【ステソ・ソングス interview】美しいメロディと表現豊かな歌声、そしてちょっとキケンな世界観――ステソ・ソングスのデビュー・アルバム

ステソ・ソングス   2010/07/01掲載
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【ステソ・ソングス interview】美しいメロディと表現豊かな歌声、そしてちょっとキケンな世界観――ステソ・ソングスのデビュー・アルバム
 北欧スウェーデンから登場したシンガー・ソングライター、ステソ・ソングス。デビュー以来、7年間で書きためた曲から選び抜かれた1stアルバム『ナウ・イッツ・ダーク』では、清涼感あふれるスウェディッシュ・ポップから、ちょっとダークなピアノ・ソングまでさまざまな表情を見せてくれる。その美しいメロディと表現豊かな歌声の向こうに垣間見える、ちょっとキケンな(?)彼女の歌の世界を覗いてみよう。
――今回のデビュー・アルバムでは、7年間に作った曲をまとめたそうですね。アルバムの全体像や流れなど思い描いていたことはありますか?
ステソ・ソングス(以下、同) 「できる限り曲に手を加えたくないと思っていたの。曲は最初に書いた時と同じサウンドにしておきたかった。とくに、7年前に書いた〈No Love / No Money〉とか〈This Is For You Girls〉みたいな古い曲に関してはね。ジャケット写真は、ちょっと恐ろしくてミステリアスなものにしようと思ったわ。で、ある時、森にすごく魅せられたことがあって、その時に“この森の写真を撮ってジャケにしよう”と思ったの」
――アルバム前半にはポップな曲が多くて、バンド・サウンドの曲もアルバムに躍動感を与えていますね。
 「自分の曲をバンド演奏で聴くのは、いつでもすごくエキサイティングよ。頭の中に出来上がったシンプルなメロディが、楽器とハーモニーによって新たに完成されていくのは素敵な瞬間だと思う」
――シングル曲「The Worse」は、このアルバムのなかでもとりわけポップなナンバーですが、この曲はどんな風に生まれたのですか?
 「この曲は最初、シンプルなピアノの伴奏があるだけのすごく退屈な曲だったの。それで、曲の途中で何度かピアノを叩いてみたのよ。それからマルメという街にあるスタジオに行って、アコギとベースとドラムと、それから木琴や鈴みたいに子供っぽい楽器でデモを作ったの」
――後半に入るとピアノの弾き語り曲が中心になってきますが、そうした繊細なナンバーがアルバムの核のような気がしました。ライヴでもピアノの弾き語りが中心のようですが、ピアノには特別の思い入れがあったりしますか?
 「そうね。ピアノは私の人生において最も重要なものかもしれない。ピアノを弾きながら、心の中に湧き上がってくるものを歌にすることが、私にとって本当に重要なことなの」
――ピアノとはいつ頃、どんな風に出会ったのですか? ピアノという楽器のどんなところに惹かれますか?
 「小さな頃、友達がピアノを持っていて、それを弾かせてもらったのが最初よ。それが気に入って両親にキーボードを買ってくれるように頼んだの。そのキーボードを狂ったようにずっと弾いてたんだけど、それを見た両親がついにピアノを買ってくれた。ピアノは、いろいろなムードを奏でることができるところが好き。とっても激しくキーを叩くこともできるし、すごく優しく弾くこともできる。ダークなサウンドだって作れるしね」
――そのダークさもあなたの歌の魅力です。ソングライティングの時には、どんなところを大切にしますか?
 「本能的にというか、自然と出来上がっていくようにしているわ。あれこれ考えず、心の赴くままにピアノを演奏して歌ってみるの。すべての瞬間が曲にすべき価値を持っていると思う。だから、どんな状況でも歌にすることができるのよ。自分がどんな心情かというのは、あまり問題ではないの。大切なのは書きたいものに焦点を絞りきれるかどうか。電話やパソコンなどに気を取られずにね」
――最後にアルバム・タイトルについて教えてください。映画『ブルーベルベット』のセリフから取られたそうですが、この言葉に惹かれた理由は?
 「デニス・ホッパーが演じているフランク・ブースっていう、すごく狂っている社会病質者が、彼のメチャクチャに歪んだ一面を見せる度に使うセリフなの。私は何もかもがネガティヴに思えて気分がよくない時に、このセリフを使うことにしているのよ(笑)。“ナウ・イッツ・ダーク”というセリフは一種の警告だと思うの。このアルバムのタイトルもリスナーに対する警告のつもりよ。このアルバムの中に入っているものについてのね」
取材・文/村尾泰郎(2010年6月)
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