ピアノYouTuberみやけん 待望の3rdアルバム!

みやけん   2023/03/08掲載
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 チャンネル登録数22.3万(2023年2月末現在)の大人気“ストリート系”YouTuberピアニストみやけん、早くも待望のニュー・アルバムが登場。今回も昭和・平成・令和の名曲が満載な“俺の”ヒットパレード第3弾のインタビューをお送りします。
――オープニング・ナンバーの「朝のパレード」(書き下ろし曲)からまさに「さあさあ、これからヒットパレードが始まるよ〜」というかんじのワクワクする曲で心を掴まれます!でもノリのいい曲だけでなく、ホロっと泣かせるような美しい曲もいっぱい。幅広い時代から選曲されているのも素敵です。
 「今回は自分がストリートピアノで弾いてバズったものを中心に集めました。人気曲でも世代によっては“初めて聴いた”という反応もあり、そういう方が“原曲を聴いてみたくなりました”というパターンも多いので嬉しいです」
――CMでもお馴染み「ワタリドリ」([Alexandros])の疾走感も気持ちいいけれど、みやけんさんといえば外せないのはOfficial髭男dismのカヴァーです。今回の「ミックスナッツ」は“師匠”ともいうべきジェイコブ・コーラーさんとの3回目の連弾でシビれました。
 「ジェイコブさんもカヴァー動画をあげていたし、原曲からして4ビートのウォーキングベースなジャズ要素が強い曲なので、ジェイコブさんと連弾したら楽しいだろうなって思ってたら、彼のほうから〈ミックスナッツ〉はどう?って誘ってくれたんです。ホントに録音の時はアドリブの応酬になって、その場でどんどん変化していくのが最高でした。耳を凝らせば、足のキック音とかも入ってるかも(笑)」
みやけん
――同じくレーベル・メイトの朝香“あさぴ”智子さんとの連弾による「悪魔の子」(ヒグチアイ)もまた、違う意味の丁々発止です!
 「トロンボーン奏者でもある自分と元管楽器奏者だった彼女とはお互いに大いに通じ合う部分があって、連弾とかするとべつに“せーの”で始めなくても“なんであそこ〈勝手に〉ぴったり合ったんだろうね?”ってあとでびっくりすることがよくあります。今回も2人とも言葉にしなくても、原曲が持つオーケストレーションの素晴らしさをなんとかピアノの中に落とし込もうっていうのが共通認識としてしっかりありました」
――そして“髭男”とくれば、King Gnu も外せませんね。「三文小説」はYouTubeのヤマハホールでの演奏も圧巻でした。
 「King Gnuの曲は歌うのも難易度が高いけれど、ピアノも転調がいっぱいで難しいんです(笑)。あと、ここは跳ねるけどここは跳ねない、みたいな独特のリズム感覚があって、曲の構成もミステリアス。日本テレビ系ドラマ『35歳の少女』の主題歌である〈三文小説〉は冒頭がオーケストラのチューニング音みたいで面白くて、女性ヴォーカル並みの高音も美しいと思いました。ダイナミクスの差が大きく最後は静かに消えていく曲なので、よりメロディ・ラインを聴かせられるように集中して演奏しました」
――ドラマ主題歌といえばMISIAが歌った「アイノカタチ」(TBS系ドラマ『義母と娘のブルース』)や平原綾香の「明日」(フジテレビ系『優しい時間』)も印象的。どちらも歌詞が伝わってくるような演奏でした。
 「〈アイノカタチ〉は『TEPPEN』の決勝戦でも弾いた想い出の曲で“あのね 大好きだよ”の部分がキュートですよね。何回も“愛”を告白されているようなラブにあふれた曲です。そして〈明日〉はドラマも大好きで学生時代に涙を浮かべながら観ていました。曲を書いた故アンドレ・ギャニオンさんの大ファンでもあるし、最初は暗いトーンで始まるけど最後には“明日”に希望を繋げて終わるところも感動的で、歌詞を思い浮かべながら弾きました」
――歌詞といえば、多くの歌手によってカヴァーされている中島みゆきの「時代」もメッセージ性が強い名曲です。
 「もともと平成から令和に時代が移る際に作成した動画として聴いていただいていたら、コロナ禍での応援歌としても人気を呼ぶようになって。“そんな時代もあったね、あんな時代もあったねって、いつか笑って話す日が早く来ますように”……という内容のコメントもたくさんいただいてうれしかったです」
――あと、意外だったのはモーニング娘。の「I WISH」。こんないい曲だったんだという発見がありました。
 「小学生の頃いっぱい聴いていた曲ですが、これもコロナ禍の最初の頃にストリートピアノで弾いたらバズって、熱いコメントの数々が寄せられました。“ひとりぼっちで淋しい”という歌詞から元気いっぱいに“人生ってすばらしい”って歌い上げる後半に変わるところが、皆さんの心を掴んだみたいです」
――ブラックビスケッツの「Timing〜タイミング〜」も 「I WISH」と同じ平成が生んだミリオンヒットですが、昨年からカヴァー版がTikTok上で流行して、これがブラックビスケッツ20年ぶりの復活のきっかけになりました。
 「いろんな音が盛り込まれていて再現に苦労しましたが、リアル世代からTikTok世代まで幅広い年代に届けたくて頑張った曲です」
――平成といえば「硝子の少年」もKinKi Kidsのデビュー25周年だった昨年、テレビを賑わせていましたね。
「TVで歌っているのを拝見したら、むしろ今のお2人の歌唱がカッコよくて、いい歳のとり方してるなあと思いましたよね。そしてあらためて色褪せない永遠の名曲だと思ったし、やっぱり山下達郎さんって凄いと思いました」
――そして今回のアルバムもメドレーが素晴らしいです。「松田聖子・呉田軽穂(松任谷由実)メドレー」では「瞳はダイアモンド」で歌唱部分ではない美しい旋律も大切にカヴァーされていたし、「Rock'n Rouge」は転調具合やコード進行が見事。そして「赤いスイトピー」を聴いたら、当時の小学6年生〜中学1年生になる春休みの自分に戻ったような、甘くて淡い気分に浸ってしまいました(笑)。
 「大好きなユーミンが昨年40周年を迎えたこともあり、松田聖子さんに提供したクオリティの高い楽曲をメドレーで弾いてみようと思ったんです。3つとも全然タイプの違う曲ですが原曲のキーにこだわって繋げてみました。やはり、コメントなどに見られるリアル世代の“濃い”反応が嬉しかったです」
みやけん
――毎回、1作品に絞ってとりあげるジブリ作品のメドレー。3枚目は待望の「天空の城ラピュタメドレー」ですね。
 「久石譲さんをリスペクトしているので、1作品1メドレーって決めています。中でも『天空の城ラピュタ』は特別な作品で、恐らく〈君をのせて〉が生まれて初めて発表会の人前で演奏した曲かも……。メドレーでも映画と同じようにあの1分くらいある前奏部分から弾きたくて」
――「レ・ミゼラブル メドレー」も名曲の宝庫です。
 「2012年公開のミュージカル映画版は今まででいちばん泣いた映画化もしれません。ここはヴァイオリン〜ここはクラリネットって、細かいオーケストラのフレーズを想像しながら“歌心”の感じられるピアノ演奏を目指しました。さすがに〈Do You Hear the People Sing?(民衆の歌)〉は手が足りなくて、最初は小さく弾いて徐々に広げていく手法で壮大なサウンドを再現しました。本当は出てくるナンバーのすべてをメドレーにしたかったぐらいなんです!」
――ラストを飾る「ディズニー・ファンティリュージョン!」も想い入れが強そうですね(笑)。
 「実施された期間が短くて、今もディズニー・ファンの間では再演が熱望されている“伝説”のパレードなんですよね。吹奏楽では人気の楽曲で、自分も高校時代に演奏しました。2つの異なる楽曲のメロディが普通に重なり合っていたりとなかなか複雑な構造ですが、ここでもオーケストラでトロンボーン奏者として吹いている経験をピアノにも活かすことができました」
――今年はライヴの予定も多いですね。
 「本当に多すぎかもというぐらい予定が入ってます(笑)。でもYouTubeのチャンネルを応援してくれたリスナーに、生の演奏をお届けしたいと思ってがんばります。会場の皆さん全員と握手するような気持ちでプレイしますのでご期待ください!」


取材・文/東端哲也
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