スキマスイッチのヴォーカリスト・大橋卓弥が、ソロ活動の集大成となる1stアルバム『Drunk Monkeys』を完成させた。自身の内面をさらけ出した歌詞、躍動感溢れるバンド・サウンドにこだわって制作したという今作は、これまでの大橋卓弥のイメージを一新させる渾身の一枚。今回のソロ活動が彼に与えたもの、そして今後のスキマスイッチとは──。大橋卓弥にその想いを訊いた。 2008年上半期の音楽トップ・ニュースのひとつに挙げられるであろう、スキマスイッチのヴォーカリスト・大橋卓弥によるソロ・プロジェクト。デビュー・シングル
「はじまりの歌」が好スタートを切る一方で、スキマスイッチの活動が順調だっただけに「なぜ今、ソロ活動なのか」という声があったのも事実。
「ソロ活動については本当にいろいろな意見があったんです。僕としては“ココだ!”ってタイミングで始めたつもりだったので、“どうして?”という意見はちょっと悲しくもあって……。僕のやりたいことは、なかなか伝わらないのかな、とか思ってしまうこともあったりしましたけど、活動を続けてきて今はちゃんと伝えられていると実感してます」
そんな中でも
「ありがとう」、
「SKY」と立て続けにシングルを発表。そして今回、遂に1stアルバム『Drunk Monkeys』が完成した。
「最初から、アルバムまでは作りたいと思っていました。どんな作品になるかは僕自身も終盤まで見えていなかったんですけど、とにかくスキマスイッチとは全然違うものを作りたい、そうじゃなきゃソロ活動をする意味がないと思いながら制作していましたね。結果、自分でも納得できる一枚ができたと満足しています」
彼のソロ活動にはポイントとなる、ふたつの要素がある。ひとつは彼のパーソナルな部分を描いた歌詞、もうひとつはアルバム・タイトルにもなったバック・バンド(古田たかし〈ds〉/斎藤有太〈p〉/山口寛雄〈b〉/新井“ラーメン”健〈g〉)と共に生み出した勢いのあるサウンド。特に、弱さや不安、時には女々しさまでもを感じさせる歌詞は、彼自身にとっても新たな発見だったという。
「スキマスイッチは2人組なので、僕個人に振り切ったことはあまり歌えないんですね。差別化するためにも、ソロでは自分の中にある個人的なことを思いきって吐き出してしまおう、と。そしたら、思った以上に自分はネガティヴな人間なんだってことがわかりました(笑)。ただ、そのネガティヴな思考も僕にとっては曲を書くいい反動になっているんです。それを吐き出すことでスッキリすることに気付いたし、そもそも吐き出せる自分がいるってことが大発見でした。それと同時にサウンドの方も、パソコンを使って緻密に計算していくスキマスイッチに対し、Drunk Monkeysは僕がギターやピアノで作った曲を、みんなでその場でアレンジしていくという真逆のスタイル。レコーディングもすべて一発録りで行ないました。荒削りだけど、そこがまた、人間味溢れる感じでいいなと思うんです」
今回のソロ活動を、彼は“修行期間”と位置づけていた。そして今作をもって“修行”、すなわちソロ活動は、ひとまず終了とのこと。
「秋のツアーが残ってますけど、今は徐々にスキマスイッチの活動の方へ頭が切り替わっている段階です。それぞれがソロ活動をした経験が、今後のスキマスイッチにどう影響してくるのか、僕ら自身も楽しみにしています。また、今回のソロ作品がリスナーの方に与える影響もあると思うんですよ。今までは、あえて僕とシンタくん(
常田真太郎)の連名にしていた作詞作曲のクレジットも、ソロ作品を聴くことで、どちらが楽曲のイニシアチブを握っているのか、若干ネタバレになっちゃうんじゃないか、と(笑)。そんな楽しみ方もしてもらえたら嬉しいですね」
取材・文/片貝久美子(2008年6月)
【大橋卓弥ライヴ情報】
9月29日(月)、30日(火)のYOKOHAMA BLITZ 2daysを皮切りに、“大橋卓弥with Drunk Monkeys TOUR 2008”がスタート。ツアー・ファイナルは11月18日(火)、19日(水)のZepp Sapporo 2days。詳しくは公式ホームページ(
http://www.office-augusta.com/ohashi/)へ。