N 「だから最初は“何やってる人ですか、お笑いさんですか?”って(笑)。年齢はやっぱり倍ぐらい上だから最初は緊張したけど、今は全然ですね。ジェネレーション・ギャップは全然感じなくて。全然敬語じゃないし、いろいろ気遣われても一緒に活動するのに面倒になるし。だから、こんなに年齢差があっても全然気にならない事に驚いてるんですよね」
――上野くんからみた中江さんの第一印象は?
U 「第一印象から決めてました!」
――ネタが古いわ。
N 「え、なにそれ?」
――やっぱり伝わらない(笑)。
U 「『ねるとん紅鯨団』の時に生まれてないからしょうがない。でも“おぼこい子”っていうイメージだったから、最初は戸惑いましたね。どう接すればいいんだろうって。でも、友梨ちゃんはとにかく物怖じしないし、ぐいぐい来てくれるから、自分としてはすげえ楽で、ホントに友達が出来たって感じだったね」
――『青春日記』での“一緒に青春しよう”っていうテーマは、中江さんの方から出したんだよね。
N 「最初の企画会議の時に、ポッと浮かんだんですよね。年齢がやっぱり倍違うって言う事で、好きなモノだったり、見てきたものは全然違うと思うし、そこにジェネレーション・ギャップがあるなって思ったんですよね。そこをなるべく埋めたくて、それだけの差がある2人でも共通できるのは、“青春”なんじゃないかなって」
U 「年下の女の子からそう言われたら、じゃあ青春するしかねえな、やってやるって!って感じでしたね」
――もっと根本的な所なんだけど、中江さんはヒップホップって聴いてた?
N 「もともとダンスをやってたんで、そのBGMとして聴いてましたね。でも、洋楽ばっかりだったんで、日本のヒップホップは聴いた事がなくて。だから、曲は全然知らなかったですね」
――怖いイメージは無かった?
N 「全然。それよりも楽しそうだなって感じでしたね。あと、周りにヒップホップを好きな子も多かったし、自分の好きな事をやってる感じは受けたんで、自分もああいう風に出来たら気持ちが良いんだろうなって、ずっと思ってました」
――そういう良いイメージのだったんだ。そしたら極端に自由なサ上が来たと。
N 「自由超えて、既に犯罪の匂いがしますから」
U 「そこまでか!」
N 「ぎりセーフって感じだね(笑)」
――メチャクチャ言われてるな。
U 「友梨ちゃんはマジで遠慮をしないから」
N 「(年齢的に)しなきゃいけない立場なんですけど、しないんですよね」
U 「でも、だからこそタッグで全然いけるなって」
――上野君も相手が相手だから、遠慮しなきゃいけないといえばいけないよね。
U 「ファンもいっぱいいるし、17歳の女の子なんだから気にしなきゃいけないんだけど、全く気にしてないっすね。一緒に歩いてて、池とかあったら多分投げ込んでるもん」
N 「自分で書かないと一緒に作る意味が無いし、与えられたものを歌ってるだけじゃ、いつもと変わらないなって。やっぱりリリックを書くのは難しかったけど、ここで頑張れば、作り終わった時に、いままでとは違う事が出来るって思ったんですよね。実際に作り終わったら、やっぱりスゴく気持ちが良くて」
――“歌詞”じゃなくて“ラップのリリック”を書いての手応えは?
N 「自分の気持ちをそこに詰めるって感じでしたね。“これが私の気持ちだから!”って。こんなに気持ちが出せる事に、自分自身でも驚きました。〈WE GOTTA GO〉も“大人に対する不満を形にして”って言われて、そのままブワっ!って書いた感じです。ホントにこの気持ちのまんまですよ(笑)」
U 「泣きそうになったよ。こんなに大人嫌いかって(笑)」
N 「違うよ!私は大人に憧れてる子供だから、その分、大人に対する不満も多くなっちゃう。だから、この曲は子供から大人に対するメッセージなんですよね」
U 「そうやって、内に秘めてる部分を全部出してくれたし、それが出来るのは、ラッパーとして大事な部分だなって。一応、俺の方で手直しした部分もあるんだけど、“リリックとしてこう書きたい”って部分が、友梨ちゃんは最初からしっかりしてて。だから、韻の踏み方だったり、リリックの分量を調整する手直しぐらいしか直さなかった」
N 「掛け合いの部分に関しても、お互いにまず歌詞を考えてきて、それを読んで、内容を擦り合わせていくって感じで」
――普通にラッパー同士が作るのと同じだね。
U 「そうそう。だから全然作りやすかった」
――今回のリリックのテーマはどう言う風に決めていったの?
U 「最初に作ったのは〈SO.RE.NA.〉。『青春日記』の中で、俺ら世代と友梨ちゃん世代で、世代間ギャップを話す回があって」
N 「そこから広がって、お互いのジェネレーションのあるあると、そのギャップを纏めていった感じですね」
U 「この曲は今っぽいビート感のトラックで、俺も乗りこなすのが難しいって思ったトラックだったんだけど、それを友梨ちゃんは普通に乗りこなしてて」
――オンビートで畳み掛けるパートとか結構スゴいよね。
N 「ライヴでやると“お〜!”って歓声があがるから、ちょっと気持ちいい(笑)」
U 「俺がガイドを録った時、俺でもその部分は難しくて、ちょっと心配だったんだよね。でも、友梨ちゃんならなんだかんだ出来るのかなっていう信頼感もあって。実際に出来た時には感動した」
U 「友梨ちゃんと最初に顔合わせで色んな事を話し合った時に、この曲の事を思って。名前だけじゃなくて、命も切り売りしながら表現するっていうのは、ラッパーも女子流も同じだと思うし、その気概を友梨ちゃんからは感じて。だから、思ってる事をそのまま書いて貰ったんだけど、そしたら友梨ちゃんから凄まじいリリックが届いて」
U 「友梨ちゃんの歌をメインにした、アーバンな感じの曲も作ろうって事で、まずトラックをgrooveman Spot先輩とKashifくんに頼んで。そこからデートっぽい歌詞を2人で考えた感じですね。この曲に関して、声を大にして言っておきたいのは、友梨ちゃんのパートの歌詞を考えたのは友梨ちゃんだから!俺が書いて、願望を歌って貰ったわけじゃないから!」
N 「上ちょがこの歌詞書いてきて、これ歌ってくれとか言われたら、完全に鳥肌でしょ(笑)」
U 「……」
N 「でもライヴで披露した時、手を握るのはもっと分かりやすくしても良かったかもね」
U 「いやいや、リハでそんな事してないのに、いきなり手を握ってきたから、普通に照れたよ。しかも、お客さんの顔見たら、“もう一回やったら殺すぞ”って顔してて(笑)」
N 「ウソウソ。そんな顔してなかったでしょ。女子流のファンは優しいから」
――いや、残念ながらしてたし、俺もしてた(笑)。
N 「マジですか(笑)」
U 「手を握られた瞬間に、客席が止まったもん。俺は照れるし、客席からは尋常じゃない殺気が来るし。いろいろ情報が多すぎて歌詞が飛んじゃったよ」
U 「そう思うし、このキャッチーさ加減は、どんなお客さんの前でも通用すると思うんだよね。俺みたいなのと友梨ちゃんが一緒にステージに立つってだけで、面白がってもらえると思う。片方は頭ピンクだし、片方はいい年だし、2人でつなぎ着て、ガソリンスタンドのバイトの女の子とオーナーのどら息子みたいな感じだけど(笑)、その見た目だけでも面白いから。その“なんなの!?”って部分も含めて、興味を持って貰えると思うし、フェスだったりどんなお客さんでも楽しませる自信はある」
N 「こんなキャッチーなユニットは無いと思うんで、そこを武器にしてやっていきたいですね。やっぱりライヴは絶対に楽しいって思わせたい」
U 「歳とか、年齢も関係なく楽しめると思うから、子供さんから大人さんまで全方位で巻き込んで楽しんでいきたいなと」
――最後に、このタッグでお互いに望むものは?
N 「上ちょは色んな人から愛されて、尊敬されるっていうのは見てて感じるので、その部分はそのまま変わらずにやって欲しい。だけど、楽しい事とやっちゃいけない事は、ちゃんと区別して生きて欲しいですね」
U 「俺からは“特にありません”」
N 「ひどい!(上野を叩く)」
――遂に実力行使が。
U 「そういう曲がサ上とロ吉にあるっていう一連のネタだから。まあ、友梨ちゃんと一緒に組む事で、俺は活力を与えて貰ってるっていうか」
――おっさんが若い愛人囲った時のコメントだよ、それ。
U 「悪い風に捉えすぎだろ!でも、俺自身、若い生き方をしてると思ってるけど、そこに本物の若さを与えてくれたと思うんだよね。年齢差を超えても友達だって思えるし、新しい音楽を作れる友達が出来たのが超デカい。この青春感をこの2人ならずっとキープして、フレッシュなモノがずっと作れると思うんだよね。友梨ちゃんが大人になって、裏切らなければ」
N 「裏切らないから安心して」
U 「大人になって、“あいつ、やっぱり間違ってた……”って気づかなければ」
N 「それは上ちょにかかってるから。間違った人生を歩まなきゃ嫌いにならないけど、ホントに気をつけたほうがいいよ、マジで」