【ザ・ホラーズinterview】傑作『プライマリー・カラーズ』を携え来日したザ・ホラーズに直撃――サイケデリック・ミュージックの魅力とバンドの展望を聞く

ザ・ホラーズ   2010/02/09掲載
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【ザ・ホラーズinterview】傑作『プライマリー・カラーズ』を携え来日したザ・ホラーズに直撃――サイケデリック・ミュージックの魅力とバンドの展望を聞く
  サマーソニック 2009に続き、2010年2月に単独来日を果たしたザ・ホラーズ。およそ1時間半のステージは、目が眩むようなサイケデリックな興奮に満ちた体験だった。2009年リリースの2nd『プライマリー・カラーズ』で、デビュー作時点でのゴシック・パンク的なイメージを覆した彼ら。その音楽性は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドマイ・ブラッディ・ヴァレンタインにも通ずるような、白昼夢の世界を体感させるアート・ロックへと進化を遂げている。同作が『NME』誌の2009年ベスト・アルバムに選ばれるなど評価も高まった今、UKロックの“異端児”にかかる期待は大きい。来日中の彼らに、現在のモードと将来の展望を聞いた。
――来日公演は本当に素晴らしかったです。ノイズとエレクトロニック・ビートが洪水のように鳴っていて、凶暴さと陶酔感を同時に感じられるライヴでした。
スパイダー・ウエッブ(b、og) 「まさにそれが、曲を書いてレコーディングしている時から、僕らが伝えたいと思っていたことなんだ。ライヴにおいてもレコードを作った時と同じサウンド、同じフィーリングを伝えることが一番大事だと考えてる。それに、ラウドなその音でお客さんをどんどん引き込んでいくような演奏をしたいと思ってるよ」
ファリス・バドワン(vo) 「それに、僕らの演奏はお客さんの雰囲気に影響されるんだ」
スパイダー 「僕らのショウにとっては、エネルギーのやり取りというものがすごく大事になってくる。だから1万人集まるフェスティヴァルより、単独のショウの方がやりやすいんだ」
――アルバム『プライマリー・カラーズ』のリリースから1年が経ちますが、今の時点からあの作品を振り返って、どういうことを成し遂げたと思っていますか?
スパイダー 「アルバムの制作を含めた過去2年間で、グループとして格段に進化を遂げてきたと思うな。4年前の結成当時に比べたら、成長は明らかだと思うよ」
――ああいうダークでサイケデリックな世界というのは、バンドを結成してからずっとやろうと思っていたものなんでしょうか?
スパイダー 「それは僕らがそもそも大好きだったものなんだよね。サイケデリックな音楽を聴くと、心がどこかに持っていかれるような感覚がある。その感覚を活かすことが僕らの音楽作りでは重要なんだ。たしかに僕らの音楽にはダークなエネルギーがある。でもそこには、パワーがあるんだよ」
――サイケデリック・ミュージックはあなたたちにとって、どんなインスピレーション源になったんでしょう?
スパイダー 「60年代のイギリスやアメリカ、それに日本にもすごくエキサイティングなサイケデリック・ミュージックはあって。そういう音楽には一貫して訴えかけてくる何かがあるんだ。すごく視覚的な効果というのかな。想像力を刺激して、聴いていると頭の中にいろんなアイディアが浮かんでくる。感覚とか色とか光景とか、さまざまなものを呼び起こす。サイケデリックは、そういう力を持った音楽だと思うんだよ」
――では、この先の音楽性のヴィジョンはどんな感じなんでしょう? たとえばプライマル・スクリームのように、アルバム一枚ごとにコンセプトを変えていくようなバンドのあり方をとるのか、それとも『プライマリー・カラーズ』の世界を今後も突き詰めていくのかで言うと?
スパイダー 「どういう方向に行くかというのは、まだなんとも言えないな。でも2枚目の時にエレクトロニックな楽器やシンセを大幅に導入したことで、音がああいう形になっていったのと同じような変化が、次のアルバムにもあるかもしれない。ただ、プライマル・スクリームみたいに、一枚一枚明確なテーマを設定してやっていく形ではないと思う。具体的にはまだ見えていないけどね」
――では、今の時点でバンドの目標としてはどんなものを持っていますか?
ファリス 「掘り起こすものがなくなるまで、進歩を続けていくということだけだね。今のところポテンシャルは、たくさんあると思っているから。それを掘り起こし続けていくだけだね」
取材・文/柴 那典(2010年2月)
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