えていました。そういう状況だったので、このアルバムには、戦争、死、そして若さ(それを失うこと)、無垢、という深いテーマが存在することになりました」
――レドウィッジはアイルランドでは“ブラックバードの詩人”と呼ばれているそうですが。
 「アイルランドの風景は日本とはまるで違っていて、木も日本のように高くありません。そしてそこにブラックバードが住んでいるのですが、その存在はアイルランドのひとつの象徴で、ブラックバードの声は“自然そのものの声”とされています。キリスト教布教以前の古代のアイルランドの自然、その声を代表するのがブラックバードなのですね。そして、レドウィッジの詩は6〜8世紀ぐらいの古いアイルランドの詩人の作品とも深い関わりがある。レドウィッジ自身はそれを意識してはいなかったと思いますが、今の視点から見ると、レドウィッジの詩の中には、古いアイルランドを思い起こさせる、自然との共感があります。レドウィッジはアイルランドの古い魂と無意識の交流をしていたのではないか、そんな風に感じました」
――97年に製作されたアルバムを、今回あらためて、一部再録音した理由は?
 「まず全体を聴き直してみて、オーケストレーションなどを直したい部分がありました。ただ楽曲に関しては以前のままです。それから歌手も数人、変更しました。その中のひとりに私の妻であるルーシー・チャンピオンも含まれていますが、彼女はオリジナルの録音の時にはまだアヌーナに参加していなかったので、当然、録音には参加していませんでした。彼女とは北アイルランドで出会ったので、それも何か深いつながりのあることだと思います」
――なるほど。深い想いが繋がっているのですね。ところで、アヌーナの演奏はつねに日本の聴衆を魅了しています。最近ではオランダ出身のメンバーも加わるなど、メンバーの構成はかなり国際化しているようですね。
 「そうですね。コンサートに訪れた国でワークショップを開催しています。日本でも行なっていますが、そのときに優れた歌手たちとの出会いがあります。現在、アヌーナのメンバーはアイルランド出身者だけでなく、アメリカ、イタリア出身者もいます。アルバム『イルミネーション』を製作した後に、構成メンバーを全員入れ替え、より声楽アンサンブルとして満足の行く高いレベルを目指していると言えますね」
――もしかして、日本人メンバーの可能性も?
 「いつかはその可能性も出て来るかもしれませんね」
――そうなったら楽しいですね。ありがとうございました。
取材・文 / 片桐卓也(2014年10月)
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ケルティック・クリスマス2014
〜アメイジング・ヴォイス〜
plankton.co.jp/xmas14/index.html

[出演] アヌーナ / サム・リー&フレンズ / リアム・オ・メンリィ
2014年12月6日(土)
東京 錦糸町 すみだトリフォニーホール

開場 16:30 / 開演 17:30
S席 6,500円 / A席 5,000円 / B席 4,000円(税込)
※お問い合わせ・ご予約: プランクトン 03-3498-2881




アヌーナ
来日公演2014
plankton.co.jp/anuna

・2015年12月5日(金)
茨城 つくば ノバホール 大ホール

開場 18:30 / 開演 19:00
一般 4,000円 / 学生 2,500円(税込)
※お問い合わせ: 0263-33-3800




・2015年12月7日(日)
長野 松本 まつもと市民芸術館 主ホール

開場 14:30 / 開演 15:00
指定 3,500円(税込)
※お問い合わせ: 029-856-7007




・2015年12月9日(火)
愛知 名古屋 三井住友海上しらかわホール

開演 18:45
S席 5,000円 / A席 4,000円(税込)
※お問い合わせ: CBCテレビ事業 052-241-8118



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