Mary Joy初の女性シンガー、CHIYORIがソロ・アルバムをリリース!

CHIYORI   2009/06/25掲載
はてなブックマークに追加
 降神クルーの諸作から、JUSWANNA『BLACK BOX』や、Shing02『歪曲』と全国ツアー“歪曲巡礼”での客演、そして力溢れる自身のライヴにて、大いなる存在感をアピールしてきたCHIYORI。満を持しての1stソロ・アルバム『CHIYORI』が、Mary Joy Recordingよりリリース。レゲエ、ヒップホップに根ざしたトラックを、色鮮やかに、かつ重みのある稀有な歌声で染め上げる、光に満ちた“これから”を十分に感じさせる作品が完成した。



 90年代の盛り上がりも一時の流行として使い捨てられてしまった感のある日本のヒップホップ/R&Bシーン。メジャーのアーティストたちは相変わらず海外のトレンド・チェックに余念がなく、オートチューン使いやケミカルなエレクトロ・トラックに傾倒しているが、現行のアンダーグラウンド・ヒップホップ同様、そんな焼け野原のシーンから地に足の付いた新しい才能を持ったシンガーも育まれつつある。Shing02がその才能に注目し、彼の全国ツアー〈歪曲巡礼〉への参加を要請した女性アーティスト、CHIYORIもその一人だ。
 「幼少期から声楽とかオペラをやっていたんですけど、遊ぶのがすごい好きで、中学生の時につるんでいた友達に影響されて、ヒップホップやレゲエを聴き始めたんです。で、埼玉の高校に通っていた時に出会ったDJ、MUTA(現JUSWANNA)と曲を作り始めたんですけど、彼に誘われて、彼らの地元、熊本でクルーでのソロ活動だったり、POLY RIDDIMっていうレゲエのバンドで3年半くらい活動してたんです。いま振り返るとその頃はストイックに音楽を極めていたので、私の活動においてはすごく大切な時期だったと思います」


 熊本時代にライヴ会場でShing02に手渡した1枚のデモCD-Rがきっかけとなり、上京後はアルバム『歪曲』のレコーディングに参加する。その後、Shing02の推薦を受けてMary Joyレーベルから作品をリリースすることが決まる。その内容は、彼女がこれまで一緒に活動してきた同世代のプロデューサーたちとじっくり煮詰めてきた曲を、ファースト・アルバムとしてコレクションするというものだ。その語り口こそ柔らかいものの、中野のクラブ、Heavy Sick Zeroにて、マンスリー・イベント〈TEC ROCC〉を主催しているだけあって、彼女のヴィジョンに揺らぎはない。
 「このアルバムには、〈涙声〉や〈踊村〉のように熊本時代に土台を作っていたものを今の気持ちに置き換えて歌詞を書き直した曲や、〈SUNDAY〉のようにアルバムのために一から作った曲も入っています。ファースト・アルバムはこれまでの活動の集大成として、私のやりたいようにやらせていただきました。私、サウンド面では海外のものを中心にバンド系やクラブ・ミュージック全般、幅広く聴くんですけど、英語は分からないし、持っているソウルだったり、歌っていう意味だと、自分の中では赤裸々な感情を歌っていて昔から語り継がれている歌謡曲とヒップホップ/R&Bが近いと思ってて。だから、それを1から10まで自分の手で作りたかったんです」





 そして完成した1stアルバム『CHIYORI』は、TempleATSのYamaanとKOR-1、Down North CampのHAKUCHUMU、StillichimiyaのおみゆきCHANNEL、熊本時代の盟友、MUTAとDJ IMG、彼女が信頼を置くアーティストを多数フィーチャー。また推薦人のShing02がダブ・エンジニアとして、“歪曲”繋がりのEmi Meyerもピアニストとして、クレジットに名を連ねている。揺るぎないビートとそれらを包み込む有機的なダブ・フィール、そして、溶かし込まれた彼女のヴォーカルはメランコリーを漂わせながら、アース・コンシャスな心象風景を自由に描き出している。
 「かつて、声楽とかオペラの発声とか楽譜を見ながら歌ったりっていう基礎が今でも活きていて。私、ソウルのあるエモーショナルな音楽、背景の見える音楽であれば、どんな音楽も好きなので、それこそ、沖縄民謡だったり、ブルガリア合唱団を真似て多重録音したり、そういう積み重ねが今回の作品には反映されていると思います。ダブはリー・ペリーやキング・タビーに衝撃を受けて以来の付き合いなんですけど、ダブの要素って、他の音楽にも使われているし、音響的なことにも目を向けるようになったことで、音楽の幅がぐっと広がったんです。今回のアルバムも、歌が主役なんですけど、声をトラックに馴染ませることが重要で、そのためにかけたリヴァーヴやディレイの質感はダブの影響でしょうね」

 蒔かれた種はアンダーグラウンドに根を張ると、大切に大切に育てられ、光差す場所へ。そこで咲く花は異国の地では見ることができない濡れた美しさがある。雨にも負けず、風にも負けず、揺れる花がどんな実を付けるのか。その成長していく様はこれから先、注目しておいた方がいいだろう。



取材・文/小野田 雄(2009年6月)



CHIYORI リリース祝賀会
CHIYORI & DJ IMG presents TEC ROCC vol.21
6月25日(木)Heavy Sick ZERO
OPEN22:30〜
door/2,000yen、w.f/1,500yen(1d)
■RELEASE LIVE
CHIYORI
■GUEST LIVE
CASPERR ACE+COBA5000+ドラグマール
(Ludens Label)
DERELLA
■GUEST DJ
KOR-1 (Memory Storm)
MUTA (Juswanna)
■RESIDENT LIVE
麻暴
DOGMA
■RESIDENT DJ
RYUHEI
YOKO aka JILL
IMG
■LIVE PAINT
柿沼鬼山 (J.M.X.)
JIKI

CHIYORI INSTORE LIVE with DJ RYUHEI
guest Shing02
6月29日(月)タワーレコード新宿店7Fイベントスペース
START18:45〜
< イベント参加方法 >
●タワーレコード新宿店、渋谷店で6月24日(水)発売 「CHIYORI / CHIYORI(MJCD-050)」 をお買い上げの方に、『特典引換券』を先着で差し上げます。
●イベント当日、『特典引換券』をご持参ください。ライブ終了後に特典"CHIYORI 女神ックス"MIXED BY DJ RYUHEI CD-Rへお引換え致します。

< 注意事項 >
●カメラ、録音・録画機器の持込みはご遠慮ください。(発見次第回収させていただきますので予めご了承ください。)
●トラブルやアーティストの都合により、やむを得ず中止・内容変更になる場合がございます。 またイベント対象商品は不良品以外の返品・返金が出来ませんので、予めご了承ください。
●ライブはどなたでもご観覧いただけますが、混雑の場合入場規制をかけさせて頂く場合がございます。予めご了承下さい。
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 中国のプログレッシヴ・メタル・バンド 精神幻象(Mentism)、日本デビュー盤[インタビュー] シネマティックな115分のマインドトリップ 井出靖のリミックス・アルバム
[インタビュー] 人気ピアノYouTuberふたりによる ピアノ女子対談! 朝香智子×kiki ピアノ[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く
[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん
[インタビュー] ろう者の両親と、コーダの一人息子— 呉美保監督×吉沢亮のタッグによる “普遍的な家族の物語”[インタビュー] 田中彩子  デビュー10周年を迎え「これまでの私のベスト」な選曲のリサイタルを開催
[インタビュー] 宮本笑里  “ヴァイオリンで愛を奏でる”11年ぶりのベスト・アルバムを発表[インタビュー] YOYOKA    世界が注目する14歳のドラマーが語る、アメリカでの音楽活動と「Layfic Tone®」のヘッドフォン
[インタビュー] 松尾清憲 ソロ・デビュー40周年 めくるめくポップ・ワールド全開の新作[インタビュー] AATA  過去と現在の自分を全肯定してあげたい 10年間の集大成となる自信の一枚が完成
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015