2014年には『15th -THE BEST OF PUSHIM-』、そして昨年は『RIDE WITH YOU 〜FEATURING WORKS BEST〜』と、キャリアを総括する作品が印象的だったPUSHIM。そういった流れを経て、約2年10ヵ月ぶりとなるオリジナル・アルバム『F』が、自身の立ち上げたレーベル“Groovillage”よりリリースされる。MUROがプロデュースを手がけたディスコティックな「Feel It」からスタートし、いわゆるレゲエとは肌触りの違うサウンドから幕を開けることに大きな驚きを感じさせられる本作は、ジャンル分けを超えたヴァラエティに富んだサウンドに、シンプルなメッセージと彼女らしい確かな歌声が刻み込まれ、その彩りを倍加させていく。PUSHIMのベーシックな部分と新たな一歩を同時に感じさせる一枚だ。
――「時間ヨ止マレ」に参加されていたMUROさんが、ニュー・アルバムでは「Feel It」のトラックを手がけていて、韻シストは「MATTAKU feat. Shyoudog(韻シスト)」と「A Place In The Sun」に参加しているのというのも、その流れの上にあるのかなと。また「Feel It」はディスコティックな雰囲気の曲だったので、非常に驚きました。
「自然にそうなっていったんだと思います。前作の『IT'S A DRAMA』は恋愛を全くしない中で作ったアルバムだったんですけど、それから多少の恋もしたし、そういう変化も歌詞に反映されてきたのかなって。『F』は、時間をかけて客観的に組み立てていくよりも、いま自分の中にあるものをストレートに、しかもどれだけ強く一気に放出できるかっていうイメージで作っていったんですね。一体何が出てくるのか、自分でもワクワクドキドキしながら。例えば化粧は、時間をかけ過ぎるとスゴく濃くなってしまうんですけど(笑)そういう風にならないように、ギミックやトリックのない、何も格好つけてない“自分そのまま”をどう出せるかにフォーカスして。とても“自分”のアルバムになったと思いますね。出来上がった瞬間に身震いがするような経験をさせてもらいました」