直感と遊び心が交差する、小林太郎の1stアルバム『Orkonpood』が登場!

小林太郎   2010/04/16掲載
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 19歳のシンガー・ソングライター、小林太郎。彼の初アルバム『Orkonpood』に描かれているのは、10代の焦燥と小さな希望、そしてちょっとグロテスクな妄想だ。ガナリ声で激しいロックンロールをぶちかましたかと思えば、青いバラードをナイーヴに歌い上げ、ふてぶてしいまでの存在感を放つ平成生まれの新世代。それはもう、さぞかし尖った若者だろう……と思いきや、取材場所に現れたのはシャイでものしずかな長身の青年なのだった。



──まず音楽を始めたきっかけを教えてください。
 「小学生の頃に住んでいた家の階下にカラオケがあって、いつでも歌いに行けたんです。そこで歌っていたら、親に褒められて、もっとうまくなりたいと夢中になったのがきっかけですね」
──それは意外。小学校のときにニルヴァーナ聴いて、みたいな感じかと思ってました。
 「いえいえ(笑)。むしろCHAGE&ASKAサザンオールスターズといった王道のポップスが好きでした。中学2年で日本のロック・バンドの曲を聴いて、初めてバンドというスタイルを意識するようになって。自分の曲を自分で演奏してみたいと思ってギターを手にしたのが高校1年のときです」
──曲はすぐにできました?
 「全然できなくて(笑)。ただ、根拠はないけど俺ならできるんじゃないかっていう自信と、作らなきゃいけないという変な責任感がありました。そのころ曲作りの可能性を広げるために、ビートルズニルヴァーナをはじめ、あらゆる洋楽を聴き始めたんです。そこで一気に世界観が広がって、さらに曲が書けなくなって(笑)」
──いきなり自分にスパルタですね。
 「好きなことになると変にまじめなんです。それ以外では集中力が全然続かなくて、何をしても能率が悪いんだけど(笑)。すごく偏った人間なんです」
──具体的には、まずは何から始めようと?


 「最初は経験も技術も足りなすぎて、ひたすら混乱してました。たとえば頭の中にあるギターの音を形にするためには、ギターとピックはどれを使えばいいのか、チューニングはどうすればいいのか。エフェクターは何を使って、どのアンプでどんなセッティングをすればいいのか。ギターをどの位置で持って、どういう弾き方をするか……。誰も教えてくれないし、経済力もないし、自分の非力さをひしひしと感じて、高1からの3年間はけっこうつらい時期でした」
──そうか、まず初めに目指すべき音が頭で鳴ってたんですね。歌も独特で、ノドを楽器のように扱ってるなと思いました。
 「そうですね。憧れたのはニッケルバックチャド(・クルーガー)や、サウンドガーデンクリス(・コーネル)。ロックもバラードも歌えて、これは最強だと思ってマネしたけど、まったくダメで(笑)。なんとか初アルバムを作るときに奇跡的にマシになった感じです」
──この1stアルバム『Orkonpood』は高1から作った曲をまとめたもの?
 「はい。3年間で書きためたリフやメロディを使って作り上げました。今となっては自分でも、高校生のときの俺っぽいなと思う(笑)」
──歌詞には何度か“光”という言葉が出てきて、それがつねに明るいイメージではないのが印象的でした。
 「“光”って前向きなイメージがあるけど、それだけじゃないだろうと思うんです。たとえば大学受験に受かって喜ぶ人がいれば、落ちる人もいる。浪人して受かる人も、浪人しないで働き始める人も、追い込まれて自殺する人もいる。それは勝ち負けの話ではないし、単純に良い悪いで決められることでもない……そういうものごとに自分は関心があるんだと思います。ただ、それをすごく伝えたいかというと、そうでもない、っていうのが自分でもひねくれたところだと思う(笑)。じゃあ何が言いたいんだよって」
──「何が言いたいんだよ」と思ったときに指針になるのは?
 「音も言葉も、できるだけ直感的に書こうと思います。感覚を活用したい。だから曲作りは、存在するのかもわからないウサギを追いかけるような感じです。“ウサギどこだ!? っていうか、そもそもウサギはいるのか、いないのか、どっち!?”みたいな(笑)」
──(笑)。でも追い求めて行くんですね。
 「そう。ウサギは“いなきゃいけない”存在だから、捕まえに行く。そのためにはどうすればいいんだろうって考えるんです」
──制作のスタイルは少しずつ確立しつつあると思いますか?
 「うーん……。なんかギターを弾いてると、自分の中から出てくるリフがバラバラなんですよね。アヴリル・ラヴィーンみたいなリフができたと思ったら、リンキン・パークみたいなリフができて、その次はレイジ(・アゲインスト・ザ・マシーン)みたいだったり。自分でもよくわかんねーなと思って。今は開き直って、まとまらずに行こうかなと思ってます(笑)」
──別にまとめる必要もないですしね。
 「うん、曲がよくなければスタイルなんて何の意味もない。ただ、曲を作るごとに同じ悩みを繰り返すつもりはないので、悩むとしてもできるだけ進歩したいです」




──ところでアルバム名の『Orkonpood』にはどんな意味があるんですか?
 「レコーディングのときにディレクターが、ギター用語の“オープンコード”を“オーコンプード”と聞き間違えて。“その聞き間違いはねえだろ!”と思ったけど、アルファベットにしたらカッコよかったので採用しました(笑)」
──あははは、そんな理由。「安田さん」「美紗子ちゃん」という曲名もどういうこと?って思いましたけど(笑)。
 「そこは軽ーいノリです(笑)。ただタイトルも感覚的に決めようと思っていて、適当につけてるんだけど、曲に全く当てはまらないかというとそんなことはない。そのへんは遊びながらスタイルを固めずにいきたいなと」
──遊んでるのかシリアスなのか、よくわかんないところがおもしろい作品だなと思ったけど、ご本人も混乱してることがわかりました(笑)。
 「あははは! とにかく今はやるべきことがいっぱいあるので、この先どうなるのか自分でも楽しみです。半年後の俺は、ちゃんと生きてるのかな(笑)!?」
取材・文/廿楽玲子(2010年4月)



小林太郎 1st Album『Orkonpood』
●タワーレコード先行盤/全7曲収録
(AKTR-10001 税込1,500円)

●全国盤/全8曲収録(ボーナストラック収録)

(AKDR-10001 税込1,500円)

<収録曲>
01. ドラグスタ
02. 安田さん
03. 美紗子ちゃん
04. SAKURA CITY
05. 蛇烙
06. ソフィー
07. スノーダンス
08. リバース(Bonus Track)


<ライヴ・スケジュール>
<ARABAKI ROCK FEST.10>
※小林太郎の出演は、5月1日(土)となります。

●<「Orkonpood Carnival」Vol.3>
【日程】5月15日(土)15:00〜
【会場】HMV渋谷店 2Fイベントスペース

●<「Orkonpood Carnival」Vol.4>
【日程】5月21日(金)19:00〜
【会場】TSUTAYA佐鳴台店 2F特設ブース

●<「Orkonpood Carnival」Vol.5>
【日程】5月22日(土)16:00〜
【会場】タワーレコード新宿店 屋上LIVEスペース

<「road to MONSTER baSH」巡業編>@徳島ジッターバグ
【チケット】¥2,500(1ドリンク代別)
※小林太郎の出演は5月28日(金)となります。

<ROCKS TOKYO>
【チケット】前売り1日券:¥8,000 / 2日通し券:¥14,000(別途1drink)
※小林太郎は5月29日(土)に出演、NEXUSステージにて。

<SAKAE SP-RING 2010>
【日程】6月4日、5日、6日
【チケット】
6月4日:1DAY PASS 2,500(税込)
6月5日:1DAY PASS 3,000(税込)
6月6日:1DAY PASS 3,000(税込)
3DAYS PASS日:6,500(税込)
3DAYS PASS / タオル付(数量限定)日:7,000(税込)
※出演日時・会場は未定。

<SUMMER SONIC 2010>
【日程】8月7日(土)〜8月8日(日)
【チケット】
東京:1日券¥15,800 / 2日券¥29,000(税込・ブロック指定)
大阪:1日券¥14,500 / 2日券¥26,500(税込)


<小林太郎、初ワンマン・ライヴが決定!>
【日程】
11月28日(日)渋谷CLUB QUATTRO
12月4日 (土)大阪CLUB QUATTRO
12月12日(日)名古屋CLUB QUATTRO 

■4月14日(水)発売の『Orkonpood』封入用紙から、先行予約の申し込みが可能(応募数が会場収容人数を超えた場合は抽選)。詳細については、決定次第、オフィシャル・サイトで発表されます。

■小林太郎 オフィシャル・サイト
http://www.kobayashitaro.com/


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