日本語ラップの三銃士がケンタウロス化して只今見参!!! 2007年3月の日本武道館ライヴから活動休止し、昨年再始動した
RHYMESTERが、4年ぶりのオリジナル・アルバム
『マニフェスト』を堂々完成! 結成20周年を越えても新たなチャレンジ満載。日本のヒップホップを進化させる入魂の作品をお届けだ。ノドのリペアーのためお休みの
宇多丸の分もカバーすべく、
Mummy-Dと
DJ JINが新作に込めた思いを存分に語ってくれた。
――4年ぶりのオリジナル・アルバム『マニフェスト』は、さまざまなプロデューサーが参加した、RHYMESTERの新たな挑戦が詰まった作品になりましたが。
Mummy-D 「今回、再始動にあたって決起集会という名の“飲ミーティング”から始まったんだけど(笑)、そこで最初からサウンド面での新基軸として外部プロデューサーにお願いしてようっていうアイディアがあったのね。今までオレとJINだけのセルフ・プロデュースでやってきたから、人がプロデュースするとオレらはどうなるのか試したかったし、何かマジックが起きるんじゃないかなって。歌詞の面でいえば、今まで20年くらいラップしてきて自分なりにいろんなことを試してきたけど、ラップにもっとエモーションみたいなものが乗せられるんじゃないかという想いがオレの中で、さらに高まっていて。ヒップホップはすごく自由なアートフォームだし、もうちょっと上の次元で何かを表現できるんじゃないかと最初にハードルを高めに設定して、それで最初に(先行シングルの)
<ONCE AGAIN>から作り始めたんです」
DJ JIN 「武道館以降しばらくレコーディングをやらないことで、客観的にRHYMESTERを見ることができたんです。そこでファンの気持ちの強さとか、RHYMESTERとしての自覚や武器が改めて見えてきた。それを経て、より一般層の人にも分かりやすく、RHYMESTERの音楽を届けたいなと思うようになったんです。参加してくれてるプロデューサーも、昔からの仲間から、20歳になったばかりのMONKEY SEQUENCE. 19って若手までいる。その中でオレは、自分の仕事をちゃんとやっていこうと。他のプロデューサーと作業を一緒にやっていく中で、RHYMESTERをいろんな角度から見ることができたし、今までとは違う成長ができたと思います」
――なるほど。では楽曲に触れていきましょう。シングルにもなった「ONCE AGAIN」は、自分たちの立ち位置や、“ここから行くぞ”という思いが込められたナンバーですね。
Mummy-D 「オレらもだけど、今の社会状況で<ONCE AGAIN>を必要としてる人が増えてるなと感じていて。それが重なって<ONCE AGAIN>っていえる状況になった上での再始動だった。じゃないと、みんなが言葉を欲してる今の時代に説得力を持たせられないでしょ。あと、より深い表現をしていかないと自分たちが飽きちゃうし、それこそヒップホップがナメられちゃう。世間的には今じゃヒップホップは“青春”っぽいものとか思われてる。そういうのは否定しないけど、逆にオレらがやらなきゃいけないことが明確に見えたなって」
――ヒップホップのことを歌ってる曲が多かったりするのも、そういう思いがあったからなんですね。あと、気になるところでいうと、JINさんプロデュースの「付和Ride On」は、すごくパーカッシヴな曲に仕上がっていますね。
DJ JIN 「ライヴで絶対盛り上がる曲を狙って作ったんです。トラックは、ハウスやテクノ的でありつつヒップホップっていう感じにして、初めて聴いた人でも逆らえない音のパワーを表現したかった。ずっと温めてた曲だったけど、出す時期が来たなって」
――“時は来た!”と(笑)。歌詞は、ライヴでのことや日本人の協調性が歌われてますね。
Mummy-D 「そう。協調性を自分たちで肯定していこうと(笑)。でもこの曲はライヴでやると絶対盛りあがるんだよ。これはホント凄い曲だよ」
――アルバムの最後を締めくくる「ラストヴァース」は、音楽を届ける思いがストレートに表れた、ダイナミックなミッド・チューンですね。 Mummy-D 「
DJ WATARAIさんのトラックなんだけど、オレらここまでドラマティックでエモーショナルな音でやったことなかったから、こっちもエモーションで立ち向かおうと。斜めに構えず、ここまでエモーショナルに言葉を出せたのは結構珍しいよ。こういう歌詞になったのは、ヒップホップ・シーンの外にもオレたちの音楽を届かせたいという想いが強かったから。圧倒的なカッコよさやクオリティを持ってないと、シーンの向こう側の人がいいと言ってくれないしね。例えば、戦争映画が好きじゃない人にも、“あれは名作だ”って思わせるような戦争映画とかあるでしょ。今回のアルバムは、そういう作品にしたかったんだよね。オレらも長くやってるからその位置に到達しないと、それこそヒップホップ・アーティストとしての責任を果たせないって想いもあってさ」
――まさにその想いは『マニフェスト』っていうタイトルに表れてますね。
Mummy-D 「うん、これがオレらの所信表明ってとこですね。次元を上げたものを作るのは大変だったけど、それがなかったらツマらない。それに次のハードルが見えたことがうれしかったね。このアルバムの評価がどうってよりも、これがヒップホップ・シーンや音楽シーンでどういうふうに作用していくのかにオレは興味があるな」
DJ JIN 「今回のアルバムはヒップホップでありながら、強度のある音楽として楽しめるものになりましたね。リスナーの人生が楽しくなったり、考え方の幅が増えたりしてくれたり、いろんな面でいい影響が与えられる作品になったらと思っています」
取材・文/土屋恵介(2010年1月)
RHYMESTER KING OF STAGE VOL.8
〜「マニフェスト」 RELEASE TOUR 2010〜
●日時:4月23日(金)
●会場:北海道・Zepp Sappro
●時間:開場18:00 / 開演19:00
●料金:税込4,200円
問い合わせ先:WESS [Tel]011-614-9999
●日時:4月25日(日)
●会場:愛知・Zepp Nagoya
●時間:開場18:00 / 開演19:00
●料金:税込4,200円
問い合わせ先:サンデーフォーク[Tel]052-320-9100
●日時:4月28日(水・祝前)
●会場:大阪・Zepp Osaka
●時間:開場18:00 / 開演19:00
●料金:税込4,200円
問い合わせ先:夢番地大阪 [Tel]06-6341-3525
●日時:4月29日(木・祝)
●会場:福岡・Zepp Fukuoka
●時間:開場18:00 / 開演19:00
●料金:税込4,200円
問い合わせ先:BEA [Tel]092-712-4221
●日時:5月7日(金)
●会場:ZEPP TOKYO
●時間:開場18:00 / 開演19:00
●料金:税込4,200円
問い合わせ先:HOT STUFF [Tel]03-5720-9999