「弾き語りをしてるときも、いつだってグルーヴを感じてる」という本人の言葉どおり、フォーク・ソングとブラック・ミュージックという一見相反する音楽をルーツに持つ
永積。ここでは、そんな彼に多大な影響を与えたアーティストと、その作品を紹介します。
『スリラー』
マイケル・ジャクソン
卓越した歌唱力と類まれなるスター性で世界中の少年少女を魅了した
マイケル。サッカー部の練習に明け暮れていた中学時代の永積少年も、そんな彼の魅力に一瞬でハートを奪われた一人。
『スリラー』を何度もリピートしては、“無性に踊りだしたくなる、この気持ちは一体なんだろう?”と、来る日も来る日も自問自答を繰り返していたのだとか。ブラック・ミュージックの魅力に永積が目覚めることとなった記念すべき一枚。
『キャッチ・ア・ファイヤー』
ボブ・マーリィ
永積がフェイヴァリット・シンガーとして、真っ先に名前を挙げるのが“レゲエの神様”、
ボブ・マーリィ。しなやかさと力強さを兼ね揃えた彼の歌声と、独自のタイム感を重視したヴォーカリゼーションは、歌うことを本格的に意識し始めた高校時代の永積に大きなインパクトを与えるとともに、“ヴォーカリスト=譜面どおり上手く歌わなければいけない”という、それまでの固定観念を豪快にブチ壊してくれたという。
『ゼアズ・ノー・プレイス・ライク・アメリカ・トゥデイ』
カーティス・メイフィールド
ボブ・マーリィと並び永積が敬愛しているのが、ニュー・ソウルを代表するシンガー、
カーティス・メイフィールド。
今作は音数を絞った緊張感あふれるサウンドに乗せて、カーティスが貧困や差別など黒人社会が抱える問題を美しいファルセット・ヴォイスで歌い上げた一枚。カーティス直系の穏やかなソウルネスは、“今”という時代と真摯に向き合った『あいのわ』にも通奏低音としてしっかりと鳴り響いている。
『ファンカデリック』
ファンカデリック
ブラック・ミュージックの魅力にドップリはまった永積が辿り着いたのが、
ファンカデリックや
パーラメントといった、いわゆる“Pファンク一派”。直接的な影響は彼が所属していたバンド、
SUPER BUTTER DOGに譲るものの、一瞬のイマジネーションをダイレクトに反映させるかのごとき閃きに満ちあふれたファンキーなギター・プレイなど、身体の芯まで染みこんだ“Pファンク・マナー”がライヴの随所で顔を出すことも。
『氷の世界』
井上陽水
幼い頃に家族旅行の車中で聴いた
ビリーバンバンの「『いちご白書』をもう一度」で音楽に目覚めるなど、日本のフォーク・ソングをルーツに持つ永積。そんな彼がギターを弾きはじめた高校2年生の頃、練習がてら熱心にコピーしていたのが
今作のタイトル曲「氷の世界」。食卓で家族を相手に自主リサイタルを繰り広げ、歌とコード・チェンジに磨きをかけていったという微笑ましいエピソードも残されている。
『BO&GUMBO』
ボ・ガンボス
ニューオーリンズR&B、ファンク、ブルース、ロックンロールなど、さまざまなルーツ・ミュージックのエッセンスを飲み込んだ“ゴッタ煮”的サウンドを展開した
ボ・ガンボス。今作は永積が高校時代に愛聴していたという
1stアルバム。彼らの滋味豊かな音楽が腹ペコざかりだった当時の永積にもたらした恵みは想像以上に大きかったはず。
『空中キャンプ』
フィッシュマンズ
先ごろ久々に行なわれたハナレグミのワンマン・ライヴでも彼らの楽曲「WALKING IN THE RHYTHM」をカヴァーするなど、
フィッシュマンズも永積の音楽性を語る上で欠かすことのできない最重要バンドのひとつ。日常の隙間から宇宙を覗くような、フィッシュマンズのヴォーカリスト、佐藤伸治の独特な詞作センスは、日本語詞の創作に行き詰まっていた20代前半の永積に大きな“気付き”を与えてくれたという。
『ラプソディ』
RCサクセション
竹中直人が監督した映画
『サヨナラCOLOR』の同名エンディング曲をデュエットするなど、生前の
清志郎とソウル・トゥ・ソウルな関係を築いていた永積。“癒し系”や“フォーキー”といったイメージを鮮やかに打ち破った『あいのわ』と並べて紹介するならば、数ある名作の中でも、通好みなフォーク・トリオから最強のロック・バンドへと変貌を遂げつつあった
RCサクセションのエネルギッシュなライヴを生々しく収めた
今作がキブンでしょう!