DÉ DÉ MOUSEが、約1年4ヶ月ぶりにニュー・アルバム『be yourself』をリリース。新作は、80s〜90sのユーロビートやフレンチハウスなど、ディスコをベースにした、キャッチーなメロディ溢れるキラキラのダンス・ミュージックがずらりと並んでいる。DÉ DÉ MOUSEからイメージされる民族ボイスもトリッキーな展開もない、ストレートさがとても新鮮だ。フレッシュで高揚感に満ちた作品へと向かった、彼の思いをたっぷりと聞いていこう。
――ニュー・アルバム『be yourself』は、どのようなテーマで制作されていったんですか。
「去年『dream you up』を出してすぐの5月くらいに、夕暮れどきの多摩川の辺りを散歩してて、フィルターハウスを聴いてたら泣けてきちゃったんです。気分が高揚して、川辺の野外フェスとかでこんな最高の時間帯にこんな曲がかかったらテンション、激アガるなって。そんな気持ちになれる曲作りたい、夕暮れどきのディスコみたいなのをテーマにしようって思ったのが、今回のアルバムのスタートでした」
「それはすごく意識してます。あと、前作『dream you up』と今回の『be yourself』って、曲の質感、曲調的には同じ方向に思われるかもしれないけど、実は自分の中では180度違うんです」
――前作の延長戦ではないと。
「はい。『dream you up』は、DÉ DÉ MOUSEがDÉ DÉ MOUSEをやるってことを意識して作ったアルバムなんです。前作は、自分はほんとはこっちの音が好きだけど、ファンが喜ぶのはこっちだからって感じだったんですよ。だけど今回は、自分がアガるもの、自分の気持ちを入れ込んで作っていったんです」
――作る視点が完全に自分だったと。
「そうですね。単純に、自分がエモくなれる音を探していくって感覚というか。DÉ DÉ MOUSEだから、民族ボイスを入れなきゃいけないとかちょっとトリッキーなリズムを入れなきゃいけないとか、それが取っ払われた感じです。そしたら、音が軽やかになったんです。僕は、自分が今いいと思ってるものを届けることが、今、やるべきことだなって思ってるんです。でも、単に独りよがりなものじゃなく、みんなが踊れるようにとか、僕がエモいと思った気持ちも共有してもらえるんじゃないかなとか、ちゃんと第三者を意識して作っていきました。それでも、“これDÉ DÉ MOUSEじゃなくてもよくね?”って人もいると思うんですよ。“民族声は?”“素直すぎねえ?”って人もいるかもしれない」
「それもわかるんですよ。例えば、自分が大好きなアーティストの最初に衝撃を受けたアルバムって、新しい作品が出ても自分の中では越えられないじゃないですか。今、僕のことをいいと言ってくれる人って、ほとんどがサードアルバムの『A journey to freedom』が好きって言ってくれるんです。それに対して素直になれない時期もあったんですよ。でも、僕はエイフェックス・ツインが大好きだけど、今、アルバムを並べられて真っ先に『Syro』を手に取るかと言われたら、最初に衝撃を受けた『リチャード・D.ジェイムス・アルバム』を取っちゃう。そうやって、人は最初に衝撃を受けたものは越えられないんだって思えたときに、じゃあ、自分が毎回出す作品が、誰かの衝撃になるようにがんばろうって思ったんです」
――新しい作品へ向かう、前向きな気持ちがみなぎっていると。
「それはあります。なので新作をDÉ DÉ MOUSEらしくないとか言う人も必ず出てくると思うけど、それも全部含めて今の自分を届けたいなと。否定的な意見を見るのは怖いから、自分がやりたい気持ちを押し込めるのは違うなって、今は思いますね」
――なるほど。では、アルバムで軸になった曲を挙げるとすると?
「〈back to love〉ですね。去年の5月くらいから構想して曲作りにも着手してたけど、今回収録してるものってほとんどが今年に入ってから作ったものなんです。それまでにも何曲かはあったんですけど、〈back to love〉ができたときに、これだ!って思えて、そこから作業がダッと進みました」