「Together」「あいたくて」「ただ、ありがとう」などのシングル曲以外にも名曲がずらりと並んでいる。MONKEY MAJIKの5枚目のアルバム『TIME』は彼らの最高傑作と言えるだろう。タイトルが示すように“時間”がテーマとなっているのだが、深みと広がりのある作品に仕上がっている。
「今までは“アルバムにコンセプトはいらない”というスタンスでやってきたんですが、前作
『空はまるで』(2007年)が完成度の高い作品だったので、“それよりいい作品を作るには新たなチャレンジが必要”ということで、テーマを決めることでステップ・アップできるんじゃないかなって思ったんですよ。それで“TIME”というテーマに沿って作っていこうと」
(Maynard) 「時間って、現在と過去と未来という3つしかないですよね。人生において、その3つをどう解釈していくのか、いろんな角度から考えることができてよかったですね。とはいえ、難しい曲を作るつもりはなくて、多くの人に楽しんでもらうにはシンプルであるべきなので、いかにメロディを楽しんでもらうかに集中して作っていきました」
(tax) 「テーマがあることによって、逆に冒険できたんですよ。“TIME”という括りがあることで、サウンド面ではより自由にできて、楽しかったです」
(DICK) テーマを決めてから曲を作るとなるとハードルが高くなりそうだが、彼らはそうした状況を楽しんで、選択肢の幅を広げていったようだ。新しい試みもたくさん行なわれている。
「テーマをいかに使うかは挑戦でしたね。曲によって、いろいろと考えました。〈Together〉はMONKEY MAJIKのテーマ曲を作ろうというきっかけで、バンドのことを考えて作ろうと思って制作したんです。いつでもどこでもハッピーになれるような曲になりましたね」 (Blaise)
「前作とまったく違う流れになったのは〈goin' places〉ですね。作品のリリース前にライヴをやりながら作っていったんですが、最近、そういうやり方をしてなかったので新鮮だったし、楽しかったですね」 (DICK)
サウンドもじつに多彩。しかし、どの曲も人間味あふれるという点では共通している。「ただ、ありがとう」や「美しい想い出」は、彼らの個性が顕著に出ている作品だろう。
「〈ただ、ありがとう〉はいつも通りでメロディが先に出てきたんですが、その瞬間にどういう曲にしたいのかがわかってたんですよ。この曲を通して、誰かにありがとうを伝えられたらいいなって。最後にできたんだけど、アルバムの一番目の曲になった。フレッシュな曲ができましたね」 (Maynard)
「〈美しい想い出〉のサビはMaynardが決めていたんですけど、彼に歌ってもらいながら、彼と僕のイメージの距離を縮めていくかたちで制作していきました。新しいチャレンジができたし、この経験はこれからの制作にも繋がると思います」 (tax)
この『TIME』は、彼らの可能性の大きさを示した作品でもあるだろう。こんな言葉が力強く響いてきた。
「再確認したのは何でもできるなってことですね。テーマを決めてやったら、最高傑作になったし、よりMONKEY MAJIKらしいアルバムになった。チャレンジしていくことは正しいなと思いましたね。これからも変わらず、新鮮な気持ちで活動をしていきたいです」 (Maynard)
取材・文/長谷川 誠(2008年7月)