昨年は、初の代々木第一体育館2daysをソールド・アウトさせ、富士急ハイランドコニファーフォレストでも野外ライヴを行ない、その後も新宿駅東口でシークレット・ライヴを敢行し、その人気と実力を世間にアピールしたヴィジュアル系バンド、
the GazettE。そんな彼らが3月25日にニュー・シングル
「DISTRESS AND COMA」をリリース! そこで、メンバーのれいた(b)、戒(ds)の2人に新作の話を訊いた。
2008年におけるthe GazettEの躍進ぶりには、とにかく目を見張るものがあった。4月には大阪城ホール、代々木体育館(2days)でのライヴをソールド・アウトさせ、8月には富士急ハイランドコニファーフォレストでのセルフ・イベントが大成功。さらにシングル
「紅蓮」 「LEECH」がそれぞれチャート3位、2位を記録するなど、CDセールスにおいても文句ナシ。このバンドが“ビジュアル系”という枠を超え、日本の音楽シーンの中心的な存在になっていることは、間違いないだろう。その人気ぶりを裏付けているのは決して、強烈なインパクトを放つビジュアルだけではない。2000年代のモダン・へヴィ・ロックの流れをしっかりと受け継つぎながら、さらなるビルド・アップを果たしたバンド・サウンド、そして、ろくでもない閉鎖感に満ちた現在を射抜く、切実でシリアスな世界観こそが彼らの魅力であり、その存在を急速に拡大している最大の要因なのだ。
そのことは最新シングル「DISTRESS AND COMA」――超ド級のへヴィネスをたたえたサウンド・メイクと震えるほどに繊細なメロディが一つになったミディアム・チューン――からも強く感じてもらえるはずだ。
「これはルキの曲なんですけど(彼らはメンバー全員が作曲を手掛ける)、デモの段階からへヴィな感じと繊細さが入り混じっていて。そこからアレンジを固めていったんですけど、より作り込んだサウンドが表現できたと思いますね。ピッキングのニュアンスだったり録り方だったり、可能性はまだまだ無限にあるので」 (れいた/b)
「かなりタイトなスケジュールだったんですけど、できる限りのことはできたかな、と。時間を削るのはそこ(制作、レコーディング)じゃねえだろう、っていうのはあるけど、ストイックにやっていきたいとは思ってます」 (戒/ds)
2曲目の「HEADACHE MAN」はライヴでの狂乱ぶりをイメージさせるアップ・チューン。
「ライヴで暴れたいっていうファンも多いし、俺らもやってて楽しいですからね、こういう曲は。まさに非日常というか――ドラムは大変かもしれないけど、彼(戒)なら大丈夫(笑)」 (れいた)
そして「バンドとしての世界観が確立したからこそ、こういう曲もやれるんだと思う」 (れいた)というアコースティック・テイストの「WITHOUT A TRACE」には、ファンに対する真摯な思いが反映されているという。
「“曲に救われてます”って言うファンの子も多いんだけど、実際には救えなかった子もいるだろうし、今も悩んでる子もいる。がんばれ、とか、明日があるなんて、口だけなら何とでも言えるじゃないですか。そうじゃなくて、自分たちに何ができるのか? っていいうのを真剣に考えなくちゃいけないんですよね」 (戒)
「ファンの子たちからのメールは毎日読んでます。“生意気なバンドだ”って感じてる人も多いと思うんだけど、ファンのことはいつも考えてます」 (れいた)
3月には幕張メッセ国際展示場でのイベントを敢行。結成7周年を越え、the GazettEの勢いはさらに加速していきそうだ。
「最初のライヴの動員は18人だったんです。いまは1万人を越えるようになって……なんだろうね?」 (れいた)
「よくやってきた、ってことじゃない? これからもスタイルを貫いて、ファンを裏切らない活動を続けていきます」 (戒)
取材・文/森 朋之(2009年2月)