約8年ぶりに届けられたアルバム
『J-POP』から、わずか半年にして
電気グルーヴが早くもニュー・アルバム
『YELLOW』を完成!! 思えば3月に行なわれた『J-POP』インタビューの時点で、今作のリリースを声高々に発表していた2人ではあったのだが、それにしても、しかし……。狂気と狂喜に満ち溢れた問題作『YELLOW』について
石野卓球と
ピエール瀧に話を訊いた。
8年2ヵ月振り、21世紀最初の新作となった話題作『J-POP』から、まだ半年しか経っていない。しかし筆者の手元には、完成された電気グルーヴの最新フル・アルバム『YELLOW』がすでにある。『J-POP』のインタビューの際、たしかに「秋にまた出すよ」と言っていた2人だったが、まさか予定通り本当にリリースするとは。ちょっと驚いてしまった。
「今年1年は、お互いに電気グルーヴに集中する濃い年にしようと、何となく決めてはいたんですよ。最初、『J-POP』に入らなかった曲をまとめれば、アルバム1枚くらいできるだろう、なんて思っていたのに、蓋を開けてみたら全然残ってなくて。だったら新しく作ろうということで、どんどん新曲を作りはじめたんです」 (石野卓球)
『J-POP』と制作期間が近いゆえに、当然共通する部分は多い。ただ前作との決定的な違いは、“責任感”の有無だと卓球は語る。
「『J-POP』は8年振りという責任感があったけど、『YELLOW』にはまったくない。作っている最中も、自分たちが一体どこに向かって、何を作っているのか、さっぱりわからなかった(笑)。
『VOXXX』もある意味そういうアルバムだったんだけど、あの時は“長いトンネルにいる感じ”で。対して『YELLOW』は、長い夏休みを遊んでいたような感じかな」
(卓球) 「でも、これが俺たちの理想形だったんですよ。今まではどこかでパッケージというのを意識して、まとまりを考えて作っていて。でも、この『YELLOW』にはそういう要素がまったくない。“ナニこれ?”って感じ(笑)」
(ピエール瀧) 作為的な要素が皆無な分、電器グルーヴの直接的な表現力が最もダイレクトに伝わる、恐るべき作品。それが『YELLOW』である。
「パン!と爆発的にできたものでさえ、コアには真理のようなものが含まれていると思う。今までの電気はそれを翻訳するようなアルバム制作だったけど、今回はそれすらもない。〈どんだけ the ジャイアント〉を聴いて『命を救われました』なんて人、絶対にいないでしょ(笑)」 (瀧)
それはある意味、『VOXXX』で経験したと語ってくれた狂気的なレコーディングの長い後遺症とも言えるのではないだろうか?
「いや、『YELLOW』はむしろ『VOXXX』と似ている部分がある。過去の電気グルーヴの作品でジャケが“黄色” いアルバムはヤバイというジンクスもあるしね(笑)。アルバムが8割方できたところで、足りないものは?と考えたら、それが天久(聖一)と犬の声だったんです。やっぱり“黄色”シリーズには必要だと思ったんですよね。だから、『ちょっと犬と天久つれて来い!』って(笑)」 (卓球)
そんな本作の位置づけを、あえて言語化するならば? との問いに、卓球はこう答えてくれた。
「『J-POP』が夏休みの漢字書き取りや計算ドリルだとすると、『YELLOW』は自由研究。極端な言い方をすれば、ただ遊んでいたら、できちゃったって感じで。だから、シリアスな要素が出るわけもなかった。ただ、手を抜いたわけではないんですよ。今回間違いなく言えることは、客観的に聴いていて、今までで一番楽しいアルバムだということですね」 (卓球)
取材・文/冨田明宏(2008年9月)
【電気グルーヴ ツアー2008“叫び始まり 爆発終わり”】
日時:2008年11月2日(日)
会場:愛知・Zepp Nagoya
開場:18:00 開演:19:00
チケット¥6,300
お問い合わせ:ジェイルハウス 052-936-6041
日時:2008年11月4日(火)
会場:大阪・なんばHatch
開場:18:00 開演:19:00
チケット¥6,300
お問い合わせ:キョードーチケットセンター 06-7732-8888
日時:2008年11月21日(金)、22日(土)
会場:東京・SHIBUYA-AX
開場:18:00 開演:19:00
チケット¥6,300
お問い合わせ:ゼクシード 03-5778-7040