デビュー10周年というメモリアル・イヤーに合わせて、現在、3ヵ月連続で作品リリースを続けているMISIAが連続リリース第2弾となるシングル「約束の翼」を発表! 映画『僕の彼女はサイボーグ』の主題歌である今作は、MISIAの真骨頂ともいえる壮大かつドラマティックなスロー・バラードに仕上がっている。6月25日にリリースされるREMIX CD+LIVE DVDと併せて彼女に話を訊いた。 時にはポップな曲を弾けるように歌い、もちろんR&Bやソウルもお手の物。また時にはDJたちからも高く評価されるダンス・ナンバーを発表したりと、さまざまなスタイルでその歌声を届けてきたMISIA。そんな彼女の最新シングル「約束の翼」は、これもまた彼女の一つの横顔である、王道バラードだ。思い出してもみてほしい、MISIAがかつて
「Everything」を発表するまでは、日本のポップ・シーンにはミュージカルの主題歌のようなビッグな後味を残す王道バラードは、存在しなかった。もっとも、道を自分の手で確実に切り拓いてきたMISIAは、同じことは繰り返さないのもまた事実。この「約束の翼」には、壮大なバラードながらもセンチメンタルさではなく、不思議な爽快感が宿っているから興味深い。
「この曲は最初のサウンドが、フェンダー・ローズではじまるんですよ。こういう、王道のバラードってピアノとか弦とかハープだったりと、そういうアプローチが多いじゃないですか。ローズではじまるのって、けっこう珍しいんですよね。だから、フィリー・ソウル的なバラードだと、私は感じるんですよ。それに、バラードなのに疾走感があって。聴く人には、そういう風にも楽しんでもらえると思います」
「今回のツアーは、“みんなで一つになって幸せになる”というテーマがあったんです。でもよく考えたらそれは、私がメッセージとして言っていたことではなく、音楽のほうから、私にそういうメッセージを伝えてくれていたんだなと。ライヴをやっていると、会場がひとつになって盛り上がる瞬間って、ものすごく楽しいんですよ。醍醐味っていうか、あれがやっぱりたまらないんですよね。そうやって、みんなで一つになって、幸せになるって楽しいことなんですよって、音楽そのものが私に教えてくれてるんです。事実というより、そういう真実を伝えてくれるんですよね」
そう話すMISIAは、今年でデビュー10周年を迎えた。
「音楽をやる上で、すごく大切な気持ちがあって……それは、“リスペクト” なんです。最初は、その言葉をどちらかというと形としてとらえていたんですよね。つまり、音楽のジャンルとしてのスタイルみたいに考えていたんです。でも、10年いろんな人とお仕事させてもらったり、出会ったりする中で、人間同士のコミュニケーションの基本として、“リスペクト”はすごく大切な部分なんだなって思うようになりました」
そんな想いとともに、紡がれる歌たち。伝わるものの大きさも、格別だ。
取材・文/妹沢奈美(2008年4月)