ロックとファンクの最高沸点“Funk-a-lismo!”を貫くFUNKY4、
SCOOBIE DOがニュー・アルバム
『SPARKLE』を完成! 3リズムからなるバンド・サウンドの可能性を徹底的に追求した今作で彼らが到達した新たな境地とは? リーダー&ギタリストのマツキタイジロウと、ヴォーカリスト、コヤマシュウに話を訊いた。
SCOOBIE DOの最新作『SPARKLE』を聴いてまず思ったこと──“うわなにこれ〈ニュー〉だ”! それまでのポップスからどんどんはみ出して音もデカくなっていく60年代後半〜70年代超初期のロック音楽に“ニュー・ロック”という名前をつけた日本のレコード会社の洋楽担当者も、こんな気持ちだったのではないだろうか。いまのスクービー、なんかハミ出してる!
「今は闇雲に黒いグルーヴを求めていないんです。それはルーツとして確実にあるし。ウチらはロック・バンドなんで、もっと“ロック・バンド然”とした出し方──ギターの世界観で持っていくのでぜんぜんOKで、ソウルっぽくするための道具、たとえばホーンやオルガンを入れることで作られるような黒さはいらない、と思ったんですね」と、リーダー&ギタリストのマツキタイジロウ。これまでのスクービーのCDで聴ける彼のギターは、洗練されたコード・ヴォイシングも特徴的な、さまざまなニュアンスに富んだものだったが、この『SPARKLE』では、そのニュアンスが消えてもいいからある種の熱を表現しよう、という意識が聴きとれる。ここいらへんが、実にニュー! ただし、それは未熟ゆえのラフさを意味するのではない。
「今回、特に意識したのはアレンジと演奏で、(ギター、ベース、ドラムスの)3リズムでどこまで聴かせるか、どこまで研ぎすませていくか、というのが課題でした。シャープに削ぎ落としていくことが自分たちにとって新しいことだな、と去年くらいから思っていて、まずはそこを突き詰めたかったんです」(マツキ)
これまで、リーダーであるマツキの意識が先走るあまりか、音源としてはやや物足りない場所に着地させざるをえなかったような曲が、正直、やや見受けられたりも(その後、ライヴ演奏ではきちんと着地させていたあたり、流石だな、と)。一方、この『SPARKLE』においては、メンバーの力量を信頼して緻密に構成された楽曲と、曲のキモをしっかり掴みながら演奏を爆発させようという演奏者の熱が、高いテンションでいいバランスを保っている。ここいらへんも、実にニュー! エンジニアリングも含め、充実したスタジオ・ワークが容易に想像できるというもの。
「演り心地はすごくいいです。普段、ライヴばっかりやってるんで、やっぱりライヴで“ガーン!”と演ったときに即上がる、即伝わる、みたいなアレンジになっていくんじゃないかな。新しい曲をまず演ってみたときに、“ガン!”とやって“ワッ!”となる感じが今までより強力だな、即効性がありそうだなってまず思う」と、ヴォーカルのコヤマシュウ。彼の言う“ライヴばっかり”が嘘でないことは、彼自身のブログを見れば一目瞭然。ライヴ、ライヴ、ライヴ。土地土地のラーメン。そしてプロレス。年齢不詳の蒼さを持つ彼の歌声(マツキ曰く「黄色いソウル感。ブルーアイド/ソウルほど洗練されてなくて歌謡感がある」)もまた、普段以上のべらんめいてやんでい度で『SPARKLE』に記録されている。
「“ノリ重視!”というとチャチいんですけど、そういうモードなんじゃないかな。歌詞にはもちろん意味があるんだけど、その意味を伝えることが第一義じゃなくて、俺が歌うことで、作った人の想いと聴いた人を繋げられればいい」(コヤマ)
ライヴで培われてきた“スクービーらしさ”を濃縮還元させて斬新な味付けが施された『SPARKLE』。しっかりとしたシステム、鍛錬を積んだフォーメーション、プレイヤーの力量、それぞれが見事に合致した迷いのない美しいフットボール(メンバーの指向を考えればここはベースボールに例えるべきだが自分あんまり詳しくないんで各人で変換を)にも似て。“人はなぜサッカーを、野球を観るのか?”──“人はなぜ音楽を聴くのか?”の回答となりうる音楽的なスリルが、ここにはある。むけたー!
取材・文/山内史(2008年6月)