「基本的に多くは、旧知の“いつかやりたい”って話していた皆さんです。約束が流れていくのが俺はきらいで、必ず実現したい。関係性が近い人と作ることは当然の流れだけど、自分の作品は何をしてもRC SLUMだと思うから、外の人たちとも作りますね。今回の収録曲で最初に完成した〈PIECE OF MIND〉は長崎のDJ MOTORAさんのトラックを使っていて、この曲のおかげで全体の方向性やコンセプトが定まりました」
――DJ MOTORAさんと出会ったきっかけは?
「『NEO TOKAI ON THE LINE』のツアーの時、長崎でOWL BEATSが紹介してくれました。MOTORAさん、“ちょっと待ってください!”ってぐらい次々とトラックを送ってくれて(笑)。〈PIECE OF MIND〉をRECして送ったら、すぐリミックスが届いて、レスポンスも速い(笑)。“混ぜるのどうですか?”ってトラックを切り替えるように提案してみたり、アイディアを出し合って。そういうのはうれしいです、応えたいし。俺も、MOTORAさんがプロデュースした長崎のラッパーMARCOの〈TAKE OFF〉(アルバム『FIRE BIRD』収録)という曲に参加しています」
――先行配信された「TILL THE END OF TIME」、これはKOJOEさんが「ビートを選ぶセンスがヴィンテージ」とツイートされていた曲ですね。
「フロウに馴染ませて言葉を詰めた『QUESTIONABLE THOUGHT』と、原点回帰と“伝えよう”という姿勢を重視した『NEO TOKAI ON THE LINE』との中間くらいの感触を意識していました。それぞれまったく違う作品なので、あくまでもイメージとして。OWL BEATSとまわったツアーのとき、物販用にリミックス音源(『YUKSTA-ILL REMIX EP/REMIX BY OWL BEATS』)を作ったんですけど、そこに1曲だけ入れた新曲〈DRASTIC REMEDY〉もヒントになりました」
「〈COMPLEX〉では、ラップ駆け出しって意味で“少年”って言ってるけど、描いているのは20代前半のころの自分で、日本に戻ってKOKIN(BEATZ THE ILLEST)と出会ってからのこと。初めてマイクを持ったのはアメリカにいた高校時代です。学校の友達がやってたラップ・クルーに俺も参加することになって、クルーの家、ラボみたいな感じでスタジオ機材とかがある地下室でラップしたのが最初。その流れで一度だけライヴもしたんですよ、手応えまったくなしでしたけど……。あ、でもそれよりも前に、JAY-Z〈CAN I GET A...〉のMVを観てたら急にラッパーになりたくなって、小節もなにもわからないまま映像に合わせてリリック書いてラップした覚えがありますね。なんでその曲でラップがしたくなったのかはわからない(笑)」