バニラビーンズが約2年ぶりのニュー・アルバム
『バニラビーンズIV』をリリース。その間にバニビは5枚のシングルを発表。さらには、対バンイベントを行ない、
バンドじゃないもん!、
カジヒデキ、
野宮真貴、
ザ・コレクターズ、
SCOOBIE DOなど、さまざまなアーティストと共演。バニビもバンド編成での新鮮なスタイルを見せてくれた。2年間、英気を養いスキルアップをした彼女たちの新作は、明るく弾ける「ブービーボーイ・ニアピンガール」、絶妙なリズムとメロディがマッチした「フォーゲル オ ヴィンド」、哀愁ポップな「黄昏ハイボール」など、グッド・チューン満載。アイドル界屈指の名タッグ、レナとリサがニュー・アルバムについてたっぷり語ってくれた。
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――ニュー・アルバム『バニラビーンズIV』が完成しましたが、全体を通してどんな印象がありますか。
リサ 「今までは、アルバムだからこそ背伸びしてみた、挑戦してみたって曲が入ってたんですが、今回は、デビュー8年目に入って大人になった2人が、リアルな気持ちで歌える曲が集まった一枚になったなって思います」
――ジャケットはインパクトありますね(笑)。
レナ 「毎回、ちょいワル社長のアイディアでこうなるんですけどね」
――いや〜、これはいいジャケですよ。アルバムの中身にまったくインドのボリウッド感はないですけど(笑)。
レナ 「ねぇ。アーティスト写真もいいのが撮れたんですよ」
リサ 「ブックレットとかもいいんですよ」
――おしゃれな感じの2人の写真とのギャップがあっていいと思いますよ。では、それぞれお気に入り曲を挙げてもらえますか。
レナ 「レナ的には、シングル曲だと〈ワタシ…不幸グセ〉が一番好きですね。正直、シングルを出すとき、“昭和歌謡的なバニビ?”って心配もあったんです。でも、ライヴで披露したとき、振りをみんなで一緒にできたり一体感を味わえる曲で。ライヴを重ねるごとにすごく好きになっていったんです。この曲があったからこそ〈黄昏ハイボール〉や〈愛のせい〉を歌えると思うので。すごい一曲に巡り会ったなと思いますね。“バニビの隠れた名曲とは言わせない!”っていつも言ってるんです。去年のワンマン・ライヴでも前半1部の最後に持ってきたり、すごく大事な曲ですね」
――アルバム曲ではどの曲ですか?
レナ 「〈愛のせい〉です。これも歌謡感ありますね。アルバムの中間の〈黄昏ハイボール〉〈ワタシ…不幸グセ〉〈愛のせい〉って並びが好きですね」
――タイトルだけだと新宿ゴールデン街みたいです(笑)。
レナ 「ですよね(笑)。なんか、アイドルぶらなくていいから歌いやすかったです。今まで歌は、もっとかわいく、もっと明るくって言われることが多かったんですが、それがない3曲なんです。アイドルを8年やってきて年齢にも合った歌い方、歌詞を歌わせてもらえました。〈愛のせい〉はディープな愛の歌なんですけどね」
――彼の浮気に気づいてる女性の内面の歌ですよね。
レナ 「そうそう。'どうせ帰ってくるんでしょ、あっちもこっちも行くんでしょ'っていう。歌詞もですけど、曲調が昭和ロックな感じでカッコいい。バニビっぽいと言ったらアルバムの前半ですけど、バニビの新しい一面だったり女性の内面をここで出せたなって。まあ、ダメな男は嫌いですけどね(笑)」
――(笑)。リサさんがアルバム曲で気に入ってるのは?
リサ 「私は〈黄昏ハイボール〉です。そもそも私、エモいメロディが好きなんですよ。哀愁感もありつつ明るさもあってハマりましたね。あとタイアップでも何もないのに“ハイボール”ってワードがタイトルに入ってて(笑)。でも、4枚目のアルバムだからこそ入れられた曲なのかなって。失恋の気持ちをハイボールで忘れたいなんて、今までだったら飛び道具に見えたかもしれないけど、大人になった今だから違和感なく自然に歌えるし、しかもいい曲っていう。ライヴでも歌える、今後のバニビにとって、キーになる曲かなって思います」
――シングル曲だとどの曲ですか。
リサ 「〈マスカット・スロープ・ラブ〉ですね。2009年に〈LOVE & HATE〉でカジさんに歌詞を書いてもらって、そこから時を経て今度はカジさんに一曲丸々お願いできたんです。ライヴで歌うとスカッとする明るさがあって、でも胸キュンな部分もあって。カジさんの曲って魔法が掛かってるんじゃないかと思うんですよ」
――確かに。他の楽曲についても聞かせてください。「ブービーボーイ・ニアピンガール」は、爽快かつポップでまさにアルバムのオープニングを飾るにふさわしい一曲ですね。
レナ 「1曲目にピッタリですよね。スタッフさんは、バニビのちょい高飛車な雰囲気とパーティ感が出せたらっていう狙いがあったらしいんですけど……バニビのイメージってどうなんですか? 他のグループさんの中で高飛車感あります?」
――高飛車感はないですよ、背は高いけど(笑)。
レナ 「そうですよね(笑)。話すと普通だし」
リサ 「ただ、ワチャワチャもしないしっていうのはあるかも」
――もしかすると写真とかのイメージで近寄りがたい感があるのかも? Twitterでリサさんはシャンパン飲んでるし、レナさんはときどきオチてるし、“どんな人たちなんだろう?”って思われてたりして(笑)。
レナ 「(笑)。全然気さくな感じですよ、ってことをここで伝えたいです(笑)」
――(笑)。そして「まだよボーイフレンド」は、フレッシュな恋愛感が出たキラキラなナンバーです。
レナ 「若いなって気がしますね」
リサ 「私の中では、歌詞も曲の雰囲気も、ちょっと渋谷系っぽいなと思うんです」
――歌詞は、男の人をいたずらにじらす女の子って感じですね。
レナ 「歌だからこそ歌えますよね」
リサ 「そう。だから、なんとなく野宮真貴さんみたいなイメージがあるんです。
ピチカート・ファイヴの曲も、歌の世界だから成立するものがあるし。1枚の写真っぽく聴こえるのが、ピチカートの魔法だなと思ってて。それを踏襲できてる1曲なのかなって気がします」
――先日、小西康陽さんにお話をうかがう機会があったんですが、バニラビーンズの音楽をすごく褒めてました。
レナ 「わ〜、うれしい!」
リサ 「小西さん、すごくバニビを応援してくださってて、年末のリキッドルームのワンマンにも来てくださったんです。小西さんが、“ピチカート・ファイヴはデビューから8年かかって〈スウィート・ソウル・レヴュー〉がCMで使われて、そこで世の中に名前が知られた”って話をしてくださって。だからバニビも頑張りなさいって言われたんです」
――おぉ、いい話じゃないですか。
リサ 「バニビはこれからも頑張ろうと思ってるけど、8年間もやってると、“あ〜”って思うときもあるじゃないですか。でも大先輩の小西さんがそう言ってくださって、私たちは、まだまだだなって背中を押された気がしたし、勇気が沸きましたね」
――それは励みになりますね。「フォーゲル オ ヴィンド」はスウェディッシュ・ポップ感もありつつ、すごくリズムやアレンジがユニークな曲です。
リサ 「リズムは6/8拍子なんです。今回はリズム的に難しい曲が多かったんですけど、でも楽しく歌えました」
レナ 「意外とレコーディングもサクサクできました。歌録りだけだと1時間半くらいで終わるんですけど、私たちハモりとかコーラスとかも自分たちでやるので、結構時間が掛かるんです」
――歌に関して全部自分たちでやってるって、もっと評価されるべきところですよ。
リサ 「でも、誰も気づいてないんですけどね(笑)」
レナ 「実際すごく難しいんです。そういうところもぜひ聴いていただきたいですね」
――コーラスやハモりにも注目ですね。「Happy Day!!」は、友人の結婚を祝う文字通りハッピーなウェディングソングですね。
レナ 「こういう曲って男の人が聴いたらどうなんですか? 女の子が、友だちの女の子の結婚を喜んでる姿を見て、“ほんとに祝ってんのかよ?”とか。“ほんとに喜んでるのか?”“思いもないのによく歌えるな”とか思います?」
――いや、そこまで思わないですよ(笑)。
リサ 「ウェディング・ソングってどうなんですか?」
――それこそ、曲の世界観として楽しく聴けますよ。
リサ 「それならよかった。私は、幸せを分けてもらって歌ってる感じがします。最近、親友が結婚してその姿が浮かんで、〈Happy Day!!〉を歌うと泣いちゃうんですよ。ちゃんと対象を想像できて歌える曲って、バニビの曲では、なかなかないのでうれしいです」
――さて、恒例のカヴァー曲はベル&セバスチャンの「Funny Little Frog」です。原曲の雰囲気をバニビの歌でしっかり自分たちのものに染め上げてるなと。 レナ 「毎回有名な曲をカヴァーさせてもらうんですけど、レナはあんまりカヴァーって感覚がしないんです。自分で歌うと自分の曲って思っちゃうんですよね。英語は難しかったけど、後半に2人のハモりがあって、すごくバニビっぽくアレンジしてもらったなって」
リサ 「元々ベルセバをやるって決まってから、どうせやるならライヴでも歌いたいって思ったんです。
MGMTの〈キッズ〉をカヴァーしたときも英語の先生をつけてもらったんですけど、今回もお願いして、発音を1から全部しっかりやろうって。レコーディングに5時間くらいかかったんです。譜割も難しかったけど、徹底的にやって仕上げられたので、できあがりはすごく満足してます」
――でもほんと、いい曲満載のアルバムになりましたね。
レナ 「前半戦は元気でパーティ感を感じられたり、デビュー当時のスウェディッシュ感が入ってたり、後半は昭和歌謡、80年代リバイバル的な雰囲気があって。ここ2年間のバニラビーンズが詰まったアルバムですね」
リサ 「すごく全体の流れがいいなって。この曲順通りのライヴがしたいなって思うアルバムです」
――それは観てみたいです。では、昨年12月に約2年半ぶりのワンマンライヴを恵比寿リキッドルームで行ないましたが、振り返っての感想を聞かせてください。
レナ 「ライヴ中に4回目って言ってたんですが訂正させてください、5回目のワンマンライヴでした(笑)。2年ぐらい前から対バンライヴをやり始めて、バンドでもライヴをやるようになって。バンドでのバニビ、オケでやるバニビの両方を見せられたのはよかったなって思います。オケが映える曲もあるし、バンドで映える曲もあるし、それを考えた上での2部構成だったんです。あとやっぱり、100%ホームでのライヴをやらせてもらったのがすごく楽しかった。100%のホームって居心地いいな、2年半この感じ味わってなかったなって」
――しかもソールドアウトできたし。
レナ 「1年くらいかけてですけどね(笑)」
――そういうの大事ですよ。怒髪天の武道館も、長い時間かけてチケットを売ってソールドアウトさせたわけだし。 リサ 「私まさに、その怒髪天の武道館ライヴを観て励まされたんです。1年かけて日本中を回って、増子さんが“30周年で武道館やるから来てくれないか?”って、いろんな方々に声をかけてたじゃないですか。音楽を生業にして生きてる人たちって、みんな真摯な姿勢でやってるんだなって。私の“音楽を伝えたい!”って姿勢と重なったんです。やっぱり、黙っててもお客さんがライヴに来てくれるわけじゃないし、CDが売れるわけじゃないし。ちゃんとみなさんと向き合って、自分の足で出向いて、お願いすることって大事だなって。怒髪天の武道館に行きましたけど、あんなにパンパンの武道館を観たのは初めてでした。あれこそ奇跡の武道館だったなって」
――怒髪天とバニビも、根本の部分では同じですね。
リサ 「私たちもいろんなところに行って“ワンマンに来てください”ってお願いしたんですけど、やっぱり1枚でもチケットが売れると、すごくうれしかったし。名古屋で、“有給取るわ”って言ってくれる方もいたりして」
――そのライヴの模様が、初回限定盤では観られると。
レナ 「そうです。特典映像だからダイジェストかなと思うかもだけど、1時間くらいたっぷり観られるので。バニビのライヴに興味を持ってもらえたらなって思います」
――では、今後の活動について聞かせてください。
レナ 「去年2年半ぶりにワンマンをやったので、今年はもっとワンマンをやりたいなってことで、5月8日にclub asiaでワンマン・ライヴが決まりました」
リサ 「アルバムを引っさげてのワンマンで、生バンドでやる予定です」
レナ 「約2年間、対バンイベントでいろいろ吸収させてもらったので、これからはバニラビーンズを好きな人にさらに好きになってもらいたいなって。定期的にワンマンをできたらいいなと思ってます」
リサ 「そこを踏まえての対外試合にもチャレンジしたいですね。バニビの名前は知ってるけど音楽は聴いたことないって人をイベントやフェスで引っ張ってこないと私たち生きていけないので(笑)。今年も変わらず攻めていきたいと思います」