大人と子供の狭間で揺れる乙女心――奥村初音、“運命的な恋”がテーマの3rdシングルを発表

初音   2008/07/24掲載
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 “17歳という若さにして、完成度の高いソングライティング”と話題のシンガー・ソングライター、奥村初音。彼女が3枚目のシングル「ホントはね」を発表した。この曲は、日本テレビ系水曜ドラマ『正義の味方』の主題歌にも起用され、高い評価を得ている楽曲だ。またカップリングには関西テレビ/フジテレビ系の番組『グータンヌーボ』の6月&7月のエンディング・テーマにもなった。話題の多い本作について彼女に話を訊いた。



 思春期という季節のなかにある繊細でまっすぐな気持ちを、純度の高いヴォーカルで鮮やかに描き出す――。昨年の秋、「恋、花火」でメジャー・デビューしたシンガー・ソングライター、奥村初音の3rdシングル「ホントはね」(作詞:奥村初音、作曲:板垣祐介)は、彼女の音楽の本質をしっかりと切り取ったミディアム・チューンに仕上がった。ホントは大丈夫じゃないのに、人から心配されるとつい“大丈夫だよ”と答えてしまう。大人のふりをして、心の底にある苦しみ、辛さを口に出すことができない。“君は強いね”と言われると、逆に“もっとがんばらな!!”と思ってしまう……そんな自分の在り方をまっすぐに見つめたリリックは、表現者としての彼女の“強さ”を示していると思う。
 「歌詞はレコーディングのギリギリまで何度も練り直しました。大人と子供の狭間で揺れ動く女の子の本音がテーマで。大人になるにつれて、だんだん嘘つきになっていく……という気持ちを書きました。がんばってる人、大変そうな人に何かを言ってあげるとしたら? そうですね、“何でもいいから話して”って言います」





 凛とした意思、イノセントな空気感をまっすぐに広げていくメロディも、本当に魅力的。古川望、種子田健といったベテラン・ミュージシャンたちによるダイナミックなバンド・サウンドのなかで彼女は、どこまでも自由に、自分らしい歌を響かせている。
 「今までの自分にはないような楽曲だったので、“難しそうやけど、がんばって自分のものにしよう”と思いました。実際に歌ってみての感想は……大変でしたね(笑)。何度も何度も歌い込んで、最終的には納得できる歌が歌えたと思います」

 そしてカップリングには、彼女の作詞・作曲によるアップ・チューン「夏色の恋」を収録。ドラマのように出会った彼にひとめぼれ。まるで人生が変わってしまったような、運命的な恋を経験する女の子を主人公にしたこの曲を聴けば、彼女のソングライティング・センスをはっきりと感じてもらえるはずだ。
 「友達が恋をして、だんだんキレイになっていく。その様子をとなりで応援している女の子の気持ちがテーマです。レコーディングのときは、夏らしさが出るように意識していました」

 叙情豊かな夏の風景と儚くも切実な恋愛感情を重ね合わせた「恋、花火」、ちょっとしたことで崩れてしまいそうになる2人の関係を想う「砂」、そして、生々しい歌詞の世界とシンガーとしての成長を感じさせる歌をひとつにした「ホントはね」。3枚のシングルによって奥村初音は、シンガー・ソングライターとしての天賦の才をしっかりと証明してみせた。10代特有のヒリヒリとしたエモーションをどんな年齢層の人が聴いてもグッとくる普遍的な音楽と昇華していく彼女の歌は、純粋無垢な存在感を含め、もっともっと大きなフィールドへと羽ばたいていくことになるだろう。まだ17歳。本当に末恐ろしい才能だと思う。



取材・文/森 朋之(2008年7月)
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