シンガー・ソングライターとしての側面にスポットをあてたTOKU『ORIGINAL SONGBOOK』

TOKU(Jazz)   2019/02/20掲載
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 “日本唯一のヴォーカリスト&フリューゲルホーンプレイヤー”として、世界各国でセッション、コラボレーションを繰り返しているTOKUが、アンソロジ―・アルバム『ORIGINAL SONGBOOK』をリリースする。これまでに発表されたアルバムのなかから、TOKU自身が作詞・作曲などを手がけた楽曲をセレクト。ジャズ・アーティストとして独自のポジションを獲得してきた彼のシンガー・ソングライターとしての足跡を追体験できる作品に仕上がっている。他アーティストとのコラボ楽曲から新規音源「My Sweet Lil' Girl」「Monday Midnight」「Again(TOKU Solo Version)」を含む本作について、TOKU自身に語ってもらった。
――アルバム『ORIGINAL SONGBOOK』は、シンガーソングライターとしてのTOKUさんの軌跡が刻まれた作品。このアルバムを制作した経緯を教えてもらえますか?
 「2000年にデビューして、これまで11枚のアルバムをリリースしてきて。基本的にはジャズ・アーティストして活動しているんですが、レコーディングやライヴを通して、いろんなジャンルのアーティストとコラボを繰り返して……ということは、知ってもらえてます?」
――存じ上げてます(笑)。
 「だったら話はラクなんだけど(笑)、コラボレーションのなかで生まれた曲をカタチにしたいとずっと思っていて、それが2017年に出した『SHAKE』(ゲストにSUGIZOYasei CollectiveAISHAZeebraDABOシシド・カフカ土屋公平石川俊介(ゼノン石川)ゴスペラーズ多和田えみ小沼ようすけ大黒摩季NAOTOを招いたコラボ作)というアルバムなんですね。『SHAKE』をリリースして、ひと区切りついたこのタイミングで、僕の音楽を知ってもらうために“この一枚でだいたいわかる”というベスト盤の企画が持ち上がったんですが、普通のベスト盤にはしたくなくて。いろいろ考えるなかで、“オリジナル楽曲を集めたアルバムはどうだろう?”と提案したら、スタッフにも賛同してもらえて、リリースに至ったというわけですね」
――ベスト盤の機能もあり、ソングライターとしての側面にスポットを当てられるアイテムですよね。
 「そうなんです。僕としてもソングライターの部分にスポットライトが当たるのは嬉しくて。デビュー・アルバム(『Everything She Said』)からはじまって、ほぼすべてのアルバムにオリジナル曲を収録しているし、ほかのアーティストの楽曲を作曲させてもらう機会もあったから、それをまとめられるのはすごくいいなと。未発表音源も入ってるし、自分としてはニュー・アルバムのような感覚なんですよね」
――フリューゲルホーン奏者とシンガー・ソングライターは、デビュー当初から両軸として考えていたんですか?
 「どうだろう? 僕はジャズ・ミュージシャンとしてデビューしたし、常日頃から曲を書いているわけではなくて。ライヴ人間で、その場で生まれる音楽が好きだから、そういう意味では日々(ライヴのなかで)アドリブで曲を作っているとも言えるんだけど、作曲のための時間を作ることはほとんどないんです。インスピレーションを待っているというか、その瞬間に浮かんだことをバッとカタチにすることが多いので」
TOKU
――なるほど。『ORIGINAL SONGBOOK』の収録曲を聴くと、ジャズだけではなく、R&B、ソウルなど様々な音楽のテイストが感じられますが、これも意図的なものではなく、自然に反映されているのでしょうか?
 「ジャンルの枠はぜんぜん意識していないし、そもそも小さい頃からいろんな音楽を聴いてきましたからね。父親の影響が大きいんですよ。自分でもブルーグラスのバンドをやっていた人だし、とくに洋楽は父親から教わることが多くて。テレビの歌番組も見ていたし、高校の頃はバンドを組んでロックやパンクをやったり、フォークも好きだったり。ジャズに出会ったのは大学1年生のときで、そこで中学時代にやっていたトランペットに戻って」
――最初からジャズ一本だったわけではない、と。
 「そうですね。デビュー・アルバムの1曲目がジャズ・スタンダードではなく、スティングの曲(〈シスター・ムーン〉)という時点で、ちょっと違いますよね(笑)。ただ、音楽のやり方はジャズなんですよ。その場その場で変化していくのが好きだし、“生もの”のアーティストだと自分では思っていて。結局、そういうやり方が楽しいんですよ。参加してくれるメンバーにもいつも新鮮な気持ちで演奏してほしいし、何よりも自分自身がフレッシュでいたいので。そういう意味では、ジャズは性に合ってる音楽だと思います。いちばん最初は耳コピだったんですけどね。マイルス・デイヴィスの〈If I Were A Bell〉のソロをそのまま覚えて、それをセッションで吹いてたら、“マイルスのアドリブだね”と言われて、“え、それは何ですか?”って(笑)」
――『ORIGINAL SONGBOOK』には「Again(duet with EXILE ATSUSHI)」「Life is Beautiful with m-flo & DOUBLE」「Sunshine [with Zeebra]」などコラボ楽曲も収録。本当に幅広いジャンルのアーティストと交流がありますね。
 「どんなジャンルであっても、個性があるミュージシャンが好きなんです。その人しか持ってない声、その人にしか出せない音を聴くとインスピレーションが湧くし、そういう人はやっぱり強いですから。しかも僕が共演してきたミュージシャンは、その前からつながりがあった人ばかりなんですよ。たとえばATSUSHIは、2007年の久保田利伸さんのイベントで会ったんです。久保田さんの楽曲をいろんなアーティストが歌うイベントで、AI椎名純平birdなどが参加していて、そのなかにATSUSHIもいて。その後、僕のライヴにATSUSHIが来てくれて、〈Again〉を気に入ってくれて、飛び入りで歌ってくれたこともあって。その流れがあって、“レコーディングしようか”ということになったんです」
――ライヴの現場から始まってるんですね。
 「そうです。m-floの☆Taku Takahashiとは彼が立ち上げたレーベルのパーティが最初だったかな。その1年後くらいに連絡がきて、一緒に曲をやることになったんです。Zeebraと会ったのは、ベーシストの日野賢二のライヴでしたね。六本木にあった“スイートベイジル”だったんですけど、ゲストでZeebraが出てきて、めちゃくちゃカッコ良くて。日本のジャズ・アーティストのなかで、こんなにいろいろな人とつながりがあるのはめずらしいかもしれないですね」
――海外のシーンでは、ジャズ、ヒップホップ、R&Bの接近と融合が繰り返されてますが、日本はそういう動きが少ないような気がします。
 「やっぱりそういう認識がありますか? 僕もジャンルの壁はもっと崩れていいと思うし、『SHAKE』も“ジャンルを混ぜたい”という気持ちで制作したところもあって。日本人の気質みたいなものもあるんでしょうね。出会ってもすぐに“一緒にやろう”ということになかなかならないというか……。向こうのミュージシャンはオープンだし、行動に移すのが早いんですよね。だからこそ、あれだけクリエイティヴなことが起きてるんだと思います。とくにロバート・グラスパーが登場してから、ジャンルの融合はすごく浸透しましたよね。日本のミュージシャンも、もっとやればいいと思います」
TOKU
――『ORIGINAL SONGBOOK』を制作したことで、次の活動のアイディアも生まれてきたのでは?
 「そうですね。さっきも言いましたけど、オリジナル楽曲をまとめられたのは嬉しいことだし、反応も楽しみで。ソングライターとして、もっと成長していきたいという気持ちも強くなりましたね。数多のジャズ・スタンダードを作ってきた作家たち、たとえばアラン&マリリン・バーグもそうだけど、いい曲には共通している条件があって。パッと聴いたときにすごくポップで、耳あたりがいいんだけど、音楽的なレベルが高いんですよね。僕自身もそういうものが好きだし、自分のレベルを上げて、納得できる作品を作っていかないと」
――シンガーとしてはどうですか?
 「何でも挑戦したいんですよね。活動の場はアメリカが多いけど、世界中でいろんな音楽に触れて、それをカタチにして。去年、キューバに初めて行ったんですよ。ソン、ボレロ、サルサ、ルンバなどを現地で聴いて非常に刺激を受けたし、スペイン語が持つ独特のエネルギーも直に感じて。いきなりスペイン語で歌えるわけではないけど(笑)、“この刺激をどう活かせるか”とずっと考えてるんですよ。そうやっていろいろなものから影響を受けながら、自分の歌も変化していくんだと思いますね」」
取材・文/森 朋之(2019年1月)
写真提供/Motion Blue YOKOHAMA
Live Schedule
TOKU
New Album『ORIGINAL SONGBOOK』発売記念
[メンバー]
TOKU(vo,flh)Grant Richards(p)Marty Holoubek(b)守 真人(ds)


2019年2月25日(月)大阪 梅田 Mr.Kelly's
http://www.misterkellys.co.jp
[1st]19:00 / [2nd]21:30 (入れ替え制)
前売 5,500円 / 当日 6,000円
※お問い合わせ:ミスターケリーズ 06-6342-5821

2019年2月26日(火)奈良 Cento LIVE
https://cento-live.com
[1st]17:00 /[2nd]20:00 (入れ替え制)
前売 4,000円 / 当日 5,000円 / 通し7,000円
※お問い合わせ:Cento LIVE 0742-30-2100

2019年2月27日(水)兵庫 明石 POCHI
http://www.pochi-live.com
開演 19:30(2 sets)
前売 7,000円 / 当日 7,500円
※お問い合わせ:POCHI 078-911-3100

2019年2月28日(木)京都 祇園 セレクテッド・ラポー
http://www.kyoto-repos.com/event.html
受付 17:30 / 開演 19:15
完全予約制 18,000円(コース料理・フリードリンク付)
※お問い合わせ:セレクテッド・ラポー 075-541-0006

2019年3月1日(金)鳥取 JAZZ居酒屋みね
https://tabelog.com/tottori/A3101/A310101/31003723/
開演 19:00(2 sets)
チャージ 5,000円
※お問い合わせ:JAZZ居酒屋みね 0857-30-6528(18:00〜24:00)

2019年3月2日(土)山口 下関 Billie
https://www.billie.jp/live/toku-special-live/
開演 19:00(2 sets)
チャージ 6,500円(1ドリンク付) / 8,500円(1ドリンク+ディナー付)
※お問い合わせ:Billie 083-263-6555

2019年3月4日(月)広島 福山 Music Factory
https://musicfactoryhikino3.wixsite.com/mysite
開演 19:00
前売 4,500円 / 当日 5,500円
※お問い合わせ:Music Factory 084-945-8481

2019年3月5日(火)和歌山 Desafinado
http://www.desafinado.jp
開演 19:30
前売 4,500円 / 当日 5,000円
※お問い合わせ:Desafinado 073-441-6166

2019年3月7日(木)東京 渋谷 セルリアン・タワー40階 BELLOVISTO
BELLOVISTO「Sweet Thursday」
https://www.tokyuhotels.co.jp/cerulean-h/event/44328sweetthursday
受付 18:30 / 開演 19:00
チャージ 6,000円(1ドリンク付) / 10,000円(1ドリンク+ディナー付)
※お問い合わせ:タワーズバー「ベロビスト」03-3476-3398(16:00〜24:00)

2019年3月9日(土)栃木 小山 Fellows
http://www.g-fellows.jp
開演 19:30
前売 5,000円 / 当日 5,500円
※お問い合わせ:Fellows 0285-27-2790


[お問い合わせ]
http://toku-jazz.com/schedule/
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