その可愛らしいルックスによるアイドル性と、
中田ヤスタカ(
capsule)の手がける高い音楽性を武器に、アキバ系からオシャレ音楽好きまでを虜にし、根強い人気を得ている
Perfume。彼女たちのニュー・シングル
「ポリリズム」は、音楽性がさらに深まった作品だ。公共広告機構のCMソングに起用され、彼女たちにとっても新しい方向性を拓く作品になることは間違いない。
――シングル「スウィートドーナッツ」でのデビューから4年目を迎えたわけですが、この4年はどんな時間でした?かしゆか(樫野有香)「その時その時のことに一所懸命で、それをこなすことにいっぱいいっぱいで、あっという間でしたね」
あ〜ちゃん(西脇綾香)「4年の中でストリート・ライヴもインストア・ライヴもたくさんやったし、それがあったからこそ、今のPerfumeがあると思うんですね。今では“カッコイイ系”って言ってくださる人もいるんですけど、アキバでやってた過去を消したいとは思いませんし、全部があって良い方向に進んでいってると思いますね」
――その間に、“代官山UNIT”をソールド・アウトなど、“ファンが増えてる”ってことが明確にわかることもありましたよね。のっち(大本彩乃)「嬉しいですね。でも“Perfumeの何が良かったんだろう?”って思ったりもするんですけど(笑)」
あ〜ちゃん「たぶん、私たちがやってきたことがすべてではなくて、いろんな方――たとえば木村カエラさんとか――がいろんなところで話してくれたりして、知ってもらってっていう、みなさんのおかげもあると思うんですよね」
【プレゼント】
Perfume エコバッグ/3名様
――今年は“サマーソニック”にも出演しましたね。かしゆか「う〜ん……、すごく嬉しいことなんですけど、“あれ、出たのかな?”っていうか、まだ実感が湧かないんですよ」
のっち「分かる! 出たのにまだ先のことみたいな気分」
あ〜ちゃん「あっ! ご飯食べるところもめっちゃすごくて、お寿司と天ぷらと……」
のっち「ドーナツ!」
かしゆか「お蕎麦もあったよね」
あ〜ちゃん「ジュースも外国の缶ジュースがズラ〜ってあって」
かしゆか「そういうところをすごく楽しんでました(笑)」
――(笑)……ライヴの話は?あ〜ちゃん「最初は、“Perfumeのことなんかみんな知らないし、観に来てくれても50人ぐらいだろうな”って思ってたんですよ。でも、客席を見たらめっちゃ観に来てくれていて。それでステージが終わったらみんな客席から出ていったから、“あ、私たちを観に来てくれたんだ”って」
――今までの話を総合すると、本当に人気があるってことに実感がないんですね?あ〜ちゃん「人気ないですよ!」
のっち「Perfumeがメディアにあまり出てないっていうのも実感がない要素なのかも」
――話し方とか本当に自然体だね。ちょっと驚いてます。かしゆか「たぶん、音楽を聴いたり、ジャケットを見たりするとすごく作り込まれてるので、カッコイイって見てくださってるかもしれないんですけど、実際は普通の女子大生なので。そのギャップが激しいのかな……」
――今回の新曲「ポリリズム」は公共広告機構のCMに起用されて、PerfumeもそのCMに出演していますね。かしゆか「そのCMを自分が観てるときに、同時に全国で流れてるって思えなくて。あんまり実感がないんですよね」
あ〜ちゃん「流れてるのを見ると“ハッ!(固まるポーズ)”って」
のっち「息止まるよね(笑)。でもこのCMを通してPerfumeが知ってもらえるいい機会だと思うし、PVみたいな感じの映像だから、PerfumeらしいPerfumeが観てもらえるのは嬉しいですね」
あ〜ちゃん「環境のCMに、あえてPerfumeが出演することで謎が深まって、“なんのCMだろう? あ、環境のCMなんだ”って思ってもらえれば、リサイクルにも感心が湧くかもしれないし」
――かなり奇抜な部分も目立つ曲だけど、初めて聴いた感想は?のっち「最初は〈ポリリズム〉って意味が3人とも分からなかったから、“ポリ袋とかに関係あるのかな? 中田さんもリサイクルのことを考えてるんだな”って思っちゃった(笑)」
かしゆか「曲的にも、聴いた人はプレーヤーが壊れたかと思うかもしれませんね(笑)」
あ〜ちゃん「ずっと聴いてると気持ち悪くなっちゃうかも(笑)」
のっち「だから、静かに聴くんじゃなくて、身体で感じてほしいですね」
――歌詞も、2006年リリースの「エレクトロ・ワールド」のような抽象的な歌詞から、より女の子らしい世界観に変化してますね。あ〜ちゃん「たしかに。〈リニアモーターガール〉とか意味が分かんないもんね(笑)」
かしゆか「誰も共感はできないよね(笑)。そう考えると今回のシングルのカップリング曲の〈SEVENTH HEAVEN〉とかはすごく共感できるし、女の子の曲だな〜って。といいつつ、逆に男性にも聴いてほしいですね。“女の子はこういうときにときめいてるんだよ”って。歌詞は女の子目線だけど、男性でも切なくなると思うんですよ。……しかし、中田さんはなんでこんなに女の子の気持ちを知ってるんだろ?」
あ〜ちゃん「中田さんが書いてるんじゃないんだよ、きっと。中田さんの下に、すご〜いちっちゃ〜い可愛い子がいて、その子が書いてるはず(笑)」
のっち「……っていうくらい、本当に女の子の気持ちが分かってるんですよね。こわいぐらい(笑)。今回は新しくPerfumeを知ってもらえるいい機会だと思うんですね。昔からのファンの人には“また大人になったよ”って捉えてもらえれば」
あ〜ちゃん「でも、売れたいからやってるんじゃなくて、Perfumeでいられることが自体が嬉しいんです。だからずっとPerfumeでいたいですね」
取材・文/高木晋一郎(2007年8月)