理想の音楽を求めて、ソロ活動を始めてから5年が経つYUKI。彼女が、今までの作品にはなかったサウンドを取り入れたニュー・シングル「汽車に乗って」を4月16日に発表する。自身のルーツなどを取り入れた、サウンド面からも心境の変化が窺える本作について話を訊いた。 ソロになって5年。音楽に対してさまざまな挑戦をしてきたYUKIが、あらためて自分のルーツや、自身から溢れ出してくる自意識と向き合った「汽車に乗って」は、これまでのエレクトロ・ポップとは一変。まずそのサウンドの変化に驚かされる作品となった。
「
〈メランコリニスタ〉以降は、自分のルーツから逃れて違う人を演じるという方法で歌詞を書いたり、いただいたお話を自分なりに消化して昇華していくという、受身な曲作りをしていたんです。でも今は、そういうところから抜け出していて。自分の血となり肉となっている、大袈裟にいうと人生を歌に入れるということを、もう一度やってみようと思ったんです」
そんな強い想いとは反比例するかのように、YUKIの切なく優しい歌声が漂う今作。函館から上京したときの想いを描いたという歌詞は、印象的なマンドリンの音とともに、懐かしい風景を感じさせてくれる。
「歌っていて泣きたくなるような歌が作りたかったんです。夢の場所は夢のまま。それがもうわかっている歳だからこそ、そこを無理に“あきらめないで”というふうに完結したくなかった。この歌は、こういうことだ、と言い切るような、わかりやすい歌詞ではないかもしれないけど、何か胸に突き刺さる自信があるんです。私の歌がテンポより少しずれていたり、少し音程がずれていたり。今回は、そういうものが自然に出ていたから、そこを活かすようにしたんです。プレイヤーみんなが詩の世界に寄り添って音を入れていくと、すごく人間味のある音になりました。これからは、何かはみ出した歌を歌いたいんです。ふと耳に入ったときに、“何この歌、すごい!”って聴いてしまうような……。そういう歌に宿る強さって絶対あると思うんです」
カップリングの「just life! all right!」は、エレクトロ・サウンドの上を、まるで言葉遊びのような歌詞が跳ねていく軽快な歌。この、まったく違ったベクトルを向いている2曲を1枚のシングルに入れるということが、YUKIの現在の心境を物語っている。
「どんな曲調のものを歌っても、やっぱり私は私でしかなくて。もっと自由な表現ができるようになりたいなと思って、この2曲を入れました。この2曲を1枚に入れるということは、どういう方向性でやっていくとかは考えず、その時に自分が歌いたいと思う歌を歌っていく、という決意表明なんです」
そして5月には、昨年11月に行なわれた日本武道館ライヴの映像を中心に構成されたDVD
『YUKI LIVE “5-star”〜The gift will suddenly arrive〜』がリリースされる。
「
マーク・ボランが
リンゴ・スターと作った映像(『Born To Boogie』)がすごく好きで、そのイメージがありました。今回は、ライヴ映像だけではないもので、何度観ても楽しめるものにしようと思って作ったので、 “ライヴ・ビデオ”というよりは、5周年記念ビデオですね」
4月17日からは待望の全国ツアーもスタート。6年目への新しいスタートを切ったYUKIの、また新たな歌とパフォーマンスが、全国各地で観られるに違いない。
取材・文/矢隈和恵(2008年3月)
【YUKI LIVEスケジュール】
■“ユキライブ ブリッツポップジェネレーション2008”【会場】赤坂BLITZ
【日時】6月4日(水)
※問:ホットスタッフ・プロモーション(03-5720-9999)
■“Hot Stuff Promotion 30th Anniversary 『BLACK AND BLUE』”【会場】Zepp Tokyo
【日時】6月22日(日)
※出演:YUKI/銀杏BOYZ
※問:http://www.red-hot.ne.jp/30th
■“YUKI concert New Rhythm Tour 2008”4月17日(木)戸田市文化会館
4月23日(水)大阪フェスティバルホール
4月24日(木)大阪フェスティバルホール
4月28日(月)北海道厚生年金会館
5月12日(月)広島厚生年金会館
5月18日(日)名古屋国際会議場 センチュリーホール
5月20日(火)福岡サンパレス
5月25日(日)仙台サンプラザホール
5月29日(木)日本武道館
5月30日(金)日本武道館
※詳しくはYUKIオフィシャル・サイト(
http://www.yukiweb.net)へ。