リアルタイムでその音を体験したヘッズはもちろん、残された作品から存在を知った後追い世代まで、その影響力は計り知れない“伝説”のHIPHOPグループ、
MICROPHONE PAGER。安易なリユニオンを避け、ソロとして研鑽を積んできた
MURO、
TWIGYの2トップにより復活! 現在の彼ら、そしてシーンの底力を見せつけるリアル・ジャパニーズ・ヒップホップが体感できるニュー・アルバム
『王道楽土』を発表した。
90年代前半、日本のヒップホップ・シーンの黎明期に登場したMICROPHONE PAGER。彼らの鮮烈な言葉とサウンドは、その後の日本語ラップの流れを一気に変えてしまうほど大きな影響を与えた。95年のオリジナル・アルバム
『DON'T TURN OFF YOUR LIGHT』は、今やヒップホップ・ヘッズのバイブルである。あれから13年、ソロ・キャリアを積んできたMUROとTWIGYが、ついにMICROPHONE PAGERを復活させ、ニュー・アルバム『王道楽土』をドロップ! 待望の新作は、かつてのハードで鋭いPAGERらしさはもちろん、進化したPAGERを思う存分聴かせてくれる作品となった。
「ここ数年2人で話す機会が増えて、お互いのテンションがリンクして、PAGERをやるなら今かなって思ったんです。TWIGYは日本人で1番好きなMCだし、トラックは時間かけて作りました。絶対海外に持っていこうと思ってたビートや、TWIGYのこと考えてのビートもあるし、全て気持ちよく聴けるものになったなって。リリックは、ビートを何度も聴いて絵面を浮かべてっていうのが昔のやり方だったので、オレはそれで作りました。それにTWIGYのヴォーカル・ディレクションがすごい。前のPAGERではなかった、コーラスも楽しめると思う」 (MURO)
「今回見せたかったのは、ぶれてないところ。PAGERがやってたライムと音、それを進化させて見せられるのが嬉しい。リリックは、オレは全体を通して日本語ラップのことを言いたかった。ラップのあり方をスルーして何も触れずに、ヒップホップはなんでもありじゃんってやってる人が多いから、その“なんでもあり”っていうのを説明した感じ。それがなかったらこういう風にはできないじゃんっていうのも提示したつもりだし。そこでの重みが、同じ言葉を使うヤツらとは違うと思う。やっぱりラップって生き様だから。それを16小節に収めようとオレらはがんばってるんだよね」 (TWIGY)
「若いヤツらもPAGERスタイルを継承してきた人間だからね。オレのライミングを使ってる人もいるけど、それも嫌みじゃなくオレの代わりに言ってるだけ。それが心地よく聴こえるんだ」 (TWIGY)
「今までに例のないアルバムになったよね。トリビュートっぽい感じもあるし。このフィーチャリングの形態からも、PAGERがグループ名じゃなくムーヴメントだったっていうのが伝わればいいな」 (MURO)
タイトルの『王道楽土』には「政治もなくピュアに音楽だけをやれる環境を、1回壊して作ろう」(MURO)という思いが込められている。伝説から解き放たれたMICROPHONE PAGERの、タフでリアルなサウンドを体感しない手はないぞ!
「全体通してストーリーを感じでほしいですね。自分でも最近1枚通して聴けるラップアルバムがなかったんで、ここでまた革命が起きてくれたらうれしいなと」 (MURO)
「目まぐるしいくらいの感じで聴いてほしい。で、〈DON&GUN〉で落ち着いて(笑)」 (TWIGY)
取材・文/土屋恵介(2009年1月)