“Groovillage”に所属するレーベルメイトとしても交流を深めている
PUSHIM と
韻シスト がコラボレーション。共作曲に加えて、楽器隊メンバーによる“韻シストBAND”を含むそれぞれのソロ楽曲や、
GAGLE のDJ
MITSU THE BEATS が手がけたリミックスも収録したミニ・アルバム『
TO THE NEXT 』を発表。リスナーの感覚を柔らかく包み込むような、ふくよかで広がりのあるタフさが貫かれ、作品作りの妙を感じさせる本作について、PUSHIMと韻シストのTAKU(g)に伺った。
――(インタビューは韻シスト初のブルーノート公演の翌日)昨日のブルーノートはいかがでしたでしょうか?
TAKU 「とにかく楽しかったですね。おかげで飲みすぎてしまいましたけど、それだけ充実のライヴだったということで」
――ちょっと目がトロンとされてますね(笑)。
TAKU 「精一杯バレへんようにしたんですけどダメですか(笑)」
PUSHIM 「来た瞬間に分かったね(笑)。でも韻シストがそれだけ打ち上がったんだから相当楽しかったんだろうなと」
TAKU 「リーダー(Shyoudog / b)もめっちゃテンション上がってて。あんなテンション上がってるリーダー久々に見ました(笑)。今までも
CHARA さんや
KenKen (
RIZE )と一緒にブルーノートのステージに立たせてはもらってたんですが、韻シストとしては初めてだったし、やっぱりブルーノートは“宿ってる”って感じましたね。これまで、素晴らしいアーティストや演奏が行われてきた会場だし、神聖なものを昨日は余計に感じましたね」
PUSHIM 「会場それぞれの個性ってあるよね。だから、それぞれのハコの性格とどれだけ仲良く出来るかっていうのは、ステージに立つ時、アーティストとして考えますね」
――今回の『TO THE NEXT』ですが、コラボレーションという形での制作となりましたね。
PUSHIM 「去年の夏〜秋ぐらいから話が始まったんですが、もう最初から“ええやん!”って盛り上がってましたね」
TAKU 「最初に曲数が決まって。聴く方もいきなりガッツリ十何曲よりも、すっと聴ける方が良いかなと」
PUSHIM 「話しながら“これならフル・アルバム作れるよね”っていう位のアイディアは出てきたんだけど、お互いの単独作もあるので、それとのバランスを考えたら、これぐらいの曲数がちょうどいいのかなって。コンパクトな感じで構成しつつ、その中でどんなバランスを取ったらいいかな、お互いの性質をどう出そうかな、っていうのを決めて、そこからスタジオに入った感じですね」
――具体的な制作はどのように?
TAKU 「PUSHIMさんが大阪に来た時は大阪、逆に僕らが東京に行った時は東京でスタジオに入って。それが難しいときは電話やLINEでやり取りして」
PUSHIM 「期間を集中させて入るんじゃなくて、3〜4ヶ月の間に分けて入る感じでしたね」
TAKU 「沖縄で一週間とかもやりたかったですけどね(笑)」
PUSHIM 「もしくは、ハワイ、ジャマイカ……予算があれば(笑)」
――“PUSHIM×韻シスト”名義の「TO THE NEXT」で幕が開きます。
TAKU 「Shyoudogが“こんなリフどう?”って持ってきたものから、バンドで広げていったサウンドが土台のトラックになって、それをPUSHIMさんに投げたら、そこにメロディやフレーズのアイディアを何通りも出してくれたんで、そこから更に固めていった感じです」
PUSHIM 「この曲に関しては、すぐにメロディが出ましたね。それで、その場でRECして、膨らましていって」
TAKU 「歌詞も、つるつるっと生まれていった感じがして」
PUSHIM 「細々と説明せんでも分かってるっていう感触があった気がするな。みんなの読解力がいいというか」
――ポジティヴなメッセージの楽曲だと思いますが。
PUSHIM 「“ONE STEP TO THE NEXT”っていうフレーズが浮かんだんですよね。まずサビの歌詞ができて、そこからMC陣がリリックを組み立てて。韻シストとのコラボ作品は、2015年にリリースした〈DON'T STOP〉以来だったし、曲調については“こうくるねんな”と、はっとさせたいという気持ちもあって」
――作品全体からもポジティヴティを感じました。
PUSHIM 「作為的にそうした訳ではないし、みんなのやりたいことのバランスを取ったらそうなったんだと思います。ソロ曲でレゲエをやったのは、もちろんファンに聴かせたいのもあるけど、韻シストにとっては面白いチャレンジになるかも……っていうシンプルな動機で」
TAKU 「溢れ出るものをバッと形にしたら、この形になっていったという感じですね」
VIDEO
――「Dreamin'」はセッションのような面白さがありますね。
TAKU 「軽やかに聴ける曲だと思いますね。〈TO THE NEXT〉がメッセージ性が強い曲だったんで」
PUSHIM 「そのカウンター的な。聴いてて単純に気持ちがいいものっていう」
――PUSHIMさんのソロ曲は「Rising Sun」。
TAKU 「韻シストBANDとして、何個かレゲエ・フレイヴァーのあるトラックを作って、そこから選んでもらったんです」
PUSHIM 「いきなり作るんじゃなくて、ちょっと寝かしてからメロディを作った曲です。ドープなオケでもあったので、濃いリリックよりも、可愛いラブ・ソングだったら面白いかなって。ジャケット写真からも分かる通り、これだけ男の人(韻シスト)が揃ってるんで“韻シストへの応援歌”としても聴けるかな」
――韻シストは「とまらない」ですね。
TAKU 「札幌にツアーに行ったとき、急に
BASI がぼそっと“今日マイクとか持ってきてる?”って。もう“ラップ録りたいオーラ”がエグいほど出てて(笑)。ドラム・ブレイクにラップが乗っただけなんですけど、そこから広げていった曲。(韻シストだと)時々ある作り方なんですけど、普通だったらこのメロディとトラックは思い浮かばないなって展開が生まれたりして、面白いんですよね。この曲も最終的は“ザ・韻シスト”って仕上がりになって。サッコンもラスト・ヴァースをきれいにまとめてくれて」
PUSHIM 「サッコンのまとめ方は最高だよね」
TAKU 「阪神の
藤川球児 みたいなもんで、抑えのエースです(笑)。ただ、最近ライヴでは奇行が目立つんですよね。昨日のブルーノートでも、MC中に急に無言になって。しかも意味があるんじゃなくてホント急にぼうっとした感じで、KenKenに“オカルト入ってる”って言われてて(笑)」
――韻シストBANDとしても「SPACE&TIME」が収録されています。
TAKU 「この曲は“半インスト”って呼んでるんですけど、サビだけ歌があって、しかも永久にそのサビがリフレインされて“しつこいわ! わかったわ!”みたいなのが作りたくて(笑)。言うたら、ループによってグルーヴが生まれるようなタイプの曲が作りたかったんですよ」
PUSHIM 「このフックのメロディは頭のなかでループするよね」
TAKU 「PUSHIMさんがRECの時にもう歌ってて、こっちの術中にハマってくれたなと(笑)。今まで、いつも韻シストBANDの曲は韻シストBANDのメンバーが歌詞を書いてたんですが、よく考えたら、リリックを書くのが上手い人間が近くにいるってことに気づいて(笑)、それで今回はBASIに書いてもらって」
PUSHIM 「Shyouくん(Shyoudog)の声には華があるよね。もう3人の声は聴き飽きたわ……ぐらいのときに登場して欲しかった(笑)。でもホントに持っていかれる声よね」
TAKU 「最初は“どうやろ?”とか言ってたんですけど。あんまり前に出たがらないタイプなんで」
PUSHIM 「そこは私がGroovillageの村長として“Shyouくん歌おうよ!”って言うたよね」
TAKU 「そう言ってくれて、僕らとしてはめっちゃ嬉しいですね。Shyouはフロントマンの素質があるのに、フロントマンの気質が無いっていうアンバランスな性格なんで(笑)。でも相撲で人生が変わったらしいですよ」
PUSHIM 「どういうこと?(笑)」
TAKU 「幼稚園の時にガキ大将のやつに相撲で勝ったんですって。それでみんながShyouちゃん!って駆け寄ってきたらしくて」
PUSHIM 「俺イケてるかも、って思ったんや(笑)」
TAKU 「小学校の時にも、文鎮で人を殴る子がいて、そいつを成敗したら、またShyouちゃん!って人気が出て」
PUSHIM 「そして韻シストのリーダーになったんや(笑)。でもShyouくんの声が無かったら、韻シストのファンは寂しいと思うし、そこは私もファンの立場として歌って欲しかった」
――では“PUSHIM×韻シスト”というコラボの感触はいかがでしょうか。
TAKU 「僕らはGroovillageに所属させて頂いているので……」
PUSHIM 「その言い方! それじゃ、すっごい私が上からみたいになるよ(笑)」
TAKU 「
JAY-Z みたいになりますか(笑)。Groovillageにいてるんで、ボスと一緒にやるというのは緊張しますね(笑)。それは冗談にしても、とにかく一緒に制作するのが楽しい。韻シストの5人では気づかなかったトコとか、いろいろ勉強させてもらうことも多いし、作業の仕方も、似て非なるモノがあるので、スゴい“盗める”んですよね。特に今回は〈DON'T STOP〉のときと全然違いますね。前回は“このヴァースを埋めて下さい”って感じだったけど、今回はGroovillageありきで、馴染んでるのありきで作ったんで、ホンマにセッションみたいに、一緒に作ったって感じですね」
PUSHIM 「前回は、韻シストのプロダクトの上に乗っかったって感じで、自分の声や言葉っていうエッセンスを乗せたって感じだと思うんですけど、今回は同じレーベルメイトとして作るなら、“韻シストの5人とPUSHIM”っていう、みんなの知恵が一緒に入った作品にしたかったんですよね。そういう制作を今回はみんなで出来たと思う」
――より有機的に出来たというか。
PUSHIM 「韻シストらしさも崩したくないし、自分らしさも崩したくないから、プレイヤーとして、共同制作者として、レーベルのボスとして(笑)、自分がファンならこういう部分を聴きたいっていういちファンとして……みたいに、色んな立場やバランスを考えながら、作品に関われたと思いますね。作品のミックスもTAKUくんに任せて、“あとはセンスに任すからよろしく!”って(笑)。でも結果“やるやん!”っていう内容だったから、大正解でしたね」
TAKU 「恐縮です(笑)」
――そして今年、韻シストは結成20周年を迎えます。
TAKU 「楽しげなイヴェントをしたいなと思ってますね。初夏の頃にはいろいろ考えてるんで、待ってて欲しいですね。それから、今年もアルバムは出したいと思ってるんで、そこも期待しといてください」
――PUSHIMさんはいかがでしょう。
PUSHIM 「来年は20周年で、次のアルバムが10枚目になるので、今年は制作に専念しようと思ってます」
――2月17日には大阪で、24日には東京で、韻シストのイヴェント〈Neighborhood〉が行われますが、PUSHIMさんとRITTO さんがゲストで参加されます。 TAKU 「リリースとドンピシャなタイミングでもあるので、今回の楽曲に加えて、他のコラボ曲もいっぱいやりたいですね」
PUSHIM 「私としては韻シストの女子ファンに嫉妬されるようなステージにしようと思ってるんで(笑)、期待しててください」
取材・文 / 高木“JET”晋一郎(2018年1月)
2018年2月24日(土) 東京 代官山 LOOP 開場 18:00 / 開演 19:00前売 4,000円 / 当日 4,500円 ※オールスタンディング / ドリンク別 出演 韻シスト / PUSHIM / RITTO DJ: FENCER / 高橋マシ(SLD)
韻シスト 20th ANNIVERSARY 〜NeighborFood SPECIAL3DAYS〜 Namba Hatch 3days www.in-sist.com/ 2018年6月15日(金) 大阪 なんば hatch 開場 18:00 / 開演 19:00出演: 韻シスト ほか 2018年6月16日(土) 大阪 なんば hatch 開場 17:00 / 開演 18:00出演: 韻シスト ほか 2018年6月17日(日) 大阪 なんば hatch 開場 17:00 / 開演 18:00出演: PUSHIM / 韻シスト ほか 料金 指定席 5,500円 / 1F後方スタンディング 4,500円 3days指定席 15,000円 / 3daysスタンディング 12,000円 VIP指定席 7,000円 / KIDS TICKET 3,000円※VIP指定席は記念グッズ付き。1階最前列から3列目までのお席になります。 ※KIDS TICKETは中学生以下対象、1階後方スタンディングです。 ※ご入場時、別途ドリンク代(500円)が必要となります。 ※4歳未満入場不可(指定席は年齢問わずチケット必要) 最速先行受付 2月14日(水)19:00〜3月4日(日)23:00eplus.jp/is20th/ 一般発売 4月21日(土)〜ローソンチケット / e+ / チケットぴあ / 楽天チケット ※お問い合わせ: YUMEBANCHI