1月に1stアルバム
『ふりぃ』をリリース。その表題曲の大きなインパクトによって一気に存在を広めていった
阿部真央。そんな彼女がニュー・シングル
「伝えたいこと/I wanna see you」を5月27日にリリース! 本作は、フジテレビ系「Hey!Hey!Hey!」の6、7月度エンディング・テーマとなる「伝えたいこと」、「カルピスウォーター」のCM曲「I wanna see you」、ホーユー「ビューティーン」のCM曲「キレイな唄」といったメディア露出も多い3曲が収録。それぞれの楽曲が異なる個性を放つ本作について、彼女に話を訊いた。
今年1月にアルバム『ふりぃ』で鮮烈なデビューを飾った阿部真央。タイトル・トラックの「ふりぃ」で見せたパワフルで圧倒的な存在感を持つ歌声は、“泣き歌ブーム”に沸く昨今のJ-POPシーンを一蹴するかのような大きな衝撃を与えた。作詞作曲もこなす19歳の大器。しかし彼女のシンガー・ソングライターとしての道は、意外にも挫折から始まっていたという。
「なんとか歌手になりたくて、中学生になってからオーディションをいっぱい受けたんです。カラオケで歌ったデモ・テープを送って。でも全部落ちてしまい、中学3年の時に一度諦めてしまったんです、音楽の道を。たぶん向いてないんだなと思って」
しばらくは勉強に専念するもそれでも音楽の道を諦めきれず、高校生でギターを始めた彼女は、路上で
アヴリル・ラヴィーンのカヴァーなどを歌うようになる。その練習中にポンとできた初のオリジナル曲で、地元大分の小さな大会と、“YAMAHA TEENS' MUSIC FESTIVAL 2006”の大分大会に出場。彼女はどちらも優勝し、夢の歌手デビューを手中に収めている。
「ビックリでしたよ。だってそれまでずっと落ちてたから(笑)。だからこそ、ちゃんと自分のオリジナル曲を作ろうと思ったんです。少ない回数だけど、私がギターを弾いて自分の曲を歌ったから注目してもらえた。だったらもっといっぱい曲を作ってもっと上手くなろうと思いました。その頃から曲作りを本格的に始めました。だからアルバムでデビューできたのは本当に嬉しかったんです」
そんな彼女が5月27日に満を持して放つ1stシングルは「伝えたいこと/I wanna see you」というダブルAサイド・シングルで、アルバム『ふりぃ』からのリカット・ナンバー「キレイな唄」も収録。怒りにも似た激情で表現された「伝えたいこと」、甘酸っぱい恋愛ソングの「I wanna see you」、そっと背中を押してくれるような優しさを感じる「キレイな唄」とシングルながらもバラエティに富んだ構成でまとまっている。そんな曲ごとにイメージをがらりと変えることを楽しめる自己プロデュース能力もあれば、シンガーとしての才能も持つ彼女は、終始一貫して「阿部真央って存在は曲の後ろ」と言い放つ。表現したいのは“阿部真央”ではなく、あくまでも“曲そのもの”だと。
「曲が生まれるのは、私と、私と関わる誰かの間で何らかの感情が生じたとき。〈伝えたいこと〉は人の目を見て自分の気持ちを言えなかった自分に対する感情を歌っているし、〈I wanna see you〉は実際に好きな人に会いたくて会いに行ったときの唱だし。実は大衆にというより、すごく具体的に個人に届けたい感情を歌っているんです。だから、引き立たせたいのは阿部真央って存在よりも、私の感情の方。なので、みなさんの気持ちと、曲に込めた私の想いがリンクしたときにぜひ聴いてほしい。曲単位で好きになってもらって、自分に合ったカラーの曲を選んで聴いてもらえたら嬉しいですね」
リアリティのある感情から生まれた言葉だからこそ、彼女の歌は表面的ではない強さを持つ。飾らないストレートな感情にあなたもリンクしてみてはいかがでしょう?
取材・文/江藤麻由(2009年4月)