森三中とのコラボ、“
MICA 3 CHU”名義による
「I DON’T KNOW」も大きな話題を呼んだ
中島美嘉からニュー・シングル
「ORION」が届けられた。TBS系金曜ドラマ『流星の絆』挿入歌としてもOAされているタイトル曲は、凛とした彼女の歌声が映えるウインター・バラードだ。そして11月26日には1年8ヶ月ぶりとなる待望のニュー・アルバム『VOICE』が到着! アップリフティングな楽曲が多くを占める今作には、「心身ともに充実している」という今の彼女の好調ぶりが見事に反映されることとなった。
「今回のアルバムは好きです。よく聴きますね。いままでは恥ずかしいというのもあったし、つい粗探しをしてしまう……今回ももちろんそれはあるんですけど、“この時は良い声で歌えたなあ”って、いい想い出をたくさん思い返せるアルバムですね」
ニュー・アルバムを完成させ、中島美嘉はいつにも増してにこやかに語る。1年8か月ぶりとなるアルバムのタイトルは『VOICE』。シンガーとしての生命線、いや、そのものズバリといえる言葉を堂々と掲げた。
「今年はとにかく自分のために時間を作ろうと思って、ヴォイス・トレーニングをしたり、身体を鍛えたり、とにかく自分磨きをしようって。仕事も詰め込むときは詰め込んで、休むときは休むっていうサイクルを繰り返していたんですね。ヴォイス・トレーニングをして声を大事にするっていうことと、もともと心の声というか“直感”を信じて生きてきたもので、そういう意味での“VOICE”でもあるんです」
「いつもよりテンション高いですよね。これまでのアルバムはバラードとかミディアムが多かったんですけど、今回はアップ・チューンがすごく多くて。今年の初め頃に“なんかアップの気分なんだよね”って言ったのを覚えてるんですよね。だから自然とそうなったのかな。スタッフとの信頼関係もどんどん強くなってるし、そういう部分が出ているとも思うし、やっぱり今の自分の精神状態がとってもいいんじゃないですかね」
彼女の作品の醍醐味は、毎回趣向を凝らしたさまざまな作家陣とのコラボレーションもさることながら、中島美嘉という“いち女性”を題材にしたドキュメンタリー・フィルムを観ているような“人間くささ”にこそあると思う。そういう意味で『VOICE』に刻まれた“今の気分”はいつも以上に興味深いものであり、そこから滲み出る彼女の“磨かれた感性”には、いつも以上に息を呑まされる。
「感性を磨こうというよりかは、十代の頃から、気付いたら直感で生きていて(笑)、それが普通だと思っていたから。自分の直感を信じてやっていたら、それが普通ではないっていうことをまわりから教えられた感じなんです」
『VOICE』を作り上げたことで、彼女のドキュメント、その続きからますます目が離せなくなるだろう。
「しばらくは、自分が“これでいい”と思うまで自分磨きをしようかと思っています。ヴォイス・トレーニングに通ったり、身体鍛えて持久力をつけたり……時間と努力を惜しまなければ、絶対自分に返ってくるっていうのを最近ようやくわかり始めてきたんで、単純に“がんばろう!”って思えるんですよ。十代の頃はなにもしなくても体力があったし、自分がそういうことをしないとダメな人間っていうのをわかってなかったんですよね。やっぱり、いい三十代を迎えるために、二十代のうちに鍛えて、その土台をしっかり作っていくのがいいかなって」
日本を代表する、とあるスーパースターが奇しくも20代の頃に彼女と同じ言葉を残していた(驚)。
取材・文/久保田泰平(2008年10月)