ロックとファンクの最高沸点〈Funk-a-lismo!〉を追求するSCOOBIE DOがニュー・アルバム『パラサイティック・ガール』を自身のレーベルCHAMP RECORDSからリリース! 聴き手の血中ファンク濃度を一気に上げてくれそうな渾身のニュー・アルバムを作り上げたSCOOBIE DOに話を訊いた。 ロック・ミュージックとファンク・ミュージック、それぞれ体験することで得られるカタルシスを一気かつ高い熱量でリスナーにリリースすること――それすなわち、SCOOBIE DOが掲げる〈Funk-a-lismo!〉なるテーマであり、果てなき目標でもあるわけだが、このたび完成したニュー・アルバム『パラサイティック・ガール』は、その沸点が明らかにアガッた印象を与える傑作だ。
「基本的には強い曲……パンチですね。言葉にしてもリズムにしてもパンチっていうことを意識して。今回は、すべてポリリズムというか、ストレートなものがないんですよね。16ビートなんだけども、ドラムとかベースからしたらぜんぜんストレートじゃない、ものすごく不規則なビートにパンチ力を求めたというか。ポリリズムって言っても、ドラムだけがポリリズムを刻んでっていうわけじゃなくて、全パートがポリリズムを奏でるという感覚かな。曲を執拗に展開させてないし、ひとつのリフなりコードがあったらそれをずっと繰り返していたりとか、基本的にはワン・グルーヴなんだけども、たとえば、2コーラス目の終わりでギター・ソロを入れたりとか、急に語りが入ってきたりとか、ヘンなキメがずっと続くとか、素直に考えると曲にとって必要のない部分を注入することによって、曲を盛り上げてる感じなんですよね。それを僕らは今回、いわゆる“ノイズ成分”と呼んでるんですけど」(マツキタイジロウ)
「〈共感インポテンツ〉って曲は“エッ!”ていうフェイクで始まるんですけど、これって新しいんじゃないかって(笑)。え行のフェイクって
JBもやってないでしょ(笑)。あと、〈散歩男〉っていう曲のサビの“イッテキマーッス!”ってのもロックのフォーマットにはないだろうってね(笑)。そういう違和感の繰り返しにだんだん馴染んできて、ヘンな感じがクセになるっていうか、これも“ノイズ成分”ってことで」(コヤマシュウ)
“ノイズ成分”といえば、アルバム『パラサイティック・ガール』のエンジニアを手掛けたのは、その筋の音にも精通する中村宗一郎氏。
ゆらゆら帝国の作品などでも知られている“音の魔術師”のもと、氏のプライベート・スタジオ、PEACE MUSICでレコーディングは行なわれた。
「中村さんとの作業は、中村さんを盛り上げたいなっていう気持ちでやってましたね。中村さんが、それだったらこうしたらいいんじゃない?って言いだしてくると楽しいんですよ。黙ってると、なにか不安になってくる(笑)。中村さんはすごく音楽好きで、メジャーな音楽じゃなくて、もっと地下音楽、ノイズとか、そういうところまで辿り着いちゃってる人だから、音楽に対する独特の価値観があって。こうやれば良くなるから売れるとか、そういう考え方じゃないんですよね。こうやればこう響いてくるとか、たとえば、笑わせたいんだとか泣かせたいんだとかっていう、もっと原初的な作用を作る音楽に求めてるのかなって」(マツキ)
どおりでどおりで。これまでにも増してやけに“アガる”感じ、そのからくりはそういうことだったわけか。
「これが既成のファンク感に対するアンチテーゼと申しましょうか(笑)、ただのファンクじゃねえんだぞ!っていうのを自分たちで提示したというかね、そんな感じがします」(マツキ)
取材・文/久保田泰平(2008年3月)
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