未来よりも、もっと先へ――Drop

Drop's(STANDING THERE ,ROCKS)   2015/07/22掲載
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北海道・札幌在住の女子5人組ロックンロール・バンド、Drop's(ドロップス)。浅川マキキャロル・キングと、バンドの持つ薫りとも近いアーティストのカヴァーも収められた「さらば青春」(2014年12月)、「未来」(2015年4月)という2枚のEP、そして初の試みとなった完全招待制・入場無料のライヴ・ツアー〈SHOWCASE LIVE TOUR〉を経て、待望の3rdフルアルバム『WINDOW』をリリース。結成から5年、ルーツを保ちながら、より自由な創作のフィールドへと進んできた、バンドの充実ぶりが発揮された作品についてメンバーの中野ミホ(vo, g)に訊いた。
――〈RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO〉初出演おめでとうございます。北海道の方にとっては、やはり思い入れもあるのかと。
「ありがとうございます。RISING SUNには叔父と叔母に連れていってもらったりして、高校生のころから通っていたので感慨深いです。何年か前にエレファントカシマシがトリだったときとか、よく覚えてますね」
――今回のRISING SUNもそうですが、イベント出演を重ねることでライヴについて意識するようになったことはありますか?
「やっぱりメジャーにいってから本州でライヴをする機会もすごく増えましたし、“吐き出したい”という気持ちだけでやっていたのが、“魅せる”ライヴになってきているかなと思います。自分たちが楽しんでいるのが一番ですけど、その上でお客さんも盛り上がっているような」
――自信も出てきた。
「そうですね。徐々にお客さんが一緒に歌ってくれる場面とかも増えてきて、音源を聴いてきてくれてるんだなって。楽しいですね」
――春に行なわれたツアー〈SHOWCASE LIVE TOUR〉もDrop'sさんに触れる良いきっかけになったんじゃないでしょうか。
「ワンマンとしては今までよりも規模の大きい会場をまわって、(Drop'sを)初めて観る方も多かったと思うのですが、みんな楽しそうでしたし、なにより私たちも楽しかったです。東京公演の会場だった東京キネマ倶楽部はライヴをやってみたい場所のひとつで、本物の“昭和”の匂いがして、テンションも上がりました。踊り場を使うのも、ここでしかできない(笑)。雰囲気に“合うね”って言って頂いたりしてすごい嬉しくて、またやりたいですね」
Drop's / WINDOW
――3rdフルアルバム『WINDOW』も、これまで以上にバラエティに富んだ楽曲が並んでいて、間口が広くて深い。より多くの人へアプローチできる作品です。
「前作の『HELLO』がポップなものを目指して作ったので、今回はもうちょっとディープに自分たちの内面へ向かうというか、好き勝手やってもいいかなと思って。かなり、いろんなテイストの曲が入りましたね。EPの〈さらば青春〉と〈未来〉は“歌”がとても大事な曲だったので、前半と後半で別の曲を繋げた〈ハイウェイ・クラブ〉とか、ほかの曲では遊びもあったり、今回はメンバー全員で作っていった実感がすごくあります。EPの時から断片的にあった素材とか、ギターの荒谷(朋美)、キーボードの石橋(わか乃)が持ってきたものをさらに詰めて、形にしていきました。例えば、3曲目の〈moderato〉は石橋が作曲していて、私や荒谷には無いタイプの引き出し。詞も石橋からイメージを伝えてもらって私が書いたので、自分ではない視点というか。どこか物語を書いているような感覚がして、新しい試みでした」
――詞は中野さんが担当していますが、普段もみなさんの意見を取り入れたり?
「“これいいね”とかは時々言ってくれますけど、たぶん私がけっこう頑固だから(笑)、言っても変えてくれないだろう……みたいなのはきっとあって(笑)。レコーディングするまでメンバーが詞を知らないこともけっこうあります。ぎりぎりになって変えたりとかも……しちゃいますね(笑)」
――そうなんですね(笑)。どの曲にも主人公がいて背景がある、詞の意味を伝えるということには、かなり気を遣ってらっしゃるのかなと。鍵盤が誘う「三月のブルー」も絵が浮かんできます。
「これはピアノで私が作ったんですけど、キャロル・キングをちょっと意識。詞は演奏をレコーディングしてから書きました。曲の最後のほうで鳴っているピアノの音からすごく“海”のイメージが沸いて。情景がはっきり浮かぶものにしたかったので、実際に海へ行って書いたり。詞については基本的に、生活している中で些細でも感じたこと、起こったことを、日記のように綴っていきたいと考えているんですが、(詞の中で)物語を作るのもすごく好きですし……。詞はどこかしらに、私という存在のあるものになっている気がします。昔の歌謡曲とかも好きでよく聴くんですけど、言葉の選び方、そのハマり方とか、すごいなあと感動します。やっぱり歌詞だから、ちゃんと歌に乗って、メロディと一緒になった時に分かりやすくて、でも残るような。詞を書くことはすごく楽しいです。辛いんですけど(笑)、好きな作業です」
――「未来」は、やはりサビの“もしもし”が印象的です。響きに可愛さもあって。
「この曲はふわふわしてる夢と現実との間で、“もしもし”はどこかと交信しているイメージ。最後の11曲目に入れようと思っていたんですけど、アルバムでは〈未来〉よりも、もっと先を見せたかったので〈ベリーグッドモーニング〉が最後の曲になりました。(〈ベリーグッドモーニング〉は)鼻歌みたいにサビのメロディができて、ちょっと能天気な感じもしましたが(笑)バンドで合わせたら、しっくりきましたね。散歩のときとか、車に乗っていて偶然見える日常の景色から、新しい一日が始まるんだっていう」
――「ベリーグッドモーニング」の突き抜けた晴れ晴れしさは、Drop'sさんの現状ともリンクするような。これから先を見据えているというか。
「私自身ずっと残っていく言葉とメロディを作るには、もっと歌う技術が必要だなと感じていたり、メンバーのプレイヤーとしての欲みたいなものが良い意味でどんどん出てきて、できることの幅も広くなっていて。その上でさらに“良いもの”を目指していこうというのはみんな、あるんじゃないかな。メンバー5人で納得できるものであれば、囚われず自由に新しいこと、好きなことをやっていきたいですね。バンドを始めたころは私が中心になって動いてましたけど、最近はみんなに任せられる割合が増えてきて、良い状態だと思います。私がプロモーションでいない間にアレンジが進んでたりとか(笑)“あれっ?”みたいな(笑)。それぞれが積極的に動いてますね。ライヴでも前に出てきて“おっ!”と(笑)。その時々で聴いている音楽も違うので、そこから“こういう曲をやってみよう”と作り始めることもありますし」
――ちなみに中野さんが今、興味を持っていることは?
「今までほとんどなかったんですけど、アコースティック・ギターを曲に入れてみてもおもしろいかな。フォークとかブルース、ジャズっぽい音……今は友部正人さんを聴いていたり、トム・ウェイツの『Closing Time』『The Heart of Saturday Night』が好きなんですけど、古い感じのピアノの曲とかもいいなって。私は基本、静かな音楽が好きなので(笑)」
――バンドとはちょっと違いますね(笑)。
「もちろん激しいライヴも大好きなんですけど(笑)、一人のときはそんな音楽も選んでいますね。近いものをバンドで試してもいいかも。Drop'sは、あまり周りのシーンとか気にしてなかったりして(笑)、それがいいところだとも思うし。自分たちのカッコいいと思うやり方で、もっとたくさんの人を巻き込みたいというか、夢中にさせたい。どんどん観にきて欲しいなって思います」
取材・文 / 星 隆行(2015年6月)
Drop's ONEMAN TOUR 2015
「View from WINDOW」

2015年9月20日(日)
愛知 名古屋 CLUB UPSET

開場 17:30 / 開演 18:00
※お問い合わせ JAILHOUSE 052-936-6041
www.jailhouse.jp/index.html




2015年9月22日(火・祝)
東京 渋谷 CLUB QUATTRO

開場 17:00 / 開演 18:00
※お問い合わせ VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900
www.vintage-rock.com/




2015年9月26日(土)
北海道 札幌 BESSIE HALL

開場 18:00 / 開演 18:30
※お問い合わせ Mount Alive 011-623-5555
www.mountalive.com/




[チケット]
前売 3,000円(税込 / 1DRINK別)

東京公演: 8月16日(日)発売
名古屋・札幌公演: 8月9日(日)発売

※未就学児童入場不可
※学割: 当日、学生証の提示で500円キャッシュバック


3rdアルバム『WINDOW』購入者限定・封入チラシ先行抽選
[受付期間]
2015年7月21日(火)18:00〜7月29日(水)23:00
[入金・チケット引換期間]
2015年8月1日(土)15:00〜8月4日(火)23:00

※アナログLP盤に封入チラシは付きませんので、ご注意ください。
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