“平成生まれ昭和育ち”という触れ込みで、自身が結成したJEANAをはじめロックンロール界隈を中心に広くバンド活動をしてきたJOHNNYが、本名である“山下大悟”としてソロ・デビュー・アルバム『JOHNNY』を12月7日（水）にリリース。王道のロックンロールを鳴らし続けるプロジェクト＝“JOHNNY”として今なお海外ツアーなども敢行する彼がこのアルバムで挑んだのは、ビートロックの影響も色濃くうかがえる、現代的ともいえる骨太なロック。どのようにして今回のアルバムが作り出されたのか、12月16日（金）に渋谷GARRETで行なわれるレコ発ライヴを目前に控えた彼に話を聞きました。

　「高校のときはベーシストとしてコピー・バンドやったりとかしてましたね。18、19くらいで東京に出てきて、そこから歌い始めて、JEANAの形になった」

　「BOØWYとかキャロルとか。矢沢永吉さん、氷室京介さん、布袋寅泰さん……日本のロックを代表する人たちに憧れて、それを追いかける一心ですね」

　「はい。たまたま出会って、雷に打たれたような感じで。それからずっとです」

　「高校入ってからですね。当時もBOØWYとかはやってたんですけど、最初はパンクやったりいろいろやってましたね」

　「基本的にひねくれてるんですよね（笑）。正攻法ではいかないというか。布袋さんにはギターでは叶わないかなって思って、あわよくばベースで隣に並ぶ、くらいのことを考えてました。あとはベースってなんか派手だし、大きいから」

　「JEANAのときにいろんな先輩に面倒みていただいたりして、そこから広がっていった感じですね。修行のために、というか」

　「きっかけは……いちばんは氷室さんがライヴ活動を引退したことですね」

　「本当に自分がやりたいことをあらためて考えたんです。ずっとロックンロールをやってきたけど、もともとはBOØWYとかにも影響を受けているので。ちゃんと自分の音楽を出したい、隠してる必要もないかなと思って」

　「縛られてた部分はあるかもしれないですけどね。どっちも自分なので、それを出せないのは嫌だな、と。だから今回は、これからに向けて全部を出した感じです。そこから方向性が定まるかなって。ロックンロールをやっている“JOHNNY”から“山下大悟”への過程の作品のような」

　「そうなんですよ。いろいろな音楽に触れてはきていて、フリーのベースも弾けます（笑）。意外みたいなことは言われるんですけど。今回は裸の状態から始まるので、いろんな世代の人にヒットする曲を作って、広く知ってもらうのがいちばんかなと思って」

　「もともとは自分もそうだったんですよ。でも、それだとどこまでいっても現状維持だし、おもしろくないなって。いい意味でも悪い意味でも反面教師の人が多いかもしれない。そういう部分も含めて、ジャパニーズ・ロックンロールっていうカルチャーを少しでも盛り上げて、新しくしていきたいですね。いろんな人にお世話になったので、カルチャーを盛り上げることで、その人たちに恩返ししたい」

　「TAKUさんは作曲とかもやっているので、すごく柔軟な人だっていうこともあるかもしれないですけどね。でも、いろんな方からこのまま頑張れとは言ってもらえます」

　「やっぱり、コテコテなロックンローラーの人には叩かれたりするんだろうなとも思うんです。でも、このアルバムを聴いてくれた人が、そこから掘り下げていったら、ロックンロールにも広がっていくじゃないですか。そのきっかけになればいいかなと思っていて。おれも“JOHNNY”としてコテコテのロックンロールを今もやって、ヨーロッパに行ったりしてる。そういう意味でも筋は通してると思ってます」

　「今までは自分だけでやってたんですけど、初めて人の力を借りました。新しいものを作っていくためにいろんな意見を出し合って、コテコテに作った曲を崩したりするような感じでしたね。たとえば〈WORK'N ROLL ALL NIGHT〉のドラムは打ち込みなんですよ。もともとはほんとに踊れるようなロックンロールを作って、それを電子的にしたので、おもしろいかなと思ってますね。自分の意図してたものができたかなって」

　「そういう部分を脈々と受け継いでいけたらなっていうのは思ってますね。若いやつでビート系の音楽をやってるやつって本当にいないんですよ。GLAYとかLUNA SEAとかで止まっちゃってる気がしてて」

　「やっぱり8ビートでバシバシくる感じ、それで踊れるっていうのがいちばんですよね。そこから噛み砕いて、自分のカラーを入れていくような感じです」

　「そうですね。でも、それは完全にロックンロール中心のJOHNNYというプロジェクトとしてですが」

　「そうですね。向こうはロックンロールへの熱も高くて、日本だと“うわっ”て思われるような感じも、クールって受け入れられる。路上ライヴもやったんですけど、エンタテインメント性があるとおもしろがってくれるんですよ。最初はエルヴィス・プレスリーをうまく歌ってみたり、まじめにやってたんですけど、全然反応してくれなくて。それで頭にきて、思いっきりツイスト踊りながらわかりやすいことやったら、すごく反応してくれて」

　「そうです。うまく、丁寧に、カチッと音楽をやるよりは、エネルギーをもらいにライヴに来てるような人が多いので」

　「まぁ向こうにもいなかったと思いますよ（笑）」

　「感慨深かったですね。防音もないし鏡張りだからガンガンしちゃって、音とか最悪なんですよ。電圧も違うから、経験したことがないような、バズーカみたいな音が出る。もう会場全体が鳴ってる感じなんですけど、やれることが嬉しいというか」

　「そうですね。そこはちゃんと現代的にやろうかなと（笑）」

　「結果的に広がってくれればいいわけですからね」

　「よく言われますね（笑）。JEANAのときから自分で全部やってたので、好きなんですよね。大変ではあるんですけど」

　「一回切り捨てる部分もあるとは思います。そういう意味で、アルバムでは髪を下ろした写真をジャケットに使ったんですよ。これで離れる人は離れるだろう、と。そこでついてきてくれる人に、しっかりいいものを見せていこうと思います」

　「中間くらいですね」

　「衣装も含めてですけど、がっつりリーゼントって感じではなく」

　「同期も使いますよ。そのためにホーンとかは最初から電子的な感じにして、80年代っぽい音で作ってあるので」

　「そうそう。それが80'sの良さだと思うんですよ。ゲートリヴァーブがかかったドラムとかも含めて。ヨーロッパでつんできた経験でかなり肝が据わったので、そのまま16日にぶつけられたらいいかなと思います」

　「意識的にいろんなものを取り入れた今回のアルバムを作ったことで、次にやりたいことがしっかり見えてきた部分があるので、ここからさらに絞っていくようなイメージですね。音のテイストとか歌い方とか、すべて統一した質感になるように」

　「やっぱりロックンロールを代表する顔ぶれに並びたい、っていう夢は持っているので、ベタですけど武道館ですよね」

　「好きな人を追いかけてるだけなんですよ。それが原動力というか。単純なんです」