シングル
「深愛」のオリコン・デイリー・チャート1位に始まり、日本武道館公演3デイズ、アルバム
『ULTIMATE DIAMOND』が声優史上初のウィークリー・チャート1位、そして西武ドーム公演と、数々の偉業を成し遂げてきた声優、
水樹奈々。そんな充実した1年にトドメを刺すシングル
「夢幻」がついにリリースされる。シーンのトップランナーとして常に加速を続ける彼女に話を聞いた。
――今年は例年に増して充実した1年を過ごされていますね。
水樹(以下、同)「はい!毎日がとても濃い時間で……無我夢中で走ってきたっていう感じですね。あっという間に10月が来て、“今年も残りわずかなんだ”って(笑)」
――そして、いよいよリリースされるニュー・シングル「夢幻」ですが、この楽曲を最初に聴いた印象はいかがでしたか?
「最後の最後に届いたデモのなかに入っていた曲だったんですが、聴いた瞬間にまず絵が見えたんです。アニメ『WHITE ALBUM』の後期のオープニング・テーマということで、作詞をする前に、あらかじめ最終話までの脚本を読ませていただいて、そこで私が感じた空気感や情景が一気にブワっと広がって……。 “この曲を歌いたい!!”と直感的に思いました」
――アニメ作品と水樹さんのイマジネーションが合致したサウンドだったわけですね。
「はい!前作シングル〈深愛〉のときも、ピアノのイントロを聴いた瞬間、鳥肌が立って“この曲しかない!”と思ったんです。いつも自分の直感や本能的な部分を信じて曲選びをしていますね」
――また「夢幻」は、アニメ『WHITE ALBUM』の前期オープニング・テーマだった「深愛」の歌謡曲テイストを継承しつつ、その情念を増幅させたような楽曲になりました。
「〈深愛〉と対になる曲ということで、対極なイメージにしたくて。胸の奥深くにしまっていた感情、隠していた本当の思いが膨らみすぎてどうにも止まらなくなってしまった様子を表現しました! 恋する気持ちに飲まれてしまいそうなぐらいの、激しさや、熱さを楽曲からも詞からも感じてもらいたくて」
――『WHITE ALBUM』自体が恋愛の重い部分を見せる作品ですが、それを歌詞に落とし込む作業はいかがでした?
「今回は肉体がテーマということで、かなりドロドロした内容だったんです。どこに焦点を絞るかというところで最初迷いました。方向性は決まっていたんですけど、それをどう言葉にするのか……今回はできるだけリアルに、恋に揺れ動く熱く激しい気持ちを書きたいと思っていたので、少しは大胆な表現も取り入れてみました。大人水樹を感じてもらえると思います。(笑)」
――そんな渾身のシングルがリリースされ、まだまだ突っ走っていく水樹さんですが、その先も……。
「まだまだ加速していきます(笑)。ちょうど来年でCDデビュー10周年を迎えて、そこで私にとってとても大切な作品である『魔法少女リリカルなのは』の映画が1月から公開になるのですが、そのテーマ・ソングと挿入歌が収録される21枚目のシングルのリリースが決定しました!」
――そして来年2月からは全国ツアーも決定していますよね。
「そうなんです! 今回は私の出身地、愛媛県の新居浜市に行くことが決定していて。節目の年だからこそ原点に立ち返り、また新たな気持ちでツアーに挑めたらなと思っています! 小さいころにのど自慢大会で立っていたステージでライヴができるので、すごく感慨深くて……本当に嬉しくて」
――その、常に加速していく原動力はなんなんでしょうか?
「楽しいことを常にやっていたいし、刺激を求めちゃうんです(笑)。例えばポンと休みになったら、家でのんびり……ではなく、まず東京にはいないです(笑)。とにかくじっとしてられないんですよね。いろんなことにどんどんチャレンジしていきたいです!2009年はいろんな挑戦が始まったところ。少しずつ自分がやりたいと思っていたことがカタチになってきた年で……、来年はそれをもっと広げていく年にしたいです!」
取材・文/澄川龍一(2009年10月)