“間のかっこよさ”を追求したグルーヴィな大人のブラック・ミュージック―アシッド・ジャズ・トリオ、Speaker Sgt.の1stアルバムが完成!

Speaker SGT.   2010/04/09掲載
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“間のかっこよさ”を追求したグルーヴィな大人のブラック・ミュージック―アシッド・ジャズ・トリオ、Speaker Sgt.の1stアルバムが完成!
 王道のジャズ・ギター・サウンドとグルーヴ・オリエンテッドなアプローチで、90年代ブラック・ミュージックをヴィンテージに鳴らすギター・トリオ=Speaker Sgt.(スピーカー・サージェント)。ラップやトランペットを配して、トリオながらも厚みのあるサウンドが魅力的な1stアルバム『Speaker Sgt.』を完成させた。大学生ぐらいの時にロニー・ジョーダンを聴いていたソウルやR&B好きの人たちがいま聴ける、クラブ・ジャズともひと味違う大人のグルーヴ・ジャズだ。バンドのソングライター/ギタリスト越智巌とドラマーの春日利之に話を聞いた。


──バンドの結成から教えていただけますか?
越智巌(g)「ファンクやブラック・ミュージックなどのビートの強い音楽がやりたくて、仕事で知り合ったトシくん(春日)を誘ったんです。それからベースのシゲ(梅沢茂樹)が入って、最初にパーティ・バンドの仕事を3人で受けました」
春日利之(ds)「いきなりポンと音を出した時点でいまの音になっていたんで、面白いね、だったらもっと自分たちの曲をやってみようか、というのが始まりです」




──アルバムの制作過程について教えてください。
春日「制作自体は2年前からです」
−−レコーディングはどこで?
越智「ほとんど宅録状態です。誰かの家でギター入れて、ベース入れて。ドラムに関してはリハスタで。みんなで一斉にやってるわけではなくて結構作り込んでいます。カヴァーの「Milestones」(マイルス・デイヴィス)と「Maiden Voyage」(ハービー・ハンコック)に関しては、スタジオに入って3人一緒に録音しました」
−−オリジナルを作っていく際に意識したサウンドはあるんですか?
越智「このバンドは、オルガンなどの鍵盤が入ったトリオにはないような、ギター・トリオならではの“間(ま)”を武器にしています。そういうサウンドのバンドがあっても面白いなと思ったんです。例えばディアンジェロにしても音楽的に“間”があるじゃないですか。この“間”のかっこよさってクールだなと思って作ったのが、1曲目の〈Black Cream〉です。それが原点ですね」
──今回のアルバムには、90年代のジャズ・ファンクの匂いを感じます。
越智「僕は20代の頃、ブルースを演りにシカゴに渡って、その後ジャズを演りにニューヨークに移ったんです。その当時、92年頃はジャズマタズなど全盛期でした。ジャズ理論やビ・バップについて勉強していましたが、多感な頃だったので、ロニー・ジョーダンなど黒人ジャズ・ギタリストでありながらヒップホップを取り入れたサウンドは、新しさもあって自分の中に自然に入ってきました。その時にたぶん(自分の方向性が)植え付けられていると思うんですよ」




──春日さんはアメリカにいらしたのですか?
春日「僕は生まれがアメリカで、10歳からは関西のアメリカン・スクールに通っていました。大学はまたアメリカです」
−−今日いらしていない梅沢さんは……?
春日「シゲは米軍基地の仕事を多くやっています。米軍のパーティは軍のバンドが演奏してはいけないんですね。娯楽音楽はダメなんです。それで僕らはとくに横田基地のパーティなどを演奏させてもらっていました。“黒人が踊り出したらいい演奏だ”と言われて、お客さんを見ながら演奏していましたね」
−−それぞれアメリカ体験が豊富で、このメンバーだから通じ合えるところがありそうですね。
越智「ミュージシャンには、上手い下手ではなくて、プレイの“線の太さ・細さ”というものがあると思うんですよ。このバンドには米国人ライクな“線の太さ”を感じています。だから、二人のサウンドに対してすごく信頼感があります」
──最後に。自分たちの音楽をジャズと考えていますか、ヒップホップと考えていますか?
越智「僕はブラック・ミュージックの括りとして考えてます。ラップを聴いていると、僕にはビ・バップにしか聞こえないんですよ。ヒップホップはいわば現代のジャズで、両者の根底にあるのはリズム音楽なんだと思います」
取材・文/松永誠一郎(2010年4月)



<『Peaker Sgt.』 Release Party>
●5月29日(土)東京・吉祥寺STAR PINE'S CAFE
●6月5日(土)宮城・仙台HEAVEN
●6月6日(日)福島・郡山HIP SHOT
●6月10日(木)愛知・名古屋APOLLO THEATER
●6月11日(金)京都・京都UrBANGUILD
●6月12日(土)大阪・大阪MOTHER POPCORN


<P-VINE RECORDS Presents
『Speaker Sgt.』Release Tour Final>
●6月14日(月)東京・渋谷JZ Brat

ライヴの詳細はSpeaker Sgt. オフィシャルMySpaceへ
http://www.myspace.com/speakersgt
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