IZUMIとMIDORIによるピアノ連弾ユニット、
FUTABAが
冨田恵一プロデュースのアルバム
『FUTABA』でデビュー! 彼女たちは東京音楽大学在学時に数多くのコンクールで賞を獲得し、確かな技術を持つ。デビュー・アルバムはオリジナル曲だけでなく、クラシックとポップスのカヴァー曲が収録。アレンジは連弾ならではのアイディアも盛り込まれている。さまざまな可能性を秘めた彼女たちに、デビュー作について話を聞いた。
クラシカル・クロスオーヴァーの新星として注目されているFUTABAは、IZUMIとMIDORIによるピアノ・デュオ。東京音楽大学の同期生だった2人は学生時代、ボランティア活動を志して連弾を始めた。
「病院や福祉施設にある一台のピアノで私たちができることが連弾だと思ったんです。まず実力をつけるために2人でコンクールを片っぱしから受けました」(IZUMI)
「1年間のスケジュールをズラッと書きだして、部屋に貼ってました。朝起きて、毎日コンクールやと思ってた(笑)。今でも、よう受けたと思います」(MIDORI)
コンクール課題曲はラヴェル「スペイン狂詩曲」やレーガー「ブルレスケ」といった派手な難曲に挑んだ。始発電車で学校に通い、夜遅くまで猛特訓。それでも2人はプレッシャーなど微塵も感じなかったという。
「コンクールは全員がライバルだし、ソロの時は苦手でした。でも連弾はピアノを弾く喜びを感じあう人が横にいるから、相手がミスしても私がカヴァーしようってプラスの方向に進んで行ける。2人でいれば不思議と何でもできると思えるんです」(IZUMI)
コンクールで数々の賞を獲得した2人は、念願の演奏活動を始める。しかし既成の連弾譜はメロディと伴奏に分かれたスタイルが多く、互いが主役になれる理想の曲にはなかなか出会えなかった。それなら自分たちで曲を作ろうと思いつき、初めてアレンジしたのがコルサコフとバッハの名曲をマッシュ・アップした「ハチ(熊蜂の飛行)」だ。
「MIDORIは細かい動きや正確なリズム取りが得意で、私はオクターブで音を掴むのが得意。必要に応じてお互いのポジションをかえたり、手をクロスしたり、アレンジの段階から“見せる”音楽を意識して作ってます」(IZUMI)
そして完成した彼女たちのデビュー・アルバム『FUTABA』は、クラシックとポップスが手をつなぎ、軽やかに舞い踊る8曲が収録されている。フルートやパーカッションの賑やかな音色とともにピアノの音がコロコロと転げまわる「Forest Bump」を始め、プロデューサーに冨田恵一を起用。スティーヴィー・ワンダーや大瀧詠一のカヴァーなど、年代とジャンルを超えて親しめる楽曲が揃っている。
「クラシックの演奏会は、おなかが鳴ったらどうしようとか、咳しても大丈夫かなとか、つい緊張しちゃう。でも私たちが目指すのは、みんなで歌って、手拍子して、笑顔が近くに見えるコンサートです。視覚的にも楽しいステージにしたいから、最近ヒップホップ・ダンスを習ってるんですよ。今は阿波踊りみたいって言われるけど(笑)、動きをつけると演奏の幅も広がると思う」(IZUMI)
「いつか回転しちゃったりして(笑)!」(MIDORI)
FUTABAが挑戦したいことは無限にある。いろんなジャンルのミュージシャンとコラボレートしたい。日本で広く知られていない連弾曲を海外で探したい。何よりオリジナル曲をどんどん発表してスコアも出版したい。「やりたいことだらけで時間が足りない」と笑う2人は、20本のしなやかな指で連弾の可能性をぐんぐん広げようとしている。
取材・文/廿楽玲子(2007年9月)
【FUTABA イベント・スケジュール】■ ミニライヴ&サイン会
日時:10月21日(日)/15:00スタート
場所:タワーレコード渋谷店 6F イベントスペース
※『FUTABA』初回限定盤/通常盤のいずれかを予約または購入すると、先着でライヴ終了後のサイン会参加券を進呈。
■ アルバム「FUTABA」発売記念 ランチタイム・イベント
日時:10月10日(水)/13:00〜13:30
場所:
「AFRICA」代官山