アメリカと日本という二つの異なる文化から影響を受けた独自のミクスチャー・センスで注目を集めるLA在住のシンガー・ソングライター、
井上ジョー。彼が1stアルバム
『ME! ME! ME!』を完成させた。作詞作曲はもちろん、全楽器の演奏からミックスまでをも自らが手掛けたという今作はシンプルかつ力強い作品タイトルそのままに、井上ジョーというアーティストの持つカラフルな個性が全開になった充実の一枚に仕上がっている。
ヴォーカルはもちろんのこと、作詞作曲、ギター、ベース、ドラム、シンセ類、さらにはミックス作業もすべて一人でこなしてしまう井上ジョー。LAで生まれ育ち(現在も在住)、日本で音楽活動を行なう彼が、ついに1stアルバム『ME! ME! ME!』を完成させた。
「僕はいろんな音楽が好きなんです。しかも、日替わりくらいの勢いで興味も変わるんですよ(笑)。基本的に自分がいいと思う音楽に影響を受けるので、その感覚が曲作りのときにすごく反映されますね。音楽は自由なものだし、決まりごとなく書きたいことを曲にしていく感じです。アルバムにはいろんなジャンルの曲が入ってるけど、それは、“井上ジョーの振り幅を知ってほしい”という思いと、リスナーを飽きさせたくないって気持ちが込められているから。ひとつのジャンルに絞ってアルバムを作ることもできたけど、たとえば全曲メロコアだったら、自分も飽きるし、メロコア好きの人以外には絶対、手に取ってもらえない。それよりも、もっと多くの人に自分の音楽を聴いてほしいという思いが強いんです」
彼が語る通り、今作は曲が進むごとに違ったサウンドを楽しめるカラフルな作品だ。身近なものの大切さと前向きな思いが綴られた爽快なロック・チューン「CLOSER」、ラップで自己紹介していくミクスチャー・ナンバー「零時 〜TWENTY FOUR〜」、切ないメロディが響くアコースティックのゆったりサーフ・チューン「幻」、ご機嫌なダンス・ナンバー「PARTY NIGHT 〜踊り足りNight〜」、ラウドなギターとシャウトが炸裂するヘヴィ・ロックの「INTO OBLIVION」、疾走感たっぷりなメロディック・パンク「HANNAH」、アメリカの高校時代の思い出を歌ったピアノ・ロック調の「AFTERGLOW」などなど。バラエティに富んだ楽曲の中で、一貫しているのはキャッチーなメロディ。その上に乗る彼のヴォーカルが、曲によって違うスタイルを採っているのも注目ポイントだ。
「曲にとって一番ふさわしい声で歌ってるだけなんですよ。曲によってギターの音色を変えるような感じで、自然と違った声が出るんです」
そして、英語と日本語をミックスした歌詞は、諦めないポジティヴさを感じさせるものが多い。
「歌詞は、もちろん聴き手に伝えたいメッセージでもあるけど、自分が希望に向かっていく気持ちでもあるんです。あと、英語にするか日本語にするかは、メロディのハマりのよさで決めますね。歌詞でインスパイアされるものは、日常生活の中で起きることすべて。テレビで見たフレーズ、雑誌、街中の人の会話とか。特にマンガは、『ドラゴンボール』『ドラえもん』『行け!稲中卓球部』から学ぶことがたくさんありました。ふりがなのおかげで漢字も読めるようになったし、難しい日本語も勉強できましたね。変な表現も覚えたし(笑)」
さらにアルバム全体から感じるのは、カラッとした抜けのよさだ。
「カリフォルニア的な感じは、どの曲にも入ってると思います。そこは自分に染み込んでるアイデンティティなので」
アメリカと日本のカルチャーをフラットに吸収した井上ジョーが、独自の視点で昇華したサウンドを聴かせる『ME! ME! ME!』。本作はジャンルに関係なく好きなものならなんでも聴くという、いわゆるiPod世代特有の感覚を感じさせる作品だ。
「たぶん、こういうアルバムを出してる人はいないと思う。すべて一人で作っていて、バンドだとなかなか踏み込めないところまで踏み込めるので、ここまでいろんな曲を入れられたんだと思う。そういう意味でも、独特で唯一無二な作品になったと思います。音楽を聴こうと思うけど、何から聴いていいのか分からないっていう音楽初心者の人にもピッタリなアルバムだと思う。“一人iPod”みたいな作品なので(笑)、オムニバス感覚で聴いてほしいですね」
取材・文/土屋恵介(2009年4月)
初のショーケース・ライヴ開催決定!
井上ジョー、初のショーケース・ライヴ〈JOECASE #01〉が7月21(火)に開催決定! ライヴはオフィシャル・サイトへの応募抽選による完全招待制(150組300名)。1stアルバム『ME! ME! ME!』の世界がライヴでどのように再構築されるのか乞うご期待!
気になるアナタは井上ジョーオフィシャル・サイト(
http://www.inouejoe.com/)を速攻でチェックすべし!