戸田恵子が9月12日に50歳の誕生日を迎えることを機に、アルバム『アクトレス』を発表する。映画
『ラヂオの時間』で彼女が演じた“千本のっこ”が歌う、劇中ではタイトルのみが存在した幻のB面曲「のっこのわがままブギ」も収録されるというファンには嬉しい一枚。女優・戸田恵子が語る“33年ぶり”の新作とは――。
「本格的に歌の仕事がもう一度できるのならば、真剣勝負がしたかった。あくまでも“企画モノ”っていう感覚ではなくて、ここからスタートするんだって自分に言い聞かせながら制作をしたんです。うん。忘れ物を取りに帰ることができたかなって」
こうしみじみ語るのは、50歳の節目を記念したアルバム
『アクトレス』(9月5日発売 VICL-62477 \\3,000(税込))を発表した女優の戸田恵子である。主に舞台やテレビ、また声優として活躍する彼女ではあるが、上記のコメントに「もう一度」とか「忘れ物」という文言があるのを不思議に感じる人もいるのではないだろうか。
実は彼女、33年前に“あゆ朱美”という名で歌手としてデビューを果たしていたのだ。
「アイドル演歌路線だったんですけど、結局、泣かず飛ばずだったんですよ。その後、舞台女優に転身して現在に至るわけですが、歌は好きだったのでちょこちょこやっていたんです。ミュージカルはもちろん、コンサートも不定期に行なったり。けど、まさか本格的なアルバムが出せるなんて夢にも思いませんでした」
その気になる内容といえば、まさに女優・戸田恵子たるバラエティに富んだ作品といっていいだろう。メロディアスなR&Bに軽快なブギ、8分を超えるシャンソンにハートに染み入るバラード、そしてアイドル演歌時代のセルフ・カヴァーといった具合に、まったく違ったタイプの曲が目まぐるしく変化していく。
「今回はテイストを定めず、オモチャ箱をひっくり返したような、ひとりの女優がいろんな役を演じるというコンセプトにしたかったんです。そういう意味では理想どおりの作品が出来たし、私のために曲を手掛けてくれた人たちも力を十二分に発揮してくれました」
作家陣は、彼女を数多くの作品で起用する脚本家の
三谷幸喜や、売れない歌手時代から彼女を知る
秋元康、そしてプライベートで付き合いがありながら今回初めて楽曲制作を担当する植木豪(
PaniCrew)に、話題のシンガーソングライター
中村 中といった、彼女ならではの豪華な面々である。
「その他にも演奏者にミュージカルでお世話になっている人がいて驚いたこともあったし、私がこの10年ぐらいで携わってきた人たちと、舞台とはまた違ったカタチで音楽の仕事ができるのが嬉しくて。なにかと縁を感じてしまうアルバムになりました。私にとってはまさに皆さんに感謝の一枚ですね」
彼女が収録曲において、それぞれ異なる女性を女優 戸田恵子として“演じられた”陰に、制作現場においても人間らしい交流があったというわけだ。ゆえに、どの曲もヒューマニズム漂う温かい音楽だといえる。彼女を支え、理解した人間関係があるからこそ、本アルバムは、統一感を感じさせるスッキリとした印象に仕上がっている。
「舞台でのセリフは言った先から消えてゆくけれど、音楽のアルバム制作は後世にカタチとして残る作業。たくさんの縁ある方々に支えていただいて贅沢な思いができました」
33年の時を超えての再デビュー。彼女は、そう言うと花が咲いたように微笑んだ。
取材・文 石塚 隆(2007年8月)
戸田恵子オフィシャルブログhttp://blog.goo.ne.jp/actresskt戸田恵子Live Show『ACTRESS』チケット:全席指定7500円
未就学児童は入場不可。
演出/構成:三ツ矢雄二
出演:
戸田恵子/麻生かほ里/入絵加奈子/平澤智/斉藤直樹
東京公演:
9月11日(火)〜17日(月・祝)草月ホール
9/11(火) 19:00〜
9/12(水) 14:00〜
9/13(木) 19:00〜
9/14(金) 19:00〜
9/15(土) 14:00〜
9/16(日) 14:00〜
9/17(月) 14:00〜
問合せ先:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337
名古屋公演:
9月27日(木)・28日(金)
青少年文化センター アートピアホール
9/27(木) 19:00〜
9/28(金) 14:00〜
問合せ先:キョードー東海 052-972-7466
大阪公演:
9月29日(土)・30日(日)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
9/29(土) 19:00〜
9/30(日) 14:00〜
問合せ先:
梅田芸術劇場 06-6377-3888
キョードーチケットセンター 06-6233-8888